Lightnews — Scholar-powered news

お芋さん太郎

@oimo3taro.bsky.social

【反転】
二次創作らくがきSS。
今週のシャンクスを見てこうだったらいいな～と思った、赤髪海賊団ほのぼの妄想。

#今週のワンピ
#ONEPIECE文字書き部
#ちいさなSSワンピ

さっき間違えてタグつけるの忘れて投稿してしまったので、あげ直し💦
本誌未読の方がうっかり見てしまってませんように…🥲

ONEPIECE二次創作小説の本文です。

「反転」

海はいいな。
シャンクスは潮風に髪を揺らして、そう思った。

視界は何にも邪魔されず、思いっきり呼吸ができる。
行きつく島はどこも楽しくて、出会う人々もみんないい奴らだ。

レッド・フォース号でクルーたちと真昼間からガチャガチャ酒を浴びていると、船室の方からルウが声をかけてきた。

「おーい、お頭！　電伝虫が鳴ってるぜ！」
「あァ？　どこのどいつだ、こんな忙しいときに」
「そいつァねェぜ、ずっと飲んでばっかりだったくせに！」
「違ェねェ！　ギャハハ！」
「うるせェな！　……ったく」

シャンクスが一船の船長としては年若いからだろう。
周りで一緒に酒瓶を傾けていたクルーたちが、調子に乗ってかまってくる。
キツくたしなめたって聞きやしない。
これぞまさに、自由な海賊の姿である。

困ったものだが、シャンクスにとってはなかなか心地いい空間だ。
子どものころから大海賊の船に乗って、見習いとして大人たちにかまい倒されてきたものだから。
大人数でワイワイやってると、不思議とあの頃に戻った気持ちになれるのだ。

ちょっかい出してくる手を跳ねのけ、やっとのことでルウのもとにたどり着く。
彼は骨付き肉にかぶりつく片手間に、船室の奥を指さした。

それを合図にシャンクスの息が詰まる。
電伝虫の音が、部屋に小さく響いている。

肩がズンと重くなる。

「早く出なくていいのかァ？」言いながら、ヤソップが軽くもたれてきた。

「切れちまうぞ」ライムジュースまで。

シャンクスは彼らの声に押されるように部屋に入った。
〝それ〟専用の長距離電伝虫は、深海の岩陰みたいに暗い室内の一番すみっこに置いた、小さな箱の中にある。
かすかに震える空間から取り出し。

一度だけクルーたちを振り返る。

「嫌そう！！」

思い切り、顔をしかめて。

深呼吸を数回くり返し、やっと受話器を持ち上げる。

「おれだ。ああ……ああ。冗談じゃない、下界はどこもかしこも下水のにおいで息が詰まる。なんて罰だと思っていたところだよ。手柄のために、仕方なくだ。……ああ。……そうだな、使えない奴らばかりだ。反吐が出る。……わかってる。そう伝えてくれ。ああ……じゃあ」

ガチャ。

受話器を置くと、電伝虫が目を閉じる。
ため息をひとつ漏らす。

と、同時に。

「ギャーッハッハッハ！」
「いやあ、今回もケッサクだったぜお頭～！」
「眉間にこーんなシワ寄せて『ああ』だぜ！」
「『反吐が出る』……！」
「キャラ！　笑える！　だっはっは！」

後ろでは大爆笑のハリケーン。
これだから嫌なんだ。

シャンクスは耳を髪の毛みたいに赤くして抗議する。

「お前らなあ、他人事だと思いやがって！　ちくしょう！」
「まあまあ、お頭。あんたが頑張ってるのは、みんな知ってるよ」
「……ホンゴウ！」

ホンゴウが優しく肩に手を置く。
これは見直した、と思いきや。

「てめェホンゴウ、賭けに勝ってずいぶんと余裕じゃねェか」
「おう、当たり前ェよ。今回の通話は１分３秒。１分以上に賭けたおれの一人勝ちだ！　さっさと金よこせ」
「50秒のおれ、涙目」
「おれ、30秒！」
「短っ！　ギャハハ！」

優しかったのは、賭けに勝ったからだったらしい。
どいつもこいつも、しょうもない。
この船にはデリカシーというものが致命的に欠けている。

シャンクスがぷんすか起こっていると、ベックマンがタバコの煙をくゆらせてやってきた。
彼は色男の所作でこめかみのあたりを指で掻き、ため息まじりでニヒルに笑う。

「まったく、困ったもんだ」
「ベック！　だろ！？　そうなんだよ、あいつらときたらよォ……！」

前のめりで賛同するシャンクスに、ベックマンがからかい調子で続ける。

「おれは10秒に賭けたってのに」
「お前まで……ってか、短い！」

なんてかわいそうなおれ！　船長なのに！　なんて思っていたら、モンスターが食べかけのバナナをくれた。
なんだか逆にみじめな気分になる。

それでも「さーて飲み直そうぜ」なんて、みんなで手を引いて部屋の重たい暗がりから連れ出してくれるものだから、いつもすっかり絆されてしまうのだ。

部屋の外は明るくて、あたたかくて、仲間がいて、やっぱり海はいいなと思う。

ほんのり甘いバナナを一口かじり、シャンクスは新しい杯を高く掲げるのだった。

December 3, 2025 at 3:02 PM

真朱(まそほ)

@masoho11.bsky.social

2/2
モスちゃんは色々制限されて生きてそうなので、ファイちゃんに色々教えてもらい学んでいって欲しい気持ち

だから娘の俺が父の二の舞にならないよう、計算をさせたくなかったのだろうな」
　自嘲の笑みを浮かべてグラスを両手で持ちながらモーディスは言い、ファイノンはグラスをテーブルに置いてまた頭に手を置いて撫でた。
「メデイモスは本当に、良く頑張っているよ」
「……また、子供扱いする」
「だって僕より年下じゃないか」
　黄金裔の中で一番年下であったファイノンであったが、自分よりも更に年下であるモーディスが仲間になった事で一番年下で無くなった事に安堵した……が、精神の在り方はモーディスの方が上であったのだ。
　戦闘力もファイノンが技巧を含めれば僅か上ではあるが、純粋な力での勝負はモーディスの方が上で、そんな事もあり年上ぶる事が出来なかったのでここぞとばかりに頭を撫でていたファイノンは、モーディスが恥ずかしそうに視線を彷徨わせてから目尻と頬を赤く染める姿を見て、思わず深く重い溜息を吐いてしまう。
「な、なんだ…っ！？」
「メデイモス、君……無自覚で男を煽ってるの？」
　頭を撫でていた手で頬を撫で、右頬の刻飾紋を親指の腹で撫でたファイノンは男の表情をしていて、モーディスは初めて見るその表情にまた視線をあちこちに彷徨わせた。
「……そういう仕草が、男を煽るんだよ」
「そ、そんなの、知らない……」
「誰も、ケラウトルス殿も側仕えの人達も、教えてくれなかったの？」
　モーディスはコクリと頷き、それは駄目だろうとファイノンは強く思ってしまう。
　クレムノスの孤軍がオクヘイマと同盟を結び共に生活を始めてそれなりに経つが、未だにクレムノス人に対する偏見や排斥しようとする動きはある……もし元老院にモーディスが色恋沙汰に疎いと知られれば、そ

れを利用されて黄金裔を仲違いさせようとするに違いないとすぐさま考えたファイノンは、頬を撫でていた手を肩に置いて真剣な表情で彼女にその事を告げた。
「……という感じで、元老院はきっと君を手篭めにしようとするだろう」
「有り得ないとは言い切れんし、むしろ有り得るといった感想しか出てこんな」
「だろう？　君は僕から見て純粋だから、元老院はそこを突いて来ても可笑しくは無い。　そうならない為にも、誰かから教えてもらった方が「お前がいい」……え？」
　ファイノンは聞き間違えかと思いモーディスを見るが、彼女は真っ直ぐ彼を見つめてもう一度言う。
「お前がいい、ファイノン」
「ぼ、僕でいいって……何で？」
「お前は嘘偽りを言わず誤魔化す事もせずに、計算を教えて危険性も教えてくれた。　それに、黄金裔を仲違いさせようと元老院が考えているのなら、俺の側に黄金裔がいる方が手を出し難くなる筈だ」
「それは、うん……そうかもね」
　ファイノンは頷き、モーディスは嬉しそうに瞳を細めた。
「それにお前が側にいれば、いつでも計算を教えてもらえる」
　計算を教えてもらう事が本音か、とファイノンは苦笑して空けていた距離を詰めてモーディスに近付き、顔を寄せて耳元で囁く。
「それなら、計算を教えてもらうからって男と二人きりになるような事も、危険だって知っておかないとね」
「……そうなのか？」
「君ね……普通の女性は、男性と二人きりになるなんてしないんだよ。　次に計算を教える時は、どこか別の場所で、第三者の目がある所でした方がいいね」
　その言葉にモーディスは分かっていないながらも頷

