奇妙な世界
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奇妙な世界
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短篇小説・翻訳小説・怪奇幻想小説大好きアカウントです。ファンタスティックなものが好み。読書ブログ「奇妙な世界の片隅で」をやってます。怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。ブックガイド系同人誌も作ってます。#日本怪奇幻想読者クラブを主宰しています。
さらに「木人」が襲ってくるという、エンタメ要素がてんこ盛り状態になっています。いつもは肉体的に敵を圧倒する蘭冷なのですが、今回は敵が戦闘力高めなことに加え、複数が同時に襲ってくる…というところで、かなりの苦戦を強いられます。
 疎ましく思いながらも、蘭冷がマヤヤに対して奇妙な友情を抱き始める、というのも読みどころでしょうか。そしてその友情が、事件の結末に影響を与えてくることにもなります。一旦事件が収束したと思った後の急展開も楽しいです。
December 1, 2025 at 11:19 AM
「密室愛」
一気が家庭教師をしていた少年玉夫が誘拐され、身代金を要求されます。犯人は「木人」の二人組でしたが、その戦闘力の高さから蘭冷は退却を余儀なくされます。「木人」の一人は、顔を自由に変えられる能力を持つ「ノーフェイス」だといいます。
学校で自分と同じく浮いた存在であるマヤヤと仲良くなった蘭冷は、マヤヤに誘われ彼女の親が住む小島に行くことになりますが…。
顔を自在に変える「ノーフェイス」を始め、幾人もの「木人」が同時に敵になるという、アクション要素強めの中篇です。
蘭冷同様、奇矯な美少女マヤヤが登場し、彼女が味方なのか敵なのか分からない状態で、密室殺人が発生し、
December 1, 2025 at 11:19 AM
さらに女性は朝日の元恋人だったことから、松野と朝日には動機がありましたが、彼らにはしっかりとしたアリバイがありました…。
犯人が「木人」である可能性が指摘され、そのアリバイトリックが人間では不可能な「木人」ならではの突拍子もない方法でなされたのではないか、という仮説に驚いてしまいます。結局別の真相が明かされるのですが、そちらはそちらで残酷かつ人間の盲点をついています。
December 1, 2025 at 11:19 AM
不死だと吹聴する美少女が、実際に何度殺されても蘇ってくる…という怪奇作品です。後半に蘭冷が登場する形にはなるのですが、それまでは誰が「木人」なのかは分からず、範子が犯す殺人も本当に起きたのか、分からなくなってくる、というところで、幻想性の強い作品になっていますね。

「脚の幽霊」
一気は、知り合いの女性学生・松野洋(うみ)、その友人の医学部学生・朝日ヤマキ、そして蘭冷と共にDVDを鑑賞していたところ、刑事の訪問を受けます。松野の恋人だった尾張又郎が殺されたというのです。尾張の遺体は胴でまっぷたつにされており、胃の中からは未消化の寿司が発見されていました。尾張は他の女性と浮気をしており、
December 1, 2025 at 11:19 AM
役目の放棄を考えるものの、その義務から踏みとどまる…というラストの情景にも感動があります。

「美しい最期」
寝たきりの祖母を介護していた孫のトミー。認知症の祖母アイヴィーはたびたび記憶がごっちゃになっていましたが、ある日自分はエルフを助けたことがあると言い出します。若いころに「妖精の輪」に落ちた祖母はエルフの王妃を助けるために冒険をしたというのですが…。
死を間近に控えた祖母が語るエルフの物語。空想と思えたエルフたちの存在が本当だった…というファンタジー作品です。記憶を失い肉体的に衰えた祖母の心の美しさ、その姿に感銘を受ける孫の姿を描いたラストは美しいですね。
November 30, 2025 at 12:09 AM
綺麗好きの妖精とずぼらで独立心の強い少女の対立と葛藤を描くファンタジーです。綺麗にするのは悪くないものの、自らのテリトリーを侵されると感じ反発する少女。部屋の綺麗さを超えて、自らのアイデンティティーの対立になっていくところが面白いですね。

