疎ましく思いながらも、蘭冷がマヤヤに対して奇妙な友情を抱き始める、というのも読みどころでしょうか。そしてその友情が、事件の結末に影響を与えてくることにもなります。一旦事件が収束したと思った後の急展開も楽しいです。
疎ましく思いながらも、蘭冷がマヤヤに対して奇妙な友情を抱き始める、というのも読みどころでしょうか。そしてその友情が、事件の結末に影響を与えてくることにもなります。一旦事件が収束したと思った後の急展開も楽しいです。
一気が家庭教師をしていた少年玉夫が誘拐され、身代金を要求されます。犯人は「木人」の二人組でしたが、その戦闘力の高さから蘭冷は退却を余儀なくされます。「木人」の一人は、顔を自由に変えられる能力を持つ「ノーフェイス」だといいます。
学校で自分と同じく浮いた存在であるマヤヤと仲良くなった蘭冷は、マヤヤに誘われ彼女の親が住む小島に行くことになりますが…。
顔を自在に変える「ノーフェイス」を始め、幾人もの「木人」が同時に敵になるという、アクション要素強めの中篇です。
蘭冷同様、奇矯な美少女マヤヤが登場し、彼女が味方なのか敵なのか分からない状態で、密室殺人が発生し、
一気が家庭教師をしていた少年玉夫が誘拐され、身代金を要求されます。犯人は「木人」の二人組でしたが、その戦闘力の高さから蘭冷は退却を余儀なくされます。「木人」の一人は、顔を自由に変えられる能力を持つ「ノーフェイス」だといいます。
学校で自分と同じく浮いた存在であるマヤヤと仲良くなった蘭冷は、マヤヤに誘われ彼女の親が住む小島に行くことになりますが…。
顔を自在に変える「ノーフェイス」を始め、幾人もの「木人」が同時に敵になるという、アクション要素強めの中篇です。
蘭冷同様、奇矯な美少女マヤヤが登場し、彼女が味方なのか敵なのか分からない状態で、密室殺人が発生し、
犯人が「木人」である可能性が指摘され、そのアリバイトリックが人間では不可能な「木人」ならではの突拍子もない方法でなされたのではないか、という仮説に驚いてしまいます。結局別の真相が明かされるのですが、そちらはそちらで残酷かつ人間の盲点をついています。
犯人が「木人」である可能性が指摘され、そのアリバイトリックが人間では不可能な「木人」ならではの突拍子もない方法でなされたのではないか、という仮説に驚いてしまいます。結局別の真相が明かされるのですが、そちらはそちらで残酷かつ人間の盲点をついています。
「脚の幽霊」
一気は、知り合いの女性学生・松野洋(うみ)、その友人の医学部学生・朝日ヤマキ、そして蘭冷と共にDVDを鑑賞していたところ、刑事の訪問を受けます。松野の恋人だった尾張又郎が殺されたというのです。尾張の遺体は胴でまっぷたつにされており、胃の中からは未消化の寿司が発見されていました。尾張は他の女性と浮気をしており、
「脚の幽霊」
一気は、知り合いの女性学生・松野洋(うみ)、その友人の医学部学生・朝日ヤマキ、そして蘭冷と共にDVDを鑑賞していたところ、刑事の訪問を受けます。松野の恋人だった尾張又郎が殺されたというのです。尾張の遺体は胴でまっぷたつにされており、胃の中からは未消化の寿司が発見されていました。尾張は他の女性と浮気をしており、
「美しい最期」
寝たきりの祖母を介護していた孫のトミー。認知症の祖母アイヴィーはたびたび記憶がごっちゃになっていましたが、ある日自分はエルフを助けたことがあると言い出します。若いころに「妖精の輪」に落ちた祖母はエルフの王妃を助けるために冒険をしたというのですが…。
死を間近に控えた祖母が語るエルフの物語。空想と思えたエルフたちの存在が本当だった…というファンタジー作品です。記憶を失い肉体的に衰えた祖母の心の美しさ、その姿に感銘を受ける孫の姿を描いたラストは美しいですね。