き、その日はそのまま解散した。

「……うん、第三者の目が必要とは言ったけど、まさかこう来るとは」
「なんだ、一番良い考えだろう？」
「そうなんだけどね……」
　次の計算を教える日、ファイノンはモーディスに宛てがわれたプライベートルトロへと招かれ、側仕えの女性三人に見守られながらの勉強を行う。
「彼女達に相談したの？」
「ああ。　ケラウトルスには報告は一切しないので俺の好きなようにと言われ、元老院の事もお前が側に居る方が良いと納得してくれた」
「そうなんだ……あ、ここ計算間違ってるよ」
「……どこが間違っているのか、分からん」
　並んで座りテーブル上の石板に向かうファイノンとモーディスの後ろ姿を眺めながら、側仕え達はほっこりとした雰囲気でお茶の用意をして茶菓子を準備する。
　ケラウトルス達クレムノスの孤軍の上にいた者達が、戦い以外ではモーディスを無知にさせておこうと思っていたのは自分達も知っているし、余計な事を吹き込むなとも厳命されていた。
　けれども側仕え達は、モーディスがしたいようにする事を邪魔する事など一度も無く、訊ねられた疑問にも答えていた……クレムノスの王として自分達を導き率いていく為には、広い視野と深い知性が必要不可欠だと思っていたからだ。
　そして、色恋沙汰に疎い事は、あまりにもデリケートな問題である為に口を出さなかった事を悔いている。
　元老院にモーディスを手篭めにされ利用されてしまう危険性を減らす為ならばと、同じ黄金裔で実力も拮抗しているファイノンが側に居て守る事も容認出来た

のだ。
「ああもう、ほら。　また可愛い事してる」
「か、可愛いとはなんだ…っ」
「そうやって口をちょっと尖らせてる仕草だよ。　側仕えさん達からも、これから注意してあげて」
　仲良く勉強していたと思えばそんな事を言い出して手が止まった二人に、側仕え達は宥めるようにお茶と菓子を出して休憩を促す。
「……あの、モーディスの男女の関係の知識って、どれ位？」
　コソリとファイノンに聞かれた側仕えの一人は無言で頭を横に振り、それを見て彼は少し遠い目をしてしまった。
「我等が王女殿下の世間知らずさを、どんな手を使ってでも直してくださいませ」
　そう小声で言われてファイノンは驚き、側仕えは微笑んでテーブルから離れて部屋の隅へと移動する。
　自分の不埒な思いが見抜かれていたのかとファイノンはムニムニと己の両頬を揉み、モーディスは小首を傾げ不思議そうな顔をしながらお茶を飲む。

　神悟の樹庭での弁論大会十連覇という経歴持ちで、話術に長けた自覚のあるファイノンは、世間一般の知識と自分の知識に差異がある自覚を持つ世間知らずなモーディスに計算を教えつつ、彼女の無意識に男を煽る言動や仕草に振り回されながら、色恋沙汰も少しずつ教えていかなければならない日々に頭を悩ませていくのだが、それはまた別の話である。

May 21, 2025 at 8:14 PM

れお@1/11つ18b

@silentseanight.bsky.social

「髪を乾かしてあげる、ついでに頭皮マッサージもする？」
「至れり尽くせりだな」
「お兄ちゃんのためならね」
　待ってて、とドライヤーを取りに行くギラの後ろを尻尾を振りながらジェラミーが付いていった。王にでもなった気分だなとラクレスはソファに深くもたれかかって目を閉じた。

　ゆったりと温泉に浸かり、部屋で宿自慢の料理に舌鼓を打ち、ぐっすりと眠って目覚めてみればラクレスは随分と身体が軽くなった気がした。スマートフォンを手元から離していたのもよかったのだろう。無意識に仕事のことを考えることもなかった。寝起きにジェラミーにのし掛かった重みで起こされたのも幸福な目覚めだと思えるくらいだった。
　朝も一風呂浴びてから朝食を食べ、遅めに宿を出て兄弟二人と愛犬一頭で帰路についた。途中で寄り道をしながらのんびり帰ろうと車に乗りギラの運転で走り出そうとしたところでバイクが一台隣にやってきた。ラクレスは悪い予感がした。
「出たなストーカーめ」
「おっと、ご挨拶だねぇ」
　フルフェイスのヘルメットから目元を覗かせたのは、ギラの友人のジェラミーだった。
「ジェラミー、こんなところで偶然だね」
「そんなわけあるか」
　呑気な弟の挨拶に被せてラクレスは強めにたしなめる。ギラは心を許した相手に対して甘すぎるのだ。家族旅行先に呼んでもいないのに現れるの

は親友ではなくストーカーと呼ぶに相応しい。
「これでも気を遣って帰り道に合流したのに」
　この後ついてくる気満々の男にラクレスは温泉で溶けて消えた眉間の皺が戻る気がして額を抑える。
「ランチにいい店を予約しておいたよ。もちろんそいつも同伴オッケーさ」
　ジェラミーは後部座席から顔を覗かせていた自分と同じ名前の犬を指し、この後の兄弟の予定にすでに自分を捩じ込んでいると堂々告げてくる。
「お疲れサラリーマン殿、ストレスは解消されたかい」
「今ぶり返したところだ」
「そいつは大変だ。景色がいいところでうまいものを食べて解消しなきゃ」
　百パーセント善意ですと顔に書いた男は「さぁ行こう」とバイクで先導する気満々だ。
「ジェラミー、店の位置教えて。車のナビに入れておくから」
「店の情報ごとスマホに送ろう。はぐれないでおくれよ」
「そっちこそ安全運転でね」
「ふふ、もちろん」
　今の「ふふ」は信用できないやつだなとラクレスはこめかみを押さえる。
「ギラ、はぐれても構わないから安全運転で頼む」
「了解」
「ワフッ！」
　なぜか犬のジェラミーもギラと揃って声を上げた。
　もしかして最初からジェラミーと合流する予定にしていたのかとラクレスはちらりと疑ったが、

おそらくギラは本当に何も知らなかったのだろう。せいぜい大学で旅行の話をした程度のことだ。そこからどうやったのか旅行先に辿り着いたジェラミーが恐ろしい。
「ギラ、友人はよく選んだほうがいいぞ」
「ジェラミーも他のみんなもいい友達だよ」
　にこりと笑ったギラは先を行くジェラミーのバイクを追って車を走らせ始めた。
　仕事のストレスは消えても弟への心配だけはどうにも消えそうにないとラクレスは助手席でため息を吐いた。

「本当にいい店なのが腹立たしいな」
「そこは素直に喜んでおくれよ」
「おいしいねぇ」
「ワフッ！」

November 16, 2025 at 6:23 AM

mina🍒

@genj2sk.bsky.social

別に良いけど……基地の部屋の壁厚いしもうあのお二人でいいように……って触れないようにしてるのに、壁が金属なので思いの外反響して結局ダダ聞こえなのに当人達はバレてない🎶と思ってる(特に🌟はバレてないと勘違いしてるので声がデカめ)なのでどう気づいてもらうべ…って頭抱えるビーコンさんら…

December 24, 2024 at 4:50 PM

.

@qpdx.bsky.social

夕、頭いいからなんでこんなに素直に受け止めてくれるのか疑問は持ってそうだしいつか聞きそう　そんで心中のこととか渋々打ち明けられて色々思い出すんだわ
夕巨根概念あるから若さのままに結腸ぶち抜かれてますね　すだれ世界よりちょっと幼めだから夕は　色々思い出したら達観じみてくるんだろうけど今セックスしてる時なんかもう必死に腰振ってるわ　愛してる、愛してる…！ヴェﾉﾚ卜さん、愛してる…ッ！って
バレたら終わるってエロいよな　頭いいから二人とも　卒業までバレないだろうけど、そういうことヤってるのがすでにエロい

July 18, 2024 at 3:11 AM

まるちゃんらんど

@mchland.bsky.social

めるくんのこと攻めって言ったけどうさぎの攻めも見たくなることあるからその時は逆をやってもらいます　二人と分かれば何でもいいので性別を変えたり時には設定もやや変える　こんな何でも許せる人向けのうちよそをやらせてもろてフレには頭が上がりません……

December 26, 2023 at 3:05 AM

TT

@tt-san.bsky.social

「金よりもなおまばゆく」（1/2）西国で同じ先に仕えている長次と小平太の話

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
以下は本文の内容です。

　西国の秋は濡れたように光る。霧雨のように降る金の光は煙って滑らかだ。日は中天をゆっくりと下り、なお光はちらちらと散って淡い。長次はもう抜くところのなくなった雑草を、庭をもう一周して探す。秋の色へと変わった落ち葉を二枚、三枚と拾ったところで気配に振り向く。
「山栗を拾った！」
　こんなだぞ、と脱いで肩へたすきにかけた上衣の包みを指さして笑う顔にも金の光が射す。西国の光は子どもの頃より慣れ親しんだものと比べてどこまでも届く気がする。その分よく焼けた肌に目立つ、開けた大口からの強く白い歯が覗く。
「まずは頭を洗え」
　ああ、と小平太がばさばさと髪を手で振るって、もう乾いてるぞ、と言うがそういう問題ではない。顔半分は乾いた血が顎までまだらに残り、手でかき混ぜた髪からも赤い粉が散っている。マダニの群れに襲われたのでもなければ、どう考えても血だ。
　先日、偶然に山奥で栗の林を見かけてなあ、と得意げに小平太が言う。誰も採っていないようだったから、よし、私がやってやろうと。山ほど採って帰ろうとしたところで谷に転げ落ちた。驚いた！　悪びれずに告げる顔に、長次は何も返さずにまばたきを一つだけ向けて、湯冷ましがある。告げて台所へと向かう。
　なあ、すぐに剥いて米に入れて炊こう。少し手間だが、と話しながら後ろをついてくる小平太に、うん、と返しながら長次はかまどの鉄瓶を手に取る。空の手桶をひとつ取って返し、井戸で、と促した。私がわざわざついてくる必要はなかったのか。笑いながら台所を覗き込んで、待ったのか。と小平太が言う。
「待った」
　手桶に鉄瓶から湯を入れて、井戸から汲んだ水を足す。頭、と言えば子どものように素直に前かがみになるので、長次は少しずつ髪へと注ぐ。赤みのある水が

