特別に仕入れた酒はある程度高めでも、あの高給取りに進めれば結構買ってくれるのだ。
もちろんきっちり、同居人が飲んだ分はツケになり、彼の借金になるんだろう。
まあ、しがない一般の酒場の店主には、よき常連であることに変わりはなかった。
特別に仕入れた酒はある程度高めでも、あの高給取りに進めれば結構買ってくれるのだ。
もちろんきっちり、同居人が飲んだ分はツケになり、彼の借金になるんだろう。
まあ、しがない一般の酒場の店主には、よき常連であることに変わりはなかった。
約束通りの明日が続き、約束が交わされても、研究が始まってまた明日の議論が来なくなっても。約束が破られることはない。
「これ」
古びた本を一番上に、本をどさりとカウチに置く。食事が終わったばかりのリビング。ステンドグラスの向こうは漆黒の暗闇でも、この家の中は明るい光で満たされている。
少し訝しげな顔をしている🏛に、羽の先端がはみ出している本を差し出した。すると、🏛は形容しがたい表情を十通り程浮かべたあと、部屋に戻り、一冊の本を持ってきた。
緑の羽に彩られた古びた本を並べて、また明日の約束が続いていく。
約束通りの明日が続き、約束が交わされても、研究が始まってまた明日の議論が来なくなっても。約束が破られることはない。
「これ」
古びた本を一番上に、本をどさりとカウチに置く。食事が終わったばかりのリビング。ステンドグラスの向こうは漆黒の暗闇でも、この家の中は明るい光で満たされている。
少し訝しげな顔をしている🏛に、羽の先端がはみ出している本を差し出した。すると、🏛は形容しがたい表情を十通り程浮かべたあと、部屋に戻り、一冊の本を持ってきた。
緑の羽に彩られた古びた本を並べて、また明日の約束が続いていく。
花の明かりを頼りにするのも限界になり、ようやく顔を上げた🏛が空の色に気付く時が終わりの合図。
「うわ、もうこんな時間か。じゃあ続きはまた明日だな。帰って課題をやらないと」
🏛が帰り支度を始める。🌱はいつもこの瞬間が不満だ。いつまでも議論を交わし続けられたらいいのに。
せめて確約が欲しくて、必ずこう告げることにしている。
「🏛。じゃあ、続きはまたここから。約束だ」
そして、本に羽の栞を挟む。赤と橙の色味のもの。
「ああ! また明日、ここからだね」
🏛も持ってきた本に緑色の羽の栞を挟んだ。🏛が栞にと買ってきて、🌱に手渡したもの。毎日、本に挟み続けている。
花の明かりを頼りにするのも限界になり、ようやく顔を上げた🏛が空の色に気付く時が終わりの合図。
「うわ、もうこんな時間か。じゃあ続きはまた明日だな。帰って課題をやらないと」
🏛が帰り支度を始める。🌱はいつもこの瞬間が不満だ。いつまでも議論を交わし続けられたらいいのに。
せめて確約が欲しくて、必ずこう告げることにしている。
「🏛。じゃあ、続きはまたここから。約束だ」
そして、本に羽の栞を挟む。赤と橙の色味のもの。
「ああ! また明日、ここからだね」
🏛も持ってきた本に緑色の羽の栞を挟んだ。🏛が栞にと買ってきて、🌱に手渡したもの。毎日、本に挟み続けている。
結局やっぱり何言ってるかわからなかったんだけどね。なんせ、いつも同じ量を数日起きに、交替ばんこに書🌱官も買いに来てるもんだから。それでこの前聞いてみたんだ、ご家族が作る分で間違いないですかい? って。そしたら、
「そうだが」
って言われましたんでね。学者さんは何かこだわりがあるんかねえ? あくまで自分が作る! みたいなね。それにしては一人分って言い方はあってないような気がするけど……
普通に二人分でよくないか?
(肉屋的なモブ)
結局やっぱり何言ってるかわからなかったんだけどね。なんせ、いつも同じ量を数日起きに、交替ばんこに書🌱官も買いに来てるもんだから。それでこの前聞いてみたんだ、ご家族が作る分で間違いないですかい? って。そしたら、
「そうだが」
って言われましたんでね。学者さんは何かこだわりがあるんかねえ? あくまで自分が作る! みたいなね。それにしては一人分って言い方はあってないような気がするけど……
普通に二人分でよくないか?