「血の言葉」
少年バナンはその国で敬われる「血の言葉」の語り手の後継者に選ばれます。語り手は国の未来を占う予言が可能だというのです。しかしその力には代償がありました…。
予言者の後継者となった少年の人生を描く作品です。予言の力には代償があり、それには他人の命が必要となるのです。
November 30, 2025 at 12:09 AM
という現実的な問題に対して行うファンタスティックな対策が読みどころです。

「ぴっかぴかの部屋」
片づけが苦手で部屋がごちゃごちゃになっている少女ジェイミー。ある日部屋がきれいに片付けられているのを見て驚きますが、家族は何もしていないというのです。散らかすたびに整理される部屋を見て何者かが潜んでいると考えますが、現れたのは妖精のブラウニーでした。彼は一族に代々仕えるもので、一族最長年齢の祖母から命令を受けた以上、ジェイミーに仕えるしかないというのです。勝手に片付けられるのを好まないジェイミーとブラウニーは反目を続けることになりますが…。
November 30, 2025 at 12:08 AM
「首を脇に抱えて」
いくつもの国が争うロズファー大陸では、常時戦争が続いていました。戦争を憎む若者ブライアンは王に反抗し、首を切られて処刑されてしまいます。しかし墓穴から目覚めたブライアンは自らの首を抱えたまま、王のもとへ向かいます。王を怖がらせたブライアンは、戦争をやめさせ、民衆のためになるような政策を行わせていきます。やがて国は発展していきますが…。
生ける死者として蘇った青年が王に善政をさせていく…という作品です。国内の政治経済はどんどん良くなるものの、外敵の襲来においては戦争をするしかない、その場合はどうすればいいのか?
November 30, 2025 at 12:08 AM
「ユニコーンの角の指すところ」
親が亡くなったことから、資産家の伯父の家に世話になることになった少年ジェイミー。叔父の部屋にはイッカクのものだとされる角が飾ってありましたが、ジェイミーはそれに魅了されます。角はユニコーンの角だと信じていたのです。たびたび角に触れようとしますが、なぜか伯父はそれを禁じていました…。
ユニコーンの角(と少年が信じる)に魅了される少年の物語です。角はあくまで幻想・象徴なのかと思っていると、後半に現れるファンタスティックな展開に驚きます。美しいファンタジーです。
November 30, 2025 at 12:08 AM
特に印象に残るのは「天使の箱」「ユニコーンの角の指すところ」「首を脇に抱えて」「ぴっかぴかの部屋」「血の言葉」「美しい最期」など。

「天使の箱」
ある日天使から箱を預かってほしいと頼まれた少年マイケル。マイケルのことをあざ笑う人間もいるなか、マイケルはずっと箱を守り続けることになりますが…。
天使からもらった箱は本物なのか? 一生をその箱を守ることに費やした男の人生が描変えます。寓話としても面白い作品ですね。
November 30, 2025 at 12:08 AM
反逆罪で首を切られた男が生ける死者となって蘇り、王に命令して国を善くしていくという「首を脇に抱えて」、一族に代々仕える妖精と共生することになった少女の困惑を描く「ぴっかぴかの部屋」、共同体の予言者になった少年の葛藤を描く「血の言葉」、超管理社会となったアメリカで自由を主張する老人の物語「星条旗――かつての栄光」、オオカミの群れのリーダーとなった少年を描く「群れを継ぐ」、かって貢献した妖精の国から最期の挨拶を受ける女性の物語「美しい最期」を収録しています。
November 30, 2025 at 12:08 AM
Reposted by 奇妙な世界
ーこれは、予兆か、何かの演出ではないのか?先々何かしら罠が仕掛けてられているとか?店に向かって歩きながら、目を閉じで集中力を研ぎ澄ます。待ち伏せの気配はない。鳥たちは黙り込み、あたりには太古の暴力の余韻が脈打ち、ごく最近のそれも感じられたが、彼や息子に襲いかかってきそうなものはない。
November 29, 2025 at 1:15 PM
エッセイ風の章では、作家や映画監督、様々な芸術や芸術家について語られているところも興味深いです。
November 29, 2025 at 12:25 PM
傲慢な医者に仕えて雇い主を善人に感化していく看護師の物語「12」エピソードが味わい深いです。亡くなった男の善行と悪行が同時に暴かれる「16」、小鳥の丸かじり料理を出されたことをきっかけに音楽活動を引退してしまった演奏家を描いた「23」などを特に面白く読みました。