切られた水路の先へと流れていくのを見てから、まだだ、と続けて二回目を繰り返す。
「痛くはないか」
「ああ、もう大丈夫だ」
　皮が少し切れただけだと返す声は明るい。いつも、声の調子の明るい男だ。十歳の頃から変わりない。懐から手拭いを出して顔をぬぐってやる。細めて笑った目の下や、端には細かいしわが寄る。私は目が大きいから、といつか小平太が言った。皮膚が人より動く分、働き者の服のように早くぼろになっていくんだろう。ぼろという言い方はないと返したか。じゃあなんて言えばいい、とまた笑っていた。
「心配したか」
「ああ、心配した」
　手渡した手拭いで髪を拭きながら問われる。大きな目玉に、金色の細かい光が降る。砂金よりも細かい粒をまぶしたようだと長次は目を細めた。心配した、ともう一度重ねる。
「朝から何も言わずに出て戻ってこなければ、心配もする」
　共に西国へと移り、運よく同じ主へと仕えることになった。忍術学園を卒業した忍者の評判を知っていた者がおり、忍者隊の再編を任され他領の出ながら頭目を務めてもうどれくらい経つだろう。
「私が死んだと思ったか」
　それは思わなかった。長次は首を振る。だが、どこかで怪我でもしたか、刺客にでも遭ったかとは思った。そう返して身を屈める。井戸のはたに放られていた上衣の包みを拾い上げると、栗を剥こう。それだけ告げて縁側へと向かう。
「斜面から落ちた時、年を取ったんだなあ！　と思った」
　まさか私が、と落ち葉の積もった谷底でしばらくぼうっとしてしまった。伊作をもう笑えないぞ。腰を下

ろした横に小平太も座ると、数えなくなったから今いくつかを忘れてしまった、と言う。長次、私たち、いま何才だ？
「卒業した時の山田先生と同じ年齢だ」
　ああ、と小平太が目を細める。長次は隣に座る横顔を眺めて、西へ向かうと告げたあの秋の日から、どれほど遠くへきたのだろうと思った。金の光がさらさらと肌を撫でていく。畿内と違う西の国の光だ。四十六か。小平太が顔を向けて言う。
「じゃあ、谷底に落ちては叱られる。そんな年じゃないだろう！　と怒られてしまう」
　頷いてから長次は苦無を取り出し、山栗の皮を剥いていく。小さくて厄介だが、刃はよく研いであるからそれほど難儀はしない。小平太が水を張って持ってきた手桶に一つめを放り込む。ぽちゃん、と音を立てて水底に沈む山栗もまた、秋の光を受けて金に揺れる。
「湯を何回も沸かし直したのだな」
「いつ帰るかわからなかったから」
　山栗の皮を剥き始めた小平太が視線を落としたままに、心配をかけた、と言う。うん。それだけを長次は返す。手元にも西の国の光が落ちる。まるで温かな湯のような光だ。とろとろと溶けるような金の光。穏やかすぎて生きていることを忘れさせるような光だ。西の地での暮らしを重ねて短くないというのに、時折こうして呆けたように目を取られる。垣も、屋根も、木も草も山並みも全てがぼうっと金に光る土地だからこそ、と長次はまたひとつ山栗を剥く。
「私が」
　平素と変わらない声で小平太が言う。
「死ぬと思ったんだな、長次は。あの時」
　それ以上の言葉がなくとも分かった。視線は向けない。ぱつと張った山栗の皮に苦無の刃を当て、すいと剝きながら長次は返す。
「西に行くと言ったから」

浄土のことかと。隣からは笑い声が上がる。笑い事じゃなかった。長次は手を止めて横を向く。丸い目玉がじっと向けられる。死なせるかとだけ思った。と初めて告げる。たった六年同室だっただけの、もうそれよりも長い年月を過ごしている相手が唇の片端を上げる。死ななかった！
「死んでも構わないと思っていただろう」
　しばらく黙ってから、そうかもしれない。まばたきをしない目が肯定する。あのまま行かせないでよかった。引き留めて、ともに春に発ってよかった。長次はぽつ、ぽつ、と言葉を続ける。身を寄せていた村で秋の刈り入れを終えた後、小平太は冬をとろとろと眠って過ごした。おれ、戦場でこいつを見たことがある。ずっと気鬱で寝ついていた仲間の一人が寝顔を見て言った。悪鬼のようだったが、そんなやつでも心が弱ればおれみたいに起き上がれず眠るしかなくなるもんなんだな。
　誰もが回復を待つ時間を、場を与えられるわけではない。何かを少しでも違えていれば、こうして西国で山栗の皮を剥くこともなかったのだ。山の中で、木のうろで、落ち葉の吹き溜まりでひとり、誰の目に留まることなく己を終えた七松小平太もいたのだろう。
「生きていてよかった」
　そうだ。少しの重さもなく小平太が声を張って肯定して、西国は魚もでかいしうまい！　生きていてよかった！　晴れ晴れと言う。つい長次も笑ってしまう。ああ、そうだな。うん、そうだ。まるで十代の子どものように小平太が肩でぶつかってくる。私は長次と一緒なのも嬉しいぞ。ずっと嬉しい。向けてくる視線の強さは山栗に目を落としたままでもわかる。つい口元が上がる。軽やかに小平太が笑う。
「じきに戦になるなあ」
　そうだな。長次は視線を上げた。景色は昨日とも一年前とも変わらずに穏やかだが、情勢はいつかそれを

February 11, 2025 at 9:05 AM

りゅんかー

@ryunca.bsky.social

『アクアマン／失われた王国』を観た

めーっちゃくちゃ面白かったwww 筋肉馬鹿な庶民派国王兄ちゃんと元王族で追放された系弟の二人旅…こんな題材で面白くないわけがない！ww

光るものがあればいいかなあと思ったらガツンと面白いもの出されて爽やかな気分で帰宅できた

家族映画的な側面もあるがそれほど家族家族してなくて、1でバチバチやり合った弟と旅しながら誤解を解いだり、二人で捕まったり逃げたり頭(筋)使ったり

敵のブラックマンタも魔術や呪いや技術のフルコンボでアクアマンとやり合える"格"が付いたり、終盤のタイマンは見応え抜群

2時間しっかり楽しめる良作だった

February 6, 2024 at 3:33 PM

三毛田

@mikedashiro.bsky.social

51日目
51 051.　悪戯な風が君の髪を浚って
べったー＋ https://privatter.me/page/6872215c60cae
#みけ1000字穹丹4
可愛らしいおでこが丸見えに #新書ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/shinsho/shinsho_bgtx.php

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「51 051.　悪戯な風が君の髪を浚って」、「mikeda_shiro」と記載されています。
画像情報：generated by 新書ページメーカー / オリジナル素材 / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

「わぶっ」
「きゃっ」
「三月、穹。無事か」
　さすが丹恒先生。しっかりした体幹ですこと。
　俺は風にあおられ、ひっくり返った上着の金具が頭に直撃。
　なのはふらついていたので、丹恒先生が素早く支えていて。
　ずるいと思うと同時に、彼のようなスマートさがないと許されない動きだなと。
「丹恒、風が強いから手を繋いで。お願い！」
「あっ。なの、ズルいぞ！　丹恒、俺とだけ手を繋いで。お願い～」
　丹恒の腕にしがみつくと、一瞬顔を顰めたように見えた。
　でも、どちらかというと困っているように見える。
「丹恒先生。美少女二人に囲まれて嬉しい？　あう、あうっ」
　勢いよく腕を振りほどかれ、それから頭を叩かれた。
　本気で叩いているわけじゃないけれど、これが意外と痛いのだ。
「照れてる？」
「もし照れていたら、どうするつもりだ？」
　今度は、俺の頭を叩いた手が顔へと伸ばされ。
「な、なんでもありません……」
　そっと距離を取る。
　意外と手が早いこの人は、実は手加減してくれなかったりするので。
「ほら。行くぞ」
「はーい」

「ま、待ってよ！」
「丹恒じゃなくて、俺が手を繋ぐんでもいいか？」
　なのへ手を差し出すと、ちょっとためらった後手を乗せてくる。
　先を行く丹恒の後を、二人で進んでいく。
「んっ」
　ふわっと、黒髪が風に揺らされ。普段は見えない額が現れて、ちょっとドキッとした。
「ここまでくれば大丈夫だろう」
　丹恒の案内で、たどり着いた依頼の場所。建物に囲まれているおかげか、風はさっきよりも弱くなっていて。
「穹、もう大丈夫」
「そうみたいだ。えーと。丹恒、もう一回依頼の内容教えてもらっていいか？」
「ああ。今回の依頼は」
　と、三人で確認していく。
　分担できる作業は分担して、それ以外はみんなで。
　依頼を終えて、依頼人へ報告しに行き列車へ戻る。
「疲れた～」
「お疲れ様」
　いつもは気づいたらシャワー？　を澄ませている丹恒だったが、今日の依頼で砂ぼこりを浴びたからと俺の部屋の風呂へと来て。
「さっぱりしたな」
「それはよかった。ほら、飲み物もどうぞ」
「ありがとう」
　パム特製のレモネードを作って渡すと、嬉しそうに飲んで。
　氷が多めのが好きそうだと思ったので、氷を多

めに入れて渡したら喜んでくれたみたい。
「丹恒」
「なんだ」
　隣に座ったので、そっとまだ濡れている紙に触れる。
「好きだなって」
「何が」
「お前のおでこ。可愛いなって」
「それは、俺に言うような言葉じゃないだろう」
「ううん。丹恒に言う言葉で合ってる」