(肉屋的なモブ)
結局別のものに作り替えていたので、やはり待って正解だった。
結局別のものに作り替えていたので、やはり待って正解だった。
「ただいまー……ん? 焦げ臭いな……あ、君起きてたのかってなに本読んでるんだ! あ! それ僕が用意してたお粥じゃないか!? またそんな手を加えて、しかも残してるじゃないか! 昨日夕飯を全然食べられなかったこと忘れたのか!? どうせぼうっとして焦がしたんだろう、全く僕がいないとてんでダメダメだな。ほら、病人が本を読むんじゃない! お昼ごはん作るからさっさとベッドに行け!」
「おかえり。🏛、粥にするなら肉もいれてくれ。味も濃いめにしてほしい」
「……食欲があってなによりだ。いいかい、テーブルのものも残さず食べるように!」
「ただいまー……ん? 焦げ臭いな……あ、君起きてたのかってなに本読んでるんだ! あ! それ僕が用意してたお粥じゃないか!? またそんな手を加えて、しかも残してるじゃないか! 昨日夕飯を全然食べられなかったこと忘れたのか!? どうせぼうっとして焦がしたんだろう、全く僕がいないとてんでダメダメだな。ほら、病人が本を読むんじゃない! お昼ごはん作るからさっさとベッドに行け!」
「おかえり。🏛、粥にするなら肉もいれてくれ。味も濃いめにしてほしい」
「……食欲があってなによりだ。いいかい、テーブルのものも残さず食べるように!」
強がりでも、自分を奮い立たせることができたのは素直にありがたかった。最後の売り言葉はどうせ必要ないと言われるだろうし、この勢いでさっさと飛び込んでしまおうと思っていた。
「ふむ、はぐれる危険もあるだろう。君にしては合理的な判断だ」
「はっ?」
そして、不遜な後輩は勝手にこちらの手を掴んでずんずんと砂に足を踏み入れて行く。
「お、おい! 待てって、ちょ、はぶっ」
予想外すぎる事態に、己の情けなさに笑いそうになったことなんて頭から吹っ飛んでいって、砂の中でもがいていたらがっしりと腰に腕を回されていたようだった。
ただ、口に砂が思いっきり入ったせいで何も覚えていない。
強がりでも、自分を奮い立たせることができたのは素直にありがたかった。最後の売り言葉はどうせ必要ないと言われるだろうし、この勢いでさっさと飛び込んでしまおうと思っていた。
「ふむ、はぐれる危険もあるだろう。君にしては合理的な判断だ」
「はっ?」
そして、不遜な後輩は勝手にこちらの手を掴んでずんずんと砂に足を踏み入れて行く。
「お、おい! 待てって、ちょ、はぶっ」
予想外すぎる事態に、己の情けなさに笑いそうになったことなんて頭から吹っ飛んでいって、砂の中でもがいていたらがっしりと腰に腕を回されていたようだった。
ただ、口に砂が思いっきり入ったせいで何も覚えていない。
あれこれ言い訳を添えて手渡された酒のボトルの栓を抜いてやれば、ご機嫌でグラスをふたつテーブルに並べた。
不満がないとは言わない。けれど、その不満を抱えてこそ得られる満足が真に求める平穏なのだと、理解せざるを得ないのだ。
🌱は、今の生活にいたく満足している。
あれこれ言い訳を添えて手渡された酒のボトルの栓を抜いてやれば、ご機嫌でグラスをふたつテーブルに並べた。
不満がないとは言わない。けれど、その不満を抱えてこそ得られる満足が真に求める平穏なのだと、理解せざるを得ないのだ。
🌱は、今の生活にいたく満足している。
真っ赤になっているところ悪いが、早く着替えを出してくれないだろうか。
痺れを切らして、🌱は🏛の服の中から、自分の下着を引っ張り出した。
(ぱんつ)
真っ赤になっているところ悪いが、早く着替えを出してくれないだろうか。
痺れを切らして、🌱は🏛の服の中から、自分の下着を引っ張り出した。
(ぱんつ)
「あ、君起きたのか! 聞いてくれ、💼がおかしくなっちゃったんだよ。故障なら直さないと。でも原因がわからないんだ」
朝から騒がしくしたことに対しての謝罪はないようだ。どうせ自覚がないのだろう。
「君はあらゆることに自覚がなさすぎる。俺から見れば、君の優秀な助手はどこもおかしくなっていないよ」
「は? なんで君にわかるんだよ! 💼は僕が作ったんだぞ」
「だからこそだ」
服の山で混ざっている種類を見ればすぐわかる。間違えているのは一種類のみ。
「以前、間違えて履いただろう。💼にも言ったんじゃないのか? 一緒に帰宅して玄関で脱ぎ散らかしたから、💼はスリープモードになる前に見たはずだ」
「あ、君起きたのか! 聞いてくれ、💼がおかしくなっちゃったんだよ。故障なら直さないと。でも原因がわからないんだ」
朝から騒がしくしたことに対しての謝罪はないようだ。どうせ自覚がないのだろう。
「君はあらゆることに自覚がなさすぎる。俺から見れば、君の優秀な助手はどこもおかしくなっていないよ」
「は? なんで君にわかるんだよ! 💼は僕が作ったんだぞ」
「だからこそだ」
服の山で混ざっている種類を見ればすぐわかる。間違えているのは一種類のみ。
「以前、間違えて履いただろう。💼にも言ったんじゃないのか? 一緒に帰宅して玄関で脱ぎ散らかしたから、💼はスリープモードになる前に見たはずだ」