奇妙な世界
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奇妙な世界
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短篇小説・翻訳小説・怪奇幻想小説大好きアカウントです。ファンタスティックなものが好み。読書ブログ「奇妙な世界の片隅で」をやってます。怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。ブックガイド系同人誌も作ってます。#日本怪奇幻想読者クラブを主宰しています。
飛鳥部勝則『フィフス2 密室愛』(書泉・芳林堂書店)を読了。
人間の姿で社会に潜み、残虐行為を繰り返す「木人」の殲滅を使命とする女子高生・蘭冷とその僕となった大学生・鈴森一気の活躍を描くホラーシリーズ『フィフス』の続編です。短篇二篇と中篇一篇を収録しています。

「姫と呼ぶ」
若い女性に性的関心を持つ裁縫店の店主・絹川範子は、出入りする学校内で奇矯な言動の美少女・冴羽雪と出会い魅了されます。別の男子生徒との嬌態を見せつける雪に激高した範子は、雪を絞殺してしまいます。死体を森林に遺棄しますが、翌日殺したはずの雪が目の前に現れ、範子は驚愕します…。
December 1, 2025 at 11:18 AM
アメリカの作家ブルース・コウヴィルの『奇妙でフシギな話ばかり』(金原観瑞人訳 岩波書店)を読了。風変わりな発想のファンタジー小説集です。そこはかとないユーモアと共に、語られる物語の中に、人生の苦みと哀切な感情が現れるところが魅力の作品集となっています。

天使がくれた箱を一生守り続ける男の人生を描いた「天使の箱」、親の留守中に何者かに家を襲われる子供たちの恐怖を描いた「ダフィーのジャケット」、伯父の持つイッカクの角をユニコーンの角と信じてそれを手に入れようとする少年を描いた「ユニコーンの角の指すところ」、
November 30, 2025 at 12:08 AM
フェルディナント・フォン・シーラッハ『午後』(酒寄進一訳 東京創元社)を読了。シーラッハの新作短篇集です。表題なしで数字が振られた断章形式になっていて、短い物語が綴られることもあれば、作者の所感が書かれたエッセイのようなものもありと、バラエティ豊かな短文集といった趣です。
以前出た『珈琲と煙草』に近い形式ですが、ただ、エッセイ風味が強かった『珈琲と煙草』に比べて全体に物語性は強いでしょうか。

持ち直した時計工場の社主が脅迫され、脅迫者を突き落としてしまいますが、本当に殺したかは分からない…という「5」、夫が痴漢だと思い込み猜疑心を深める妻が描かれる「8」、
November 29, 2025 at 12:25 PM
寝舟はやせ『入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください2』(KADOKAWA)を読了。

マンションの一室に住むだけで月給がもらえるという不思議な仕事に就いたタカヒロ。しかしその仕事には条件が一つありました。「隣人」と必ず仲良くしなければならない、というのです。ベランダから気さくに話しかけてくる「隣人」は明らかに人間ではない存在で、しかも彼が話す内容は「怪談」ばかりなのです…。

人間ではない「隣人」と話し続けなければならない、という異様な仕事に就いた青年の日常を描くホラー作品『入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください』の続編です。
November 29, 2025 at 6:12 AM
ジョン・ラッセル・ファーン『科学探偵 ブルータス・ロイドの事件簿』(蟻塚とかげ訳 爬虫類館出版局)を読了。
多方面の学位を持ち、あらゆる科学に通じた天才科学者ブルータス・ロイドが難事件に立ち向かうというSFミステリ小説です。

ニューヨークの天才科学者たちが次々と殺されていくという「狙われた天才たち」、寒村で恐竜たちが目撃された事件の真相を探る「意味のない恐竜たち」、原子力研究所で起きた不可解な射殺事件の謎をめぐる「原子世界の弾丸」、事故をきっかけに別世界の情景が見えるようになった技術者を描く「盲目の見者」の四篇を収録しています。
November 27, 2025 at 11:20 AM
ジェームズ・サーバー『名探偵ブルー・プローメル』(蟻塚とかげ訳 爬虫類館出版局)を読了。
アメリカのユーモア作家ジェームズ・サーバーが、若き日に地元新聞に掲載した連作探偵小説です。名探偵ブルー・プローメルが難事件を解決するミステリ作品なのですが、このプローメルがとんちんかんで思い込みが激しいという性格。推理がことごとく外れたり、それが外れても勢いで何とか片を付けてしまったりと、名探偵というよりは迷探偵といった趣なのです。
アニマルビスケットを愛し、中国人の助手と共に行動します。この中国人助手も片言の英語を話し凡庸に見せながら、その実意外に賢い、というところも笑えます。
November 26, 2025 at 10:39 AM
現代日本のホラー小説と現代よりちょっと前のホラー小説を紹介する同人誌『現代日本ホラー小説ブックガイド』、表紙第四案です。日本作品を扱ってるので和風の方が合うだろうということでテイストを変えてみました。絵は月岡芳年の作品を使っています。
November 25, 2025 at 10:43 AM
シオドア・スタージョン『黄金の卵 シオドア・スタージョン怪作集3』(蟻塚とかげ訳 爬虫類館出版局)を読了。未訳の短篇二篇を収録した作品集です。