July 12, 2025 at 8:50 AM

鴉羽凛燈

@nuregarasu-illst.bsky.social

祠壊しちゃったやつ1-3
#東西南北の諧れ

投稿漫画を文章に書き起こしたものを貼ります。

「アレ、壊してきたの⁈‼︎」
　壮年の男は素っ頓狂な声を上げた。アレというのは、彼らが居るこの山奥にひっそりと佇む小さな祠のことである。
　男と共にいた女性も、鳩が豆鉄砲でも食らったように目をまん丸にして驚いていた。
「乱暴だなぁ…」男はやがて強張った肩を慣らすためにそろそろと息を吐き、背にあった、男の腰ほどの高さの石垣に寄りかかった。
　男は先程驚きに開けた大口を釣り上げて、気持ちのいい程の笑みを浮かべ始めた。
「まぁ、頑張ってね」
　彼の言葉を聞いて、喉に息が詰まった。先程とは真反対とも言える顔は、しかし同じ男の顔である。彼の口からは、やけに尖った八重歯が覗いていた。
　何の慰めになるのか、俺こっちの世界のことよく知らないけどと宣う彼は、少し悲しげにも見えたのだから、少し------いや、その同情を存分に買えないものかと追い縋ったが、男は無情にも首を横に振るばかりであった。
「お家を壊されたら誰でも怒るでしょ」
　その言葉が耳に入った時、漸く己の手の中に現実が降ってきたような心地がした。
「約束事なんだから手順は守らないと……」
　山間から長く伸びる茜色の光が彼を照らしている。
　男の瞳に自分が入り込む。
　彼の瞳は茜色に映った。いやに夕焼けの光が強いな、と訝しんだが、今その事実は脳を掠めるばかりで、失われていく手足の熱をなんとか逃すまいとぐぐぐと指を握り込むので精一杯であった。目が赤に眩みそうだ。
　だと言うのに、なんとか震える声で助けを求めてみても、彼はごめんねと謝るばかりだ。
「仕方ないことはあるよね」
　既に現実逃避を始めた脳は、無駄な情報ばかりを拾い始める。例を言えば、男の服装を見ていた。彼は赤いパーカーを着ていた。
「悲しいね」
　彼は赤い男だなと何となく思った。
　男の八重歯の奥で、赤い舌が動いている。何の変哲もない平べったいその肉は「あ」と動いていた。

「ほら後ろ」

投稿漫画を文章に書き起こしたものを貼ります。

（p1の続き）
「ほら、後ろ」

「え？」
　祠を壊した張本人である人間----少年と少女は、その言葉をきっかけにびくりと体を固まらせた。
　その言葉のせいな気もするほどに、今まで何も気が付かなかった知らない気配が、自分たちの真後ろに居ることを自覚してしまったからだ。
　確かにそこには何かが居た。
　そろりと後ろを見た。

「だっははははははは！！！！wwww腰抜かしてやんのwwwwww」
　すっかり腰を抜かしてしまった少年と少女が見上げた先には、誰よりも背の高い男が、膝を叩きながら爆笑している姿だった。
「悪戯好きめ」
　背の高い男と知り合いらしい赤い男は、子供を見守る親かのように肩を竦めていた。
「あーーーー楽しっwwwww」と、疑う余地無しに言葉通り愉快を全身で表した男の声は、未だ恐怖と困惑に唖然としている少年少女を地面に置き去りにして、赤く染まった木々の中で悠々と響き走っていった。

投稿漫画を文章に書き起こしたものを貼ります。

（p2の続き）
　ひとしきり笑った男は、まだ声を振るわせつつも少年たちと話す気になったようで、上体を持ち上げ彼らを見下ろした。
　緑髪を己の身丈ほどに伸ばしていた男は、瞳も緑色であれば外国人かのように見えるも、話す日本語はまったく流暢である。組んだ腕の下から、首飾りとして下げている緑色の石の輪がきらりと光った。
「やっちゃったなァ、阿呆な餓鬼ども。-----あ？俺は祠の奴じゃねーよ。どう見たって違うだろうが」
　けけけと笑う彼を少年たちはまじまじと見上げた。
　考えられないほどの巨躯を持つ彼の口には、鮫のようにギザギザとした歯が行儀良く並んでいる。
「…………。化け物………」
　もはや正常に脳が作動していなかった少年は、思ったままの言葉を口にした。
　今まで吊り上がっていた男の口が、一瞬で弾き結ばれる。
　少年がやばいと思った頃などとうに遅く、緑の男は彼の胸ぐらをむんずと掴めば、ぐいと己の顔もとまで彼を引き上げたのだ。少年は男の腹ほどの身長であったから、己の身の倍ほどの高さまで引き上げられたのだ。気管が圧迫され、少年はえずく。少女も咄嗟に逃げ出そうと背を向けたが、男に頭を鷲掴みにされればそれ以上進むことなど出来なかった。
「いい度胸だ糞餓鬼」
　うろに響いたように低い声が少年の鼓膜を震わした。
「アレより先に喰ってやる」
「「びゃあああああああああああああああ！！！！！！」」
　碧の男の宣言を聞くや否や、少年少女はたちまち金切り声をあげて暴れる。
　少年は男の手を引っ掻き、足で胴を蹴り付け、少女は懸命に腕で空を掻くも、しかし全てを嘲笑うかのように男は姿勢を一ミリ足りとも乱すことはなかった。
　
「まぁまぁ」
　少年少女の細い喉が枯れるのが先か、食われるのが先かといった具合に、見かねて待ったをかけたのは、赤い男と共にいた女であった。

投稿漫画を文章に書き起こしたものを貼ります。

（p3の続き）
　黒髪を二つに結んだ女は、やはり緑の男とも知り合いらしい。軽々と男から二人を引き離せば、彼から守るように二人を両脇に抱き止めた。
「お前が驚かせたんだろ。無理を言ってやるな」
　緑の男は釈然としないように眉間に皺を寄せていたが、彼女から二人を奪取しようとはしなかった。
　少年は、漸くまともに空気が通った喉を労りながら、これ幸いにと理不尽とも言える所業を彼女に訴えかけた。
「あいつ頭おかしいって！！！！大人のくせに！！！！」
「ねぇ！！！さっきから何もわかんない！！！！揶揄うのやめてよ！！！！！」
　漸く頭が考えることを始めたのか、少女も一緒になって彼女に訴えかけ始めた。
　少年や少女にとっては、まるでアニメかゲームの話を、さも現実のように大人が話しかけてきているようにしか見えなかった。だって祠はただの石を組み立てた置物だし、人を食うという男は、確かに背は高いが他は普通の人間と変わらない。悲しいといった赤い男は、さっきからずっとにこにことこちらをみるばかりである。
　もう充分だろう、と幾分か話が分かりそうな女に身を乗り出す勢いで訴えてみたが、女はなんだから気まずそうに目を泳がせるのみであった。
　まだしらばくれるのかと憤った少年らもにも関わらず、彼女はあーーと唸る。やがて何故か困った様子で苦笑した彼女は、うんと頷き、二人の肩に手を置いた。
「すまん」
　二人は漸くこの身を震わすどうしようもない感情から解放されるのだと、彼女の謝罪に耳を傾けたが、ふと何か違和感に目が動いた。確かに何か、ほんの数秒前とは違う風景が見えた気がしたのだ。何なのだろうと注視すれば、漸く気付いたことがあった。
　女の容姿が変わったのだ。
　服装が変わったわけではない。黄色いスリーブレスのサマーニットにワイドなジーパンを履いた彼女は、背丈こそ彼らとあまり変わりないが、どこか凛としたかっこよさがある。それは彼女の濡烏のような髪と目の強さにもよるだろう。アクセをつけてオシャレをしたその耳が、そうだ------大きく見えた。
　先程よりも大きく耳が見えたのだ。髪が風にでも靡かれて見えるようになったのかと改めて目を向ければ、そうでないことがすぐわかった。
　それは、それこそ物語に出てくるエルフのように、あるいは鬼のように尖った大きな耳の形になっていたのだ。悪戯かとも疑ったが、彼女の腕は二人を掴んでいるし、他男二人も離れたところに居る。
　目を瞬かせながら二人が彼女を見れば、彼女はにっと笑った。
　そこから覗く八重歯は、先程には全くなかった尖った切先を光らせていたのだ。まるで吸血鬼のようなそれに、二人は口角をひくつかせた。
「すまん、人間じゃないのはその通りなんだ」
　彼女の言葉を理解した時には、二人は再び叫び散らしていた。
　その声は虚しく、人気のない山の中でこだまするばかりであった。

（続）

November 19, 2024 at 3:28 PM

とうこ

@mntouko.bsky.social

(2/2)

ほら、お馴染みのＤＪがアリーナ中に轟くような声でスリーをコールした。一条の光の軌跡がど真ん中を射抜いた証だ。アリーナ中が爆発したかのような歓声が、渦巻くような興奮の坩堝と化している。視界の端では少しだけ揺れたネットが、何事が起きたのかもわからないような静かさで波打っている。それだけ綺麗な、スウィッシュだったのだろう。
　宮城は今度こそきちんと綺麗に笑いながら、大歓声を背負う三井をハーフコートラインを超えたあたりで出迎えた。ハイファイブをするなんて、人生で何回目だろう。
「ナイスカット！」
　頭を撫でられるのだって、何回目だろう。もう数え切れないくらいに三井と同じコートでバスケをしている。宮城は三井と同時にスクリーンを見上げて、残り時間を確認する。点差は七点。
「あーもう！　ディフェンス！」
「よしよし！　行くぞ！」
　相手が焦るにはちょうどいい時間だ。三井と宮城は再び同時に腰を落として攻撃権を持った相手を自陣にて待ち構える。油断もしない、慢心もしない。最後、ブザーが鳴るその時までは。
　
　
　
　そうしてブザーが鳴った瞬間、宮城は拳を突き上げた。相手が追いすがったようなスリーが決まったが、奮起したジャックのダンクで再び突き放す。逃げ切った勝利。途中シーソーゲームを演じながらも勝ちきったチームに、ホームアリーナに訪れたブースターたちは誇らしげに手を叩いている。ベンチのメンバーからは手荒い称賛と歓迎をされた。ばしばし、と効果音がつきそうなくらいに背中を叩かれて、笑顔を返す。こだまするようなチーム名を誇る客席のコールを聞きな