「美しい最期」
寝たきりの祖母を介護していた孫のトミー。認知症の祖母アイヴィーはたびたび記憶がごっちゃになっていましたが、ある日自分はエルフを助けたことがあると言い出します。若いころに「妖精の輪」に落ちた祖母はエルフの王妃を助けるために冒険をしたというのですが…。
死を間近に控えた祖母が語るエルフの物語。空想と思えたエルフたちの存在が本当だった…というファンタジー作品です。記憶を失い肉体的に衰えた祖母の心の美しさ、その姿に感銘を受ける孫の姿を描いたラストは美しいですね。
「血の言葉」
少年バナンはその国で敬われる「血の言葉」の語り手の後継者に選ばれます。語り手は国の未来を占う予言が可能だというのです。しかしその力には代償がありました…。
予言者の後継者となった少年の人生を描く作品です。予言の力には代償があり、それには他人の命が必要となるのです。
「血の言葉」
少年バナンはその国で敬われる「血の言葉」の語り手の後継者に選ばれます。語り手は国の未来を占う予言が可能だというのです。しかしその力には代償がありました…。
予言者の後継者となった少年の人生を描く作品です。予言の力には代償があり、それには他人の命が必要となるのです。
「ぴっかぴかの部屋」
片づけが苦手で部屋がごちゃごちゃになっている少女ジェイミー。ある日部屋がきれいに片付けられているのを見て驚きますが、家族は何もしていないというのです。散らかすたびに整理される部屋を見て何者かが潜んでいると考えますが、現れたのは妖精のブラウニーでした。彼は一族に代々仕えるもので、一族最長年齢の祖母から命令を受けた以上、ジェイミーに仕えるしかないというのです。勝手に片付けられるのを好まないジェイミーとブラウニーは反目を続けることになりますが…。
「ぴっかぴかの部屋」
片づけが苦手で部屋がごちゃごちゃになっている少女ジェイミー。ある日部屋がきれいに片付けられているのを見て驚きますが、家族は何もしていないというのです。散らかすたびに整理される部屋を見て何者かが潜んでいると考えますが、現れたのは妖精のブラウニーでした。彼は一族に代々仕えるもので、一族最長年齢の祖母から命令を受けた以上、ジェイミーに仕えるしかないというのです。勝手に片付けられるのを好まないジェイミーとブラウニーは反目を続けることになりますが…。
いくつもの国が争うロズファー大陸では、常時戦争が続いていました。戦争を憎む若者ブライアンは王に反抗し、首を切られて処刑されてしまいます。しかし墓穴から目覚めたブライアンは自らの首を抱えたまま、王のもとへ向かいます。王を怖がらせたブライアンは、戦争をやめさせ、民衆のためになるような政策を行わせていきます。やがて国は発展していきますが…。
生ける死者として蘇った青年が王に善政をさせていく…という作品です。国内の政治経済はどんどん良くなるものの、外敵の襲来においては戦争をするしかない、その場合はどうすればいいのか?
いくつもの国が争うロズファー大陸では、常時戦争が続いていました。戦争を憎む若者ブライアンは王に反抗し、首を切られて処刑されてしまいます。しかし墓穴から目覚めたブライアンは自らの首を抱えたまま、王のもとへ向かいます。王を怖がらせたブライアンは、戦争をやめさせ、民衆のためになるような政策を行わせていきます。やがて国は発展していきますが…。
生ける死者として蘇った青年が王に善政をさせていく…という作品です。国内の政治経済はどんどん良くなるものの、外敵の襲来においては戦争をするしかない、その場合はどうすればいいのか?