「悪夢の島」
船乗りのバリーは長年のアルコール中毒によって、日々幻覚に襲われていました。怪物が現れたかと思うと、動物が口を聞くなど、現実と妄想の境がなくなっていたのです。騙されるような形で船に乗ることになりますが、船から落ちた挙げ句、孤島に流れ着きます。そこには触手のような生物が住んでいました。意思疎通が可能な触手生物アニーローは、巨大化した同族を退治してほしいと懇願しますが…。
November 25, 2025 at 10:41 AM
有名作品にはイラスト図解がついているのも楽しいのですが、「使い切った男」とか「眼鏡」といった、ポーとしてはB級的な作品にちゃんとイラストがついているのも洒落ています。
ポー入門にお勧めのガイドですね。
November 24, 2025 at 12:19 PM
文学フリマで購入した『もしもしアメリカ文学第2号 エドガー・アラン・ポーの全小説を読もう!』を読了。
タイトル通り、エドガー・アラン・ポーの全小説をテーマ別に分類し、簡便な紹介文をつけたガイドです。各作品の紹介も分かりやすくまとめられていて良いのですが、テーマの分類の仕方が楽しいのです。〈厄介な家族/家系の話〉とか<面倒な「友だち」の話>など。「ライジーア」「モレラ」「ベレニス」といった作品群が<愛が歪んでいる人の話>でまとめられているのも面白いですね。
November 24, 2025 at 12:18 PM
シオドア・スタージョン『”ビッディヴァ-” 対 宇宙海賊 シオドア・スタージョン怪作集2』(蟻塚とかげ訳 爬虫類館出版局)を読了。

ひょんなことから財産を手に入れたビッディヴァ-は、したいことをした結果、虚無感に囚われていました。酒場で飲んだ後、間違った車に乗り込んでしまいますが、それは天才科学者によって作られた最先端の技術を満載した車でした。宇宙にまで上がってしまった車の中で、宇宙線を浴びたビッディヴァ-の体は変異してしまいます…。
November 24, 2025 at 12:02 PM
昨日の文学フリマ、エディション・プヒプヒさんで購入した三篇を読了。

フリッツ・フォン・ヘルツマノフスキー=オルランド『フォン・ユブの命取りとなった海への旅』(垂野創一郎訳)は、学者肌の物静かな男アハテイウス・フォン・ユブが旅先で恋に落ち、また羽目を外したことから二進も三進もいかなくなってしまう顛末を描いた作品。女王様然とした歌手の少女のキャラクターが立っています。
November 24, 2025 at 9:53 AM
矢口史靖監督の映画『ドールハウス』(2025年 日本)を観ました。呪いの人形をめぐるオカルトホラー作品です。

主婦の鈴木佳恵は、子供を残して出かけた際に、5歳の娘・芽衣を不運な事故で亡くしてしまいます。悲しみから立ち直れない日々を過ごしますが、骨董市芽衣に似た人形を見つけて衝動的に購入してしまいます。本当の娘のように人形を可愛がりますが、第二子となる娘・真衣を授かり、育てているうちに、人形には目もくれなくなっていました。
5歳になった真衣がひょんなことから人形を見つけ出し、「アヤ」と名付けて一緒に遊ぶようになりますが、それ以来奇妙な出来事が続き、佳恵は人形に原因があるのではと思い至ります…。
November 24, 2025 at 4:42 AM
買った本続き。
November 23, 2025 at 11:02 AM
買った本続き。
November 23, 2025 at 11:02 AM
文学フリマ東京で買った本。
November 23, 2025 at 11:01 AM
文学フリマ東京(東京ビッグサイト)に行ってきました。結構久しぶりです。会場が変わってからは初めてだったのですが、予想以上に混雑していてびっくりしました。開場前から並んで、入れるまでに約一時間弱ぐらいかかりました。
ブース数がめちゃくちゃ増えていて、正直全部を見て回るのは無理でした。あらかじめピックアップしていたブースを先に見て回り、そのあとは興味のある分野が固まっている部分を集中的に見る…という感じでしょうか。
ブースも人も増えてはいるのですが、それ以上に会場が広くなったので、旧会場(東京流通センター)の時よりは、通路の移動は楽になっているなと感じました。
November 23, 2025 at 10:07 AM
和田正雪『特定しないでください』(小学館文庫)を読了。解散したアイドルグループの行方を追うモキュメンタリー風味のミステリ作品です。