がら礼のために頭を下げていれば、三井が宮城の肩を抱いてきた。
「おう宮城、おめでとよ！」
「何が？　アンタこそおめでとうじゃん。通算七〇〇本」
「……いやマジかお前」
「は？」
　互いに汗まみれの身体。まだ引かない熱も汗もタオルに吸わせながら、全員で一列に並んだ。ベンチを背に、それでもお行儀がいいだけではないメンバーはそれぞれ無駄口をききながらヘッドコーチの言葉に耳を傾けている。何度か注意されたこともある気がするが、最近の広報は諦めたのか半眼で小言をちくちくとぶつけるに留めていた。自席ではなく、司会のために今日はじめてコートに立つアリーナＤＪにより、本日のヒーローがコールされるのを待つ。本日は三井で決まりだろ、と誰しもが思っていて、宮城もその一員だった。七〇〇本て。この年で。通算。どんだけだ。コワ。宮城もそのうち追いつくつもりではいるけれど。
　三井は宮城の顔をまじまじと覗き込んでくる。その驚きと喜びが隠しきれない視線を真正面から受けていれば、息が徐々に整いつつある三井は疑問を呈してきた。
「誰にも言われなかったのかよ。試合開始前とか」
「……いやなんか広報に言われてるかもって思ったけど、今日盛り上がりすごくて裏でもよく聞こえなかったし、とりあえず返事だけしてた」
「うわ。……まあ緊張しないで入れたんならよかったのかもな」
「だから何がって」
「ではここで本日のヒーローは当然、このふたり！」
　アリーナＤＪの声がマイクを通して歓喜の滲んだ声を張り上げる。
「スリー通算七〇〇本を達成しました三井選手！」

わあ、と観客席が一斉に、さらにもう一段階上があったのかと思うほどの拍手と歓声を轟かす。それがわずかに落ち着くのを待って、二人目。
「スティール通算三〇〇本を達成、宮城選手！」
「……オレぇ！？　え、そうなの！？」
「おら行くぞ」
　三井に引き摺られて、設置された段に上がる。スポンサーのロゴが刻まれたものを踏んでいいものかと毎回思うが、それを良しとしているからいいのだろう。それでは宮城選手。スタッフにマイクを手渡されてコメントを求められる。とりあえず、宮城は照れ隠しに嘯いた。
「えっと、ありがとうございます。――達成したら三井サンに焼き肉おごってもらえることになってるんで」
「ア！？」
　大袈裟な三井の声が、すぐ隣だからかマイクに入ったらしい。その反応に会場中に笑みがこぼれている。宮城はマイクをふたりの真ん中に調整する。
「……仕方ねえな！」
「よしこれ証拠な、確かここ配信残るよね」
「……オメーよ！！」
「あはは！　次は四〇〇本目指しまーす！」
「……そん時は？」
「三井サンに焼き肉おごってもらいます」
「オメーな！」
「ツッコミ単調になってるすよ、なんすかバテてんすか」
「ハァ！？」
「はいというわけで三井選手と宮城選手でした。おふたりにはマスコットのぬいぐるみにサインをして頂きます」
　収集がつかなくなりかけたところで、三井のコメントは特になく（後ほど広報向けにインタビューがあるとは思うが）、きちんと司会に回収される。宮城は三

井とともにスタッフに先導されて、渡されたペンを握った。汗で滲んだ掌。つるつるとした筒は、すぐに掌の温度っであたたまるだろう。今夜はふたりで記録を達成した記念すべき夜。誰よりも近い隣でサインをはじめた三井を見上げる。白い光に照らされた額に、汗が伝ってプリズムのように弾けるように、光っていた。

October 18, 2024 at 2:58 AM

町

@saaaiiiy.bsky.social

すげ〜〜～チェスの戦いを人間で見てる気分
頭が疲れるぜ！

人間社会に疲れ果てた人間ってさ
高純粋の善に出会うと脳みそ焼かれるよね

殺していいって言ったのに生きててくれて嬉しいと思ってるその矛盾〜〜～！！！
やっぱ千空のことかなり大好きだろゼノ

マジで好きだなルーナちゃん

ニッキー〜〜～！！！！
やっぱドクストの女の子みんな好きだ
なんかみんなもう全て失った状態からのスタートだから本気で覚悟がガンギマってるのがわかる

付け回されてガチめに殺さるとわかっていて連れてっちゃうんすか、ゼノ……！！！

ちゃんとさ、この二人さ、自分たちが〝師弟関係〟にあるという意識でいるんだな……

November 3, 2025 at 4:08 AM

お芋さん太郎

@oimo3taro.bsky.social

【ロシナンテ生存IF⑪沈静】（4/12）
二次創作らくがきSS。
⚠️ナギナギのオリジナル技が出てきます。苦手な人は注意してね！

◎前回のあらすじ◎
・10年前のスワロー島で、ロシナンテとシャチとべポは出会いました。
・三人はポーラータングで再会しました。
・弱気なロシナンテをシャチが殴りまして、べポは立てこもりを続けました。
・おや？ジャンバールの様子が…？

ロシナンテ生存if⑪沈静

　白馬の背中にごろりと寝そべり、見上げた空は粉塵だった。ローが長年ずっと練り続けてきた作戦は、たったの数時間であっけなく無になったのだ。
　　王は非道の手の内をさらし、血ぬれの民衆は大パニック。大地と青空のあいだには糸の檻が不自由を主張する。それらはローが決して見たくなかった光景だ。
　同じ馬に乗っている麦わらの男。こいつさえ来なければ、こんな最悪の事態にはならなかったかもしれない。人の気も知らないでギャーギャー騒ぐまぬけ面に、ローはひどく腹がたった。
「コラさんを連れてゾウへ行けと、おれは言ったよな！　なぜ行かなかった、麦わら屋！」
「なんだよコラサンって」
「お前が連れてきたあの人だ。ドンキホーテ・ロシナンテ、おれの恩人だ」
　ああ、ドジ男のことか。ルフィはそう納得して、無駄な言いわけをツラツラと並べ始める。
「そう怒んなって、おれにも事情があったんだよ！　海より高～い事情だ」
「それを言うなら『海より深い』だ、ルフィランド」
「あれ？　そうか？」
　馬に乗り合わせたキュロスが口を挟んだが、ローが睨みをきかすとスンと黙った。
「ミンゴのやつが美味しいお肉をくれるっていうから……」
「なんだその理由は、フザけてんのか！」
「フザけてねェよ！　それだけじゃねェ、山より

深～い事情もある！」
「それを言うなら『山より高い』だ、ルフィランド」
「あれ？　そうか？」
　キュロスが再び口を挟んだが、ルフィはかまわず続けた。
「錦の仲間がここに捕まってるっつーから……」
「おいて行けよ侍なんざ！」
「でも錦がいねェと忍者に会えねェ！」
「忍者？　忍者がいるのか？」
「ゾウにな」
「そうか。じゃあしょうが……なくない！」
　ローが「忍者」という単語にわず納得しかけ、すんでのところでなんとか正気にかえる。
「なにをソワソワしているんだ、トラファルガー」
「ソワソワなんてしてねェ。話をそらすな」
「僕が悪いのか！？」
　ニヤニヤ顔でちょっかいを出したキャベンディッシュに釘を刺すと、ローの頭もちょうどいい具合に冷えた。
　ルフィの行動が規格外なのはシャボンディ諸島やマリンフォードで見た通りである。文句ばかり言っていても何も変わりはしないのだ。
　そのタイミングで、キュロスがローに向き直る。
「君はドフラミンゴの仲間じゃないのか？」
「あいつはおれの大切な人の命を奪おうとしてるんだ。相容れるはずがねェ。あんたには……あんたらの国には、悪いことをしたと思ってるよ」
「……そうか」
　理不尽に踏みつけられ奪われる者の気持ちは、ローにもよくわかっている。どんな事情があったって、国の乗っ取りなんて許されるはずがない。

いくら言葉を並べても謝罪には足りないし、慰めなんてもってのほかだ。それでも謝らずにはいられなかった。
　キュロスがわずかに目を落とす。そして自らの固い握りこぶし――おもちゃではなく人間のこぶしだ――を見て、すぐに顔を上げた。
　キュロスは王宮でのローとドフラミンゴ、そしてペンギンとのやりとりを、部屋の外から見ていた。初めはただの仲間割れだと思ったが、どうやらなにか事情があってドフラミンゴ側にいるのだろう。そう察するのに十分なできごとだった。
　そもそも国の乗っ取りのとき、このコラソンという最高幹部は子どもに近い年齢の若者だった。浮かない顔をして冷たい目を隠しもせずに、ファミリーの面々を見ていたのが印象に残っている。
「にわかには信じがたいが、王宮でのやり取りに嘘はなかった」
　ドフラミンゴがこの国に来なければ。何度そう思ったことだろう。
思いだすだけで、がむしゃらに剣をふるい、目に見える敵全員に切りかかりたくなる。頭のてっぺんからつま先までのすべてが、燃えるほどに熱くなる。
　キュロスはファミリーのすべてが憎かった。しかしローへの複雑な気持ちには、ひとまず蓋をした。まずは国を取り戻すことが先決なのだ。
「今はひとりでも多くの戦士が必要だ……ドフラミンゴを討つために！」
「おい兵隊！　ミンゴのやつを倒すのはおれだからな！」
「バカいえ、おれがやる！　コラさんの悲願でもあるんだ」