シーラッハの作品を読んでいて感じるのは、人間の運命の不思議さ。ふとしたきっかけで人生がプラスの方向にもマイナスの方向にも転がっていく…。しかも善行を積んだからと言って幸せになるとは限らない、というあたりにもシニカルで透徹した視点が感じられますね。
November 29, 2025 at 12:25 PM
本作で重要なキャラクターとなるのが、タカヒロの前職での同僚男性である弧見さん。資産家の息子で、外面的な体裁から兄の会社で働いていますが、労働意欲は全くなく他責的な思考をする人物です。タカヒロの仕事を羨んだことから、一時的にタカヒロの仕事を代理で行うことになるのですが、そこで思いもかけないトラブルが起きることになります。
起きていることは怪異で異常そのものなのですが、それが弧見さんの人生において「プラス」になってしまう…というところも、異色のヒューマン・ストーリー的な味わいがあります。
「隣人」の過去や秘密の一端、タカヒロの身内の謎なども言及されており、シリーズ続編がさらに楽しみになりました。
November 29, 2025 at 6:13 AM
相変わらず、本当かどうか分からない「怪談」を聞かされる主人公の日常が描かれていきます。「隣人」には超自然的な力があることが仄めかされており、「隣人」の機嫌を損なうと大変なことになる可能性があるのですが、タカヒロがその状況に慣れてきたせいもあるのか、妙にまったりとした日常感が流れているのも面白いですね。
主人公と「隣人」が住む部屋の他にも、謎の怪異「澄江由奈」を始め、マンション内で怪異が起こる箇所が複数あり、安全であるはずの「家」がそもそも危険に満ちている…というところも本当に不穏です。
November 29, 2025 at 6:13 AM
名探偵ブルータス・ロイド自体はいつも大真面目で、毎回「合理的」に謎を解き明かすものの、その説明に援用される科学はトンデモで超論理。そこに生まれる奇妙なユーモアが魅力ですね。SFミステリの怪作でしょう。
November 27, 2025 at 11:21 AM
異様な都市の情景と人々が見えるようになります。どうやら現実とは異なる別世界の情景が見えているようなのです…。
事故のショックで別世界の情景が見えるようになった男を描く物語です。後半ではこの別世界をめぐって陰謀が展開されるのですが、こちらの陰謀も奇想天外。よくこんなことを考えつくな、と感心してしまいます。
解説によれば、H・G・ウェルズの「プラットナー先生綺譚」からインスパイアされた作品だそうですが、ファーン作品は徹底してB級の味わいが楽しいです。
November 27, 2025 at 11:21 AM
なぜ犯人はわざわざ弾丸を遺体から取り出して置いておいたのか?という謎が提示されるのですが、これに対する答えが斜め上からやってきて驚愕します。序盤にブランド博士の説として、極小の原子の中にも我々と同じような宇宙があるのではないか?という説が現れ、こちらが伏線となってはいるのですが、これはどう考えても真相を推理するのは無理だと思います…。

「盲目の見者」も奇想天外。海底トンネル工事の技術者として従事していたラルフは事故で視力を失ってしまいます。医者が調べたところ、眼の機能に問題はなく、脳や神経による一時的な障害ではないかというのです。視野の一部に光が見えてきたかと思ったら、
November 27, 2025 at 11:21 AM