無名の新人作家の「私」のもとに舞い込んだのは、とあるアイドルグループの行方調査依頼でした。そのグループ「メランコリック・フルール」は一年半の活動の後、ステージ上で流血沙汰が起き、解散してしまったといいます。メンバー四人の行方も分かりません。「メンバーの中に人殺しがいる」という噂もありました。
次回作の企画に悩んでいた「私」は、アイドルたちを次の本の主題にすることとし、ささいな手がかりからメンバーそれぞれの行方を追っていくことになりますが…。
November 22, 2025 at 11:12 PM
くるむあくむ『或るバイトを募集しています 再求人』(KADOKAWA)を読了。奇妙で不気味なアルバイトについて語られる『或るバイトを募集しています』の続編です。
前作同様、奇怪なバイト内容について語られる連作ホラー集となっています。高齢者に勉強を教える家庭教師のバイト、部屋の電気をつけるだけの仕事、特定の場所での写真撮影のバイト、遭難者の遺体を探すバイト、バスに乗って降りる行為を繰り返すバイトなどの内容が語られます。
行う行為の理由が分からない不気味なバイトの他にも、目的がはっきりしているように見えるバイトも、やっている内にその不可解さが実感されてくる…というところが怖いですね。
November 22, 2025 at 8:29 AM
小林泰三の長篇『密室・殺人』(角川ホラー文庫)を読了。

変わり者の探偵・四里川陣とその助手の四ッ谷礼子は、ある日老婦人の訪問を受けます。その婦人仁科順子は、嫁が殺された事件をめぐって息子の達彦の容疑を晴らしてほしいというのです。四里川に命じられて、礼子は雪山に建つホテルで起こった殺人事件の調査に赴くことになります。
被害者の浬奈は密室の外で死んでいました。警察によれば殺人とも自殺とも訳の分からない状態だというのです。容疑者は夫の達彦の他、その愛人の新藤礼都、顧問弁護士の西条源治でした。礼子は容疑者たちから地道に聞き取りを行うことになりますが…。
November 22, 2025 at 12:53 AM
タニス・リー『狂える者の書 パラディスの秘録』(市田泉訳 創元推理文庫)を読了。<パラディスの秘録>シリーズの最終巻です。
パラディスだけでなく、その並行世界の都市パラダイス、そしてパラディと、三つの都市の物語が同時に展開するというSF的な要素の強いファンタジー作品です。時代も現代に近いこともあり、シリーズの他の作品とは毛色が異なっていますね。
パラダイスでは、日々殺人を繰り返す双子の兄妹フェリオンとスマラ、パラディスでは、俳優に憧れた挙げ句、精神病院に収容されてしまう15歳の少女イルド、パラディでは、恋人殺害の冤罪をかけられ狂人扱いされてしまう画家の女性レオカディアが登場します。
November 18, 2025 at 12:09 PM
タニス・リー『死せる者の書 パラディスの秘録』(市田泉訳 創元推理文庫)を読了。退廃した都市パラディスを舞台に、死をモチーフにした作品が集められた短篇集です。

「鼬の花嫁」
子供のころから愛し合い、結婚することになったロランとマリー。しかし貞淑で美しいマリーをロランは婚礼の日に絞殺してしまいます。裁判にかけられても、殺害の理由を話さぬままロランは処刑されてしまいます。死の直前の書置きが司祭に送られるものの、司祭もまたその秘密を秘匿してしまいます…。
純真な少女が隠していた秘密とは何なのか? 少女が思われていたほど純真ではなかったことが途中から判明するものの、
November 17, 2025 at 10:56 AM
タニス・リーの中篇集『堕ちたる者の書 パラディスの秘録』(浅羽莢子訳 創元推理文庫)を読了。幻想的なモチーフと共に「性の往還」「聖俗の反転」といったところがテーマになっているようです。

「紅に染められ」
作家のアンドレ・サン=ジャンはある夜、追われているらしき男から、紅いスカラベの指輪を託されます。友人フィリップからその指輪の本来の持ち主と目される女性を紹介されますが、銀行家フォン・アーロンの妻だというその女性アントニーナにアンドレは魅了されてしまいます…。
官能的な吸血鬼譚です。魅惑的な女性が実は吸血鬼だった…というお話なのですが、その女性が女性とも男性ともつかぬマージナルな存在、
November 15, 2025 at 11:50 PM
「不謹慎な辞典」の中ではこれも好きな本。
フィリップ・エラクレス&リオネル・シュルザノスキー編『笑死小辞典』(河盛好蔵訳 立風書房)です。「死」を軽妙に表現した箴言・短文・エピソードを集めた辞典です。もっぱらフランスの作家や偉人の文章が集められており、ブラックながら楽しい本です。
November 15, 2025 at 10:47 AM
タニス・リー『幻獣の書 パラディスの秘録』(浅羽莢子訳 創元推理文庫)を読了。

退廃と背徳の都パラディス。凋落した貴族デュスカレ家の屋敷に下宿することになった青年ラウーランは、自分と老婆しかいないはずの屋敷で美しい女性の姿を目にします。ようやく話すことのできたその女性エリーズは、自らの過去を語り出します。それは、呪われた一族デュスカレ家に嫁いだ女性の恐ろしい経験でした…。

没落した貴族の館で出会った、幽霊とも見まごう女性が語る蠱惑的な幻想奇譚です。呪われているとされる一族デュスカレ家の男性エロスに嫁いだエリーズは、夫からの愛を得られず、
November 15, 2025 at 2:07 AM