キュロスに張り合ったルフィに、ローが張り合う。目的が同じであっても素直に仲良しこよしができないのが、海賊というどうしようもない生き物の性らしい。
「そういや、ドジ男はどこ行ったんだよ」
「おれのクルーに任せた。あいつらなら確実にコラさんをゾウに送り届けるはずだ。おれが言ったことは確実に守る。てめェと違ってな」
　ローの口調はルフィを咎めるようなものだったが、ルフィはまるで気にせず、のんきに鼻をほじるだけだった。
　失礼な男からは視線を外し、ローはドフラミンゴがいる王宮のある台地へ目を向ける。決戦はの時は近い。

◆

　シャチとロシナンテは、武器を持ったハートのクルーたちにぐるり取り囲まれていた。しかしその刃の先は、ふたりとは別の人物に向かっている。
「命令違反だ、ジャンバール」
「ああ。そうなるな」
「そうなるな……って、なに冷静に言ってるんだよ！」
　武器を向けられているジャンバールよりも、むしろハートのクルーたちの方が冷静を欠いている様子だ。ただならない雰囲気に、部外者なはずのシャチとロシナンテは冷たい汗を流した。
「お、おい！　どうしたってんだよ」
「お前ら仲間じゃねェのかよ！」
　答える者はいない。ジャンバールは両手を上げて、敵意のなさを示しながら、堂々と胸を張る。
「弁明はしない。思ったことを言ったまでだ。

May 12, 2025 at 11:40 AM

はるの

@harunoverse.bsky.social

マグさま燃え尽き症候群になっててめちゃ笑ったしそのあとめちゃ泣けてきた　なんかこの人…ほんと幸せになってほしい…どうしたらいいんだ

敵が電気的生命体だったんだけど、そん中どかっと入ってくるつよつよ磁気帯びてる人嫌すぎるだろうなってキャッキャしました
あとチャールズがムキムキで笑った　すごいね？！？！上腕二頭筋で締め上げそう

April 10, 2024 at 6:07 AM

ゆめみ♈️

@yumemhit02.bsky.social

食事に行けば原産地と原価率と客入りの回転速度を気にし、花屋で品種改良の歴史を考え、花火の色を炎色反応でとらえる深祈さんはときおり人付き合いに向いていないが、それはたびたび班長も同じだ。
#お題ガチャ #頭いいめの二人 odaibako.net/gacha/11622

みきさん…

頭のいいめの二人の戯れ

俺みたいな凡人には理解できないけどあいつらが仲がいいってことはわかるぜクラスメイト、天才と秀才、主従、先輩と後輩、上司と部下などの関係性を想定内容は非恋愛かつ僻み妬みの類とは無縁ですが改変自由なので創作ネタとして自由に。 40パターン。一人目の方が性格きっちりしてて二人目の方がふわふわ率が高い年齢差がある場合二人目が年下の方がおさまりが良さそう作者は一般凡人。

odaibako.net

October 13, 2024 at 1:57 AM

戸木

@ktkxxxktk2.bsky.social

「キミがいればなにもいらない」ちゃんと付き合ってるクルケロ　4/6

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「セール叩き売りの札を貼ったこともあるといったら睦実が過呼吸を起こした」、「ktkxxxktk2」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「あのネ」
　そろりと四つん這いに近寄ってきた緑の男が、ふたりきりの部屋でささやいた。
　人があぐらをかいている傍に寄ったかと思えば、伏目がちに何かを言い淀んでから屈んだ体勢で上目遣いに見てくる。ので、それを黙って見返す。仕事中の端末から指を離さず、そっと自分の太腿に緑の指が添えられ軽く食い込む感触にほんの僅か首を倒した。
「我輩、クルルがいればなにもいらないであります」
　こくりと喉を一度鳴らして、普段は同じ目線をわざわざ下から覗き込む配置に自分を置いて上目遣いでそんなことを宣う上司は、一応クルルとはいわゆる恋人同士というくくりをしていい間柄のはずだ。好意は色々な成り行きで伝えあったし、することも大凡クリアしている。ボクたち付き合ってますヨネなんて口で言い合ったことがないので、それで違うと言われたらセフレにランクダウンであるし純情を弄ばれた代償に自分が何をするか分かったもんじゃない。あんな蕩けた顔を知っているのは自分だけがいいと切望する程度には脳がやられているしコクハクなどということまでしたのでことこの男に対する自分の行動は予定外のことばかりだ。なので、本当にわからない。大人しくしていてほしいものである。
　それを分かった、と笑って受け取ったのはケロロだ。仮にもこの男にそのあたりの情緒があれば、弄ぶ前提でなければ一応恋人というもののはずである。自分が望んだものだ。クルルにとっては来ることもさっぱり予想していなかった初恋だったので、何がなんでももぎ取りに行った己の行動力は自身も知らなかったので愛とはかくも偉大らしい、と他人事の温度で思う。
　では、とりあえずカテゴリとして恋人というものらしい緑の男が、こんな恋愛で脳が溶けたようなことを抜かすだろうか。言ってくれたら嬉しい程度のささやかな妄想はしたことがある。若さというものであるの

で許されたい。考えた後に自分を殴りたく思うなど花の咲いた頭には辟易したが、それが現実にころりと寄越された。ひとつ、呼吸をする。二秒ほど忘れた。
「…………イヤ俺の隊長がンなコト言うわけねーだろ宇宙随一の物欲の権化が」
　言われたことより、こんなことでいちいち固まる自分に対してげんなりとした声が出た。妄想は妄想であって現実に起こられても困る。普通に怖い。すると、ケロロは自身への呆れと捉えたらしい。うるうるおめめを瞬かせたかと思えば、ぷうと頬を膨らませる。おっさんがすんな。似合うだろうが。目薬丸見えなんだよ。
「ひっでえ！　クルルのたいちょう♡が目の前でキャワイーくいってるんでありますよ、もっと動揺するとかさァやさしーく俺も♡とかいわねーの？　つかすなおに信じろよ！　何真っ先に疑ってんだよかわいくねーでありますな！」
　色仕掛けを仕掛けてきた方が何かいってる。せっかくエロく添えられた指が離れてしまった。しかもたいちょう♡の部分は両手を顎に添えたポーズまで取る始末だ。作業を諦めてキーボードから手を離す。
「クク、隊長が打算なしにンなこといった日にゃ、モアが喚ばなくたって隕石が降りますネェ～。ンで？　今度は何したんスかァ。金の無心なら俺のカード渡してンだろ～」
「い、いいいいくら我輩でも部下のカネに手はつけねェしクルル我輩のコトなんだと思ってんの？！」
「金の亡者で年中素寒貧の金の匂いに敏感なくせに商才ゼロの銭ゲバ」
「銭ゲバはおめーだろ黄色野郎」
「クック、一昨日のブツのカネ今請求してもいいんスよォたいちょ～」
「エー、ケロロぉ、クルルきゅんのやさしーとこダイスキ！　あと一週間待って！　お小遣いでるから！」

こういう時くらいしか言わないくせに大安売りしやがるもんである。たかが千円待つ程度で大したリターンだ。一人称を自分の名前にすんなそんなぶりっこ通じると思われてんのかと息を吐いて亜空間倉庫に手を突っ込む。
「なんだ、あのカードじゃ足りねえのかァ。待ってなァ確かこの辺に」
「ステイ出すな出すな何出すんだ我輩どっちかっつーとキミのそのあたりまえみてーな顔で我輩に貢いでくるところが怖い。やめなさい。自分のお金はもっと大事にしなさい。老後とかさ、色々あるんだから」
　急に真顔になって年上の顔で諭さないでほしい。軍人なんぞしないでも困らない程度の金くらいあるのだから遠慮などいらないというのに。発明品の特許だのが腐るほどあるクルルからすれば、金なんぞそこまで躍起になって欲しがるものではないので、この男の浪費癖とその苦労はとんと分からない話だ。
　さっきの言葉はきちんといってくれれば「クルルだけ」しか見ないようになどいくらでもできるくらいには困っていない。しないのは単に、やる気がないためだ。ケロロが冬樹は当然として夏美も秋も日向家まるごと大好きで、幼馴染を自分のものだと思っているし、慕ってくる後輩を大事にする、なんだかんだ義理堅い上に宇宙一の強欲な男なのでクルルだけなどとそんな視野を狭めた世迷言をいうわけがない。目につくもの全部欲しがる底なしだ。なので実現しないことをよく知っている。
「クク、こえーとかいうなよタイチョ。俺様のラブのキモチだぜェ～♡　つか別に怒んねーし、いくらでも好きに使えつったダロ。気にすんなよ」
「あのね、我輩があたりまえにキミの財布カラにした前提で話進めるのやめてくれる？」
「ええ～それ以外にアンタが俺以外いらねーとかいうんですか～？　クルルきゅんドキドキしちゃ～う」