親が亡くなったことから、資産家の伯父の家に世話になることになった少年ジェイミー。叔父の部屋にはイッカクのものだとされる角が飾ってありましたが、ジェイミーはそれに魅了されます。角はユニコーンの角だと信じていたのです。たびたび角に触れようとしますが、なぜか伯父はそれを禁じていました…。
ユニコーンの角(と少年が信じる)に魅了される少年の物語です。角はあくまで幻想・象徴なのかと思っていると、後半に現れるファンタスティックな展開に驚きます。美しいファンタジーです。
親が亡くなったことから、資産家の伯父の家に世話になることになった少年ジェイミー。叔父の部屋にはイッカクのものだとされる角が飾ってありましたが、ジェイミーはそれに魅了されます。角はユニコーンの角だと信じていたのです。たびたび角に触れようとしますが、なぜか伯父はそれを禁じていました…。
ユニコーンの角(と少年が信じる)に魅了される少年の物語です。角はあくまで幻想・象徴なのかと思っていると、後半に現れるファンタスティックな展開に驚きます。美しいファンタジーです。
「天使の箱」
ある日天使から箱を預かってほしいと頼まれた少年マイケル。マイケルのことをあざ笑う人間もいるなか、マイケルはずっと箱を守り続けることになりますが…。
天使からもらった箱は本物なのか? 一生をその箱を守ることに費やした男の人生が描変えます。寓話としても面白い作品ですね。
「天使の箱」
ある日天使から箱を預かってほしいと頼まれた少年マイケル。マイケルのことをあざ笑う人間もいるなか、マイケルはずっと箱を守り続けることになりますが…。
天使からもらった箱は本物なのか? 一生をその箱を守ることに費やした男の人生が描変えます。寓話としても面白い作品ですね。
シーラッハの作品を読んでいて感じるのは、人間の運命の不思議さ。ふとしたきっかけで人生がプラスの方向にもマイナスの方向にも転がっていく…。しかも善行を積んだからと言って幸せになるとは限らない、というあたりにもシニカルで透徹した視点が感じられますね。
シーラッハの作品を読んでいて感じるのは、人間の運命の不思議さ。ふとしたきっかけで人生がプラスの方向にもマイナスの方向にも転がっていく…。しかも善行を積んだからと言って幸せになるとは限らない、というあたりにもシニカルで透徹した視点が感じられますね。
起きていることは怪異で異常そのものなのですが、それが弧見さんの人生において「プラス」になってしまう…というところも、異色のヒューマン・ストーリー的な味わいがあります。
「隣人」の過去や秘密の一端、タカヒロの身内の謎なども言及されており、シリーズ続編がさらに楽しみになりました。
起きていることは怪異で異常そのものなのですが、それが弧見さんの人生において「プラス」になってしまう…というところも、異色のヒューマン・ストーリー的な味わいがあります。
「隣人」の過去や秘密の一端、タカヒロの身内の謎なども言及されており、シリーズ続編がさらに楽しみになりました。
主人公と「隣人」が住む部屋の他にも、謎の怪異「澄江由奈」を始め、マンション内で怪異が起こる箇所が複数あり、安全であるはずの「家」がそもそも危険に満ちている…というところも本当に不穏です。
主人公と「隣人」が住む部屋の他にも、謎の怪異「澄江由奈」を始め、マンション内で怪異が起こる箇所が複数あり、安全であるはずの「家」がそもそも危険に満ちている…というところも本当に不穏です。
事故のショックで別世界の情景が見えるようになった男を描く物語です。後半ではこの別世界をめぐって陰謀が展開されるのですが、こちらの陰謀も奇想天外。よくこんなことを考えつくな、と感心してしまいます。
解説によれば、H・G・ウェルズの「プラットナー先生綺譚」からインスパイアされた作品だそうですが、ファーン作品は徹底してB級の味わいが楽しいです。
事故のショックで別世界の情景が見えるようになった男を描く物語です。後半ではこの別世界をめぐって陰謀が展開されるのですが、こちらの陰謀も奇想天外。よくこんなことを考えつくな、と感心してしまいます。
解説によれば、H・G・ウェルズの「プラットナー先生綺譚」からインスパイアされた作品だそうですが、ファーン作品は徹底してB級の味わいが楽しいです。
「盲目の見者」も奇想天外。海底トンネル工事の技術者として従事していたラルフは事故で視力を失ってしまいます。医者が調べたところ、眼の機能に問題はなく、脳や神経による一時的な障害ではないかというのです。視野の一部に光が見えてきたかと思ったら、
「盲目の見者」も奇想天外。海底トンネル工事の技術者として従事していたラルフは事故で視力を失ってしまいます。医者が調べたところ、眼の機能に問題はなく、脳や神経による一時的な障害ではないかというのです。視野の一部に光が見えてきたかと思ったら、