緑の男の口から出たきゅんはなかなか悪くなかったのでしなをつくれば、黒い瞳が半眼になってしまう。クルルには覿面に刺さるとはいえ自らぶりっこしたおっさんにそんな顔をされる謂れはない。
　肩を揺らしていれば、ケロロが立ち上がる。怒らせたろうか。
「あによ。……我輩が、そういうのいっちゃ悪いの？」
「ク」
　頭上にかかった影に顔をあげれば、逆光のなかに怒りからのものばかりではないなにかで肌を染めたケロロがいる。
「…………いいじゃんたまには」
　唇を尖らせ、ほんの少し目尻を染めて、上から睨む様な目線で。
　眩しさに目が眩んで眼鏡をしていたことに心底安堵した。こんな顔見せられない。目の前だからこそだ。目は口ほどに物を言うとこの星ではいうらしいので。
「ククッ。たまには、ね」
　たまには。たまには、と脳内で繰り返す。恋人といわれたことも、彼氏だなんだと言われたこともない。素直に信じろと怒った目の前の男こそ、もっと素直に甘えてくればいいのにと思う反面、こうして時折見せる表情ひとつ、甘露に等しい。希少であればあるほど、与えられればしみるというもの。
　喉を鳴らして、頬に手を伸ばす。触れた肌が熱を持っている。驚きはしたが悪い気分じゃない。
　今度の潤んだ瞳は、どうやら本物らしかった。
　ぎゅ、とその触れた頬を摘めば怪訝な顔をされた。痛みがあったらしい。夢ではないようでなによりだ。
「でェ、ホントのトコはなにやったんでェ？」
　かわいげのねえ、というような顔を再度された。そんなものをこの自分に求めるなと何度でも言っている。
「疑りぶけーにもほどがあるであります。ホントもうちょい信用してよキミのスキピ」

September 1, 2025 at 12:22 PM

naon(ナオン)

@naon0003.bsky.social

　隣でまだ気持ち良さそうに寝息を立てている男の髪は、どうやったらそんな癖がつくのか？　後ろ髪がくるんと柴犬か何かの尻尾のように綺麗に上向きに渦巻きを作っていた。
　一緒のタイミングで目覚めたなら、まあおれが直してやらないでもない。そう思ったものの、たまにぷすーと呑気な鼻息をたてている姿を見れば起こす気も起こらず。健やかに眠り続ける顔を見つめ続けること数分。気が済んだので先に起きることにした。
　
現パロ。同棲👒🐯で朝のひととき。やや甘め。
全４ページ。

いつもは眉に、これでもかと深いシワを寄せて起き出すローがルフィより早く顔を洗って朝飯を作っていた。
昨日は遅くまで久々にゲームだ映画だ二人ではしゃいで遊んでしまったのでまだ眠い。
ふあああああ、と口をたわませながら欠伸を一つ。次いでもう一つ。
早ェーなトラ男、とルフィの分とロー自身の分。二つのマグカップに湯気のたつコーヒーを注いでいる後ろ姿に貼り付くと、おはようの一言と共に柔らかな微笑が振り返った。
「砂糖はいるよな？」
頷くと、赤い方のマグの方にだけ真っ白な角砂糖とくるんと一周ミルクが足され差し出される。
あちっ。
まだ熱いカフェオレに赤くなった舌を出すと、やっぱりいつもよりふにゃっとしたローが気をつけて飲めよと中に入った角砂糖より甘い笑みを転がした。

「…………」
今日は何でだろう、朝からローの機嫌がいい。
仕事が休みだからか。それとも他に理由があるのか？
自分用の握り飯とルフィ用の食パンをトースターに並べ、じりりりとダイヤルを回す。
鼻歌こそ口ずさんでないが、ルフィと同じデザインの黄色のマグからコーヒーを一口。
玉子、まだ焼いてねェぞ、と言うので、「おれがやる！」とルフィが名乗りを上げ冷蔵庫から卵を二つ持ってくると、今度はローの方が肩越しにくっついてきた。
「トラ男は？　ハンジュクがいいのか？」
「いや。今日はお前と同じ両面焼きがいいかな」
そう後ろから囁かれ、手元をじっと見つめられているのは何だか落ち着かないし、近すぎる距離にちょっとドキドキしてしまう。

朝からこんなにふわふわされるのも、密着されるのも、滅多にないことすぎて。
じゅーじゅーと焼けるフライパンの目玉焼きの音よりも、不思議と大きく聴こえるローの吐息がこそばゆい。
端の方からパリパリと固まり、白と黄のきれいな目玉となっていく。玉子の焼き加減をちゃんと見なければならないのに、頭の中はそれどころじゃなくなって、ようやくひっくり返したときには、あちこちが少し焦げてしまっていた。
「トラ男のせいだぞー……」
いつの間にか片手が腰に回っている。
過度なドキドキは目玉焼きにもよくないんだと。
嬉しいんだけど、嬉しくないわけじゃないから何て言えばいいのか？　
でも、うまく作りたかったのに、と。
ふわふわなローを振り返れば、美味そうにできてるぞ？　なんて。ルフィのフクザツな心はまるで伝わってないようだった。
「今日のとらお、なんかヘンだ」

いつもはこんなこと朝からしてこねーのに。
腕の輪を緩め、自分の方からもぎゅっと抱き付くと、ルフィの後ろ髪を指に絡めくすくすくすくすとローが笑う。
「気にするな」
「気になるだろ！」
「ないしょ、ってやつだ」

January 29, 2025 at 3:53 AM

眞

@souvenir89cat.bsky.social

2/2

める。と、ブラントは「こっちがいい」と向かい合うように座りなおした。
「生きてる……」
「うん」
「次は僕も一緒に行く」
「え」
「もう試験もパスしたし上から許可も得た」
「待って俺聞いてない」
「今言った」
「事前に教えて」
「連絡取れなかったのはどこのどいつだ」
「ここの俺です……」
　正解、とブラントがベンジーの頬にキスをする。それだけで嬉しくなって口の端が上がる。
「現場じゃない仕事だって重要だってわかってる。特にイーサンたちにはサポートが必須だし」
　あいつ滅茶苦茶するからな、とブラントが愚痴る。たしかに毎回これでもかと滅茶苦茶する。それで結果を出すからなにも言えない。
「命の危険があるのも仕方ない、そういう仕事だ」
　そう。そういう仕事を選んだのだ。ちゅ、と音を立ててブラントがベンジーの口の端ぎりぎりにキスする。そこまでしたら唇にしてくれてもいいのに。
「でも君が危険なときにそばにいられないのは嫌だ」
　理性的で冷静であろうとするブラントにしては珍しい言葉だ。けれど彼は死にそうな大怪我をしてから少し変わった。それまでミッションで何度死ぬような目にあってもそれが自分が選んだ道だと変わらなかったのに。
「わがまま」

「ダメか？」
「いいや、最高」
　文句なしの俺のハニー。触れる唇に我慢できなくなってベンジーはブラントの唇を捕まえる。ん、と零れる声は艶めかしい。酒のせいか体は熱くて、もっと触れていたくなる。
　本当なら自分が死んでも生きてほしい、と言うべきなのだ。きっと。ブラントの良きダーリンとして。ベンジーは、イーサンになら言える。先に行け、頑張れ、生き残れ。
　でもブラントだけは手放しがたい。俺って結構ひどいやつなのかも。
「ブラント」
「ん」
「俺が死んだらどうする？」
「任務をちゃんと終わらせる」
「だよなあ」
　ブラントは強いから。ちゃんとそれを選べる。予想し得る答えだ。知ってた。
「――終わって、そしたらキッチンにある銃で頭を打ちぬく」
　ふふ、とブラントが笑う。本当はその場で一緒に逝ってやりたいけれど、と。ベンジーが息を呑んだのを見て彼はいっそう笑みを深めた。
「僕は強くないから」
　俺は弱いから。
「大切な人を失って息をし続ける自信がない」
　だから大切な人なんて、恋人なんて――命に代えても、と思える人なんて作らなかったのに、君のせいだぞベンジー。
　ブラントの声が甘やかでくらくらした。ベンジーは前よりずっと強くなった。現場に出るエー

ジェントだから、鍛えたし、度胸もついた。酒にも強くなったし知識も増えた。けれど愛する恋人の前では変わらず弱いままだ。彼は、ブラントは、ベンジーを弱いままでいさせてくれる。
「ああ、俺のせいだな」
　ごめんとは言わない。謝罪はいらないとわかっていた。
　これからもベンジーはエージェントでい続ける。ブラントも現場に出る。ときにはまたデスクワークをしてイーサンを怒鳴りつけたりするだろう。
　でもきっと終わりは。
「ベンジー」
「うん」
「愛してるよ」
「俺も、愛してる」
　愛して大切でいとおしくて、この世のなによりも大切な人が今ここにいるのに。ベンジーもブラントも今の仕事を辞めない。その選択肢が存在しない。似た者同士、どうしようもない。だからこうしてここにいる。
「俺たちが死んだらイーサン泣いちゃうな」
「そうだな」
　だからお互い限界までしぶとく生きることを諦めない。こういうときに他の男の名前をだすものではないとわかっているけれど仕方ない。だって彼はイーサン・ハントだからね。
　二人して顔を見合わせて笑う。ああ、幸せだ。この幸せのために、彼の笑顔のために、ベンジーは世界を救ったのだとさえ思う。
「そろそろ君の時間を僕にくれ」
「いくらでも」
「これから休養期間だろ、僕も休みだ」

もうしばらく書類と画面を見たくない、とブラントが蠱惑的に笑う。
「だから、明日は昼までベッドにいよう」
　必要なものはそろえてある。しばらく籠っていても大丈夫なくらいの食べ物も、日用品も、スキンも。
　そんなこと愛する人に言われて我慢できるはずもない。怪我が完治していてよかったとベンジーは心の底から思った。
「それって思う存分ブラントのこと愛していいってこと？」
　ベンジーは膝の上のブラントを見つめる。
「いくらでも、ダーリン」
　彼から降ってきたくちづけが、二人の長い夜の始まりだった。

May 20, 2025 at 5:40 PM

うりゆい

@uriyui.bsky.social

「朝食はパンにすべきかごはんにすべきか」「目玉焼きにはソースか醤油か」みたいな議題で夜通し語り合える來雅くんと語成。
#お題ガチャ #頭いいめの二人
odaibako.net/gacha/11622

頭のいいめの二人の戯れ

俺みたいな凡人には理解できないけどあいつらが仲がいいってことはわかるぜクラスメイト、天才と秀才、主従、先輩と後輩、上司と部下などの関係性を想定内容は非恋愛かつ僻み妬みの類とは無縁ですが改変自由なので創作ネタとして自由に。 40パターン。一人目の方が性格きっちりしてて二人目の方がふわふわ率が高い年齢差がある場合二人目が年下の方がおさまりが良さそう作者は一般凡人。

odaibako.net

December 15, 2024 at 7:38 AM

七味🌸3A七五三太（しめた）、尾形教師

@sitimi.bsky.social

#青春に咲く_空を舞う
あの、本当に四喜大という男が可愛くて可愛くてズルいんですけど……まず言いたいことはそのパーカー何〜〜⁉️😭可愛すぎるんですが‼️頭もかわいい…その笑顔も…尾形がめちゃくちゃ嬉しそうで、本当に良かったね尾形。四喜先生のお誕生日に一緒に過ごせて☺️
デカめコップでビール飲んでる二人可愛い〜〜！いい〜！（唸り声）
毎日の供給で幸福度がとてつもない…ありがとうございます！本当に！（本当に）
四喜先生、本当にお誕生日おめでとう🥳尾形に出会ってくれてありがとう✨

でんわ☎️新良花3A30 四喜大1年数学 @denwadesuyo.bsky.social · Aug 1

#青春に咲く_空を舞う
#🀀🀀🀀🀁🀁🀁🀂🀂🀂🀃🀃🀃🀊🀊
🀄️四喜happy birthday🀄️
飲みに行った後は2人で宅飲みしました🍻
明日は休みなのでべろべろに酔っていい日！！

August 1, 2025 at 11:26 PM

絆

@kizuna92.bsky.social

お風呂の中で居眠りしちゃうくらいくたくたになった相棒を見ていたら、降って来たお話です。
ヒンメルの数少ないわがままが、大切な二人に平和な世界を贈る事なのかな。。。って #新書ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/shinsho/shinsho_bg.php

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「お風呂に入ろう」、「絆」と記載されています。
画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Wengang Zhai on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

　玄関先から音が聞こえてきた。
　フリーレンは、魔導書をめくっていた手を止め、玄関を覗きに行く。と、そこには、明日まで魔族討伐隊として出かけているはずのヒンメルが、座り込んでいた。
　水色の髪の毛は砂ぼこりにまみれ、全身にわたってなんだか煤けている。マントの下、右袖がちぎれてなくなっているのが見て取れた。
　まつげが、頬に長く影を落としている。
「おかえり」
　そんなに疲れ切った様子でも、フリーレンが声をかけると、視線を上げてくれる。長く息を吐いたあと、安心したようにほほ笑む彼を見て、フリーレンの胸にも安堵が広かった。
　彼の瞳が自分の姿を映している、それだけで。
「早かったね」
「早くフリーレンの顔が見たくてね、凱旋そっちのけで先に帰ってきたんだ」
　そう言うと、彼はいたずらっ子のような表情で笑った。
　ヒンメルが顔をあげなくてもいいように、フリーレンもすとんとしゃがむこむ。
「歩ける？　お茶飲みたいなら淹れるよ。それとも一回寝る？」
　砂だらけの顔を覗き込むようにして問いかけると、ヒンメルは自分の前髪を数筋、摘んだ。砂を払うようにはじく。
「ちょっと寝たいーーけど……その前に、お風呂に入らないと、まずいな」
「タオルで拭くだけにしたら？」
「そういうわけにはいかないよ……よいしょ」
　かけ声をあげながら、ヒンメルが立ち上がる。よろ、と一瞬バランスを崩したが、フリーレンが支える前に重心を立て直す。

大きく深呼吸をすると、少しふらつきつつ風呂場へ向かった。
◯
　ぱちん。
　石鹸の泡が、フリーレンの手のひらでもこもこしている。彼女が手を動かすと、ぷるんと震えた。
　生クリームのよう。
　フリーレンは手桶にお湯を汲むと、頭から勢いよくかぶった。少し熱めの湯が、髪を伝って流れていく。腕にしがみついていた泡がぱちんと割れた。
「終わったよ、お先」
　前髪をかきあげて、ヒンメルに目をやる。
　けれどヒンメルは、湯船の中で首を傾げたまま。フリーレンが顔の前でぱたぱたと手をふってみても、反応がない。
　案の定だ。
「ヒーンメルー、おはよー」
　がっしりとした肩を幾度かつつくと、彼がようやっと反応した。首の角度はそのまま、うっすらと目が開かれる。
「あー……めちゃねてた」
　とろとろとした声がこぼれ落ちる。まだ、まぶたは半分しか開いていない。
　お風呂で寝ると危ないよ、という言葉がフリーレンの頭に浮かんだが、彼とて百も承知だろうから言わないでおいた。
　まあ、くたくたに疲れたところにお風呂入ったら、寝ちゃうよね。
「背中、洗ってあげよう」
「んあー……じぶんで、あらえる、よ」
「洗ってあげる。おいで」
　ゆめうつつな彼の遠慮をスルーして、フリーレンは自分の髪を軽くまとめると、隣に腰かけを置いた。その表面をぽんぽん、と叩く。

否やを言わせない彼女の態度に、やっと覚醒したヒンメルは、コクンとうなずき返した。耳が赤く見えるのは、お風呂のお湯であたたまったせいばかりではないだろう。
　はい、とフリーレンが手を差し伸べる。
　ヒンメルはざばりと湯船から体を起こし、素直に腰かけに座り込んだ。
　その頭に、お湯をかけていく。最初はごわごわざらりとした手触りだったが、シャンプーで何とか洗うと、するりとなめらかな手触りの、いつもの彼の髪に戻った。
「気持ち、いい……」
「そう」
　魂を取り戻してきたかのような、ヒンメルの声。
　次は背中だ。広くて硬い背中に、もちもちとした泡を滑らせる。そのまま肩の後ろも。右腕の付け根近くに、うっすらと淡いピンクの線が走っていた。
　輪を描くように、腕の前側までぐるりと。
　案の定、だ。
　袖が無くなっているのを見た時から、気付いていた。
　きっと、戦いで千切れたあと、つないだ跡だろう。もし隊にハイターがいなければ、彼の右腕は、肩から先がなくなっていたのだ。
　傷が修復されたばかりの、ピンク色のしるしを泡でなぞった。
「……うん？」
「痛い？」
「ああ、これかぁ。ふふ、くすぐったいね」
　ヒンメルは、本当にくすぐったそうにふるえて笑った。こんなのなんともない、と言うように。
　フリーレンの歯がゆい気持ちを打ち消すように。
　優しく。

　私が一緒に戦えたらよかった。

どうかもう魔族討伐へ行かないで。
　どうかずっとそばにいて。
　言いたい、けれど言えない言葉が、胸の中に浮かんでは、泡のように割れる。
　その痛みを飲み込んで、フリーレンは、彼の肩におでこをぶつけた。
「……帰ってきてくれて、ありがとう」
　すべての泡を詰め込んで、言葉をひとつ、こぼす。

　ヒンメルが、振り向いた。
　フリーレンの頭を大きな手で抱き寄せると、髪の上から口づける。
「帰る場所を、ありがとう、奥さん」
　触れられたところから、じんわりとぬくもりが広がる。
　離れていても、自分が欠けている感覚なんて覚えたりしないのに。
　どうしてだろう、触れられるたびに、自分の中の空白部分が埋められていく気がする。満ち足りていく。離れたくなくなる。
　ヒンメルの手が、頭から肩へ、そしておなかへと降りていく。
　やさしくやさしく、なでられる。
「僕が君にできること……未来の……君たちのため、魔族のいない世界をつくりたい。そんな僕のわがままを聞いてくれて、ありがとう」
　あたたかくて。
　とろり。
　意識がとけていきそうになる。
　きっと二つの魂は、もともとが一つのものだったから、ふれた場所から溶けあうような気持ちになるんだろう。
　フリーレンはヒンメルの顔を見上げると、誘うようにまぶたを閉じた。

March 13, 2025 at 3:54 PM

k🌙

@kkk-09-x.bsky.social

めちゃよかったぁぁぁ😭💕
編集者の仕事しながら世界各地を巡る🐍くん、とてもいいな……🦁さんもこれ最初から🐍くんのこと好きでは〜？？ってにやにやしちゃったな☺️
締切攻防戦もギリギリ攻めまくってて🦁🐍らしさが詰まっててにこにこが止まらなかった☺️☺️
🦁🐍が始まる予感がする終わり方も良〜〜そして二人旅する二話目も最高。不運だけど強運の持ち主な🦁さんわかるし、最後の終わり方も良すぎてラブラブや〜〜！！となった。
二人の様子とか情景が自然と頭に浮かんでくるしお話もとても作り込まれていて惹き込まれるので、おりびあさんの文章が本当に大好き……！！！
🦁🐍末長く幸せでいてくれ

July 5, 2025 at 9:18 AM