イルミノルフスキー
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イルミノルフスキー
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惑星ソラリスでモッシュピット。初期北野武映画原理主義。
まず、松村北斗、上白石萌音をはじめとする役者陣の確かすぎる演技は素晴らしかったですし、16ミリフィルムによる撮影も素晴らしかったです。気持ち良いタイミングでスッと引いた時の引き画の良さも抜群でした。

そして、三宅唱のサラッとした押しつけがましくない、包み込むような「映画」の語り口もホント絶妙で心地良くて見事。
邦画特有のこちらを興醒めさせるダメなエモーショナルな演出、感動させようとくどくどとしたウェットな演出が全くなく、日本のこの世代の映画監督の中で頭一つ抜けたなという印象。
あと、SIMI LABのHi'Specによる音楽も良かったです。

傑作でした。
August 27, 2024 at 10:13 AM
贅沢な没入感を味わえる映画体験。

それにしても、85歳にして、このような前衛的表現と語り口、キレキレの演出…

本作のような「映画」を体験させてくれる作品はホント貴重だと思います。

素晴らしかったです。
August 18, 2024 at 1:45 AM
ロベール・ブレッソンの「バルタザールどこへ行く」にインスパイアされ、EO(イーオー)という名のロバ視点の放浪の旅を通して、その魂の純真さと、人間のおかしさや愚かさを描き出した、美しくも哀しい現代の寓話。

台詞を排した「映画」の語り口、ポーランドからイタリアへと至る雄大な大自然の撮影、臨場感あふれるカメラワークと独自のセンス溢れる鮮烈な映像美(ロバ主観の映像表現、森へ迷い込みハンターのポイントレーザーのシーンからの画面が赤で支配される死を感じさせる映像表現、四足歩行ロボットのシーンが印象的でした。)、パヴェウ・ミキェティンによる印象的な音楽、主観と客観が混交する中で、展開される物語。
August 18, 2024 at 1:45 AM
レイシスト達の胸糞さ、嫌悪感、後味の悪さにもかかわらず画面から目が離せない一作。
もう、冒頭の生徒の子供にさせる行動からクズ過ぎるのですが、作品の掴みとしては非常に上手く、臨場感あるワンカット演出も脚本も役者陣の演技(よくこの役をワンカットで乗り切ったなぁ…)も良く出来ている作品かなと。

ホント胸糞映画なので、全くオススメ出来ませんが、ここまで胸糞にさせ、ある種考えさせられる凄い映画だと思う…

いやぁ、ブラムハウス恐るべしな一作。
August 13, 2024 at 2:42 PM
「人々は互いに無関心で、共感も理解もなく、自分のことだけに関心がある。つまり、オルガ・ヘプナロヴァーの行為に対する罪悪感と責任は、彼女の物語に登場するすべての人が共有しているということを強調したいのです。」
- トマーシュ・ヴァインレプ、ペトル・カズダ -
July 3, 2024 at 4:45 PM
オルガの人格や行動を擁護することも、伝記映画にありがちな感情的であったり、過剰な演出をあえて排し(劇伴音楽までも排除し)、突き放した視点でドキュメンタリー的リアリズムで全編を描いた作品。

面白かったです。
       
髪型も相まって狂ったナタリー・ポートマンのようなミハリナ・オルシャニスカの演技、存在が見事で、人とうまくコミュケーションができないという人物像が一発でわかる立ち姿、神経質そうな目、無骨な歩き方、画になるタバコの吸い方、など、ある種のファム・ファタールのような存在感が「映画」の推進力となっていて、女優としてホント素晴らしかったです。
July 3, 2024 at 4:45 PM
イタリアのブラックコメディ映画『おとなの事情』(2016年)の韓国リメイク作品。

イタリアオリジナル版未鑑賞。

「修羅場」映画。

豊胸外科医と精神科医の引っ越し祝いの新居を舞台に、パーティーが開かれる数時間だけというワンシチュエーションで展開する、"大人の裏事情”からくる困惑と本音のぶつかりあいをおかしみたっぷりに軽快なテンポで描いた作品。

いやぁ、オモシロかったです。傑作。

イタリア版も鑑賞したくなりました。
July 1, 2024 at 7:33 PM
ソーシャルメディアを利用してのユーザーの心理的操作、フェイク・ニュースを通じての世論誘導など昨今現実に発生している状況を題材にした、SNSに対して社会が感じている不安を「寓話」に落としこんだ作品なので、今観ておくべき時代性ある一作。
June 29, 2024 at 4:43 PM
「花畑」を象徴的に巧みに使い、色鮮やかで美しい花畑が、やがて「機械」であっさりと刈り取られてしまう様を、無垢な世界の輝きが社会規範によって壊される儚さ、残酷さを表現している「映画」的語り口はホント巧いですし、レオが固定観念、あるいは社会規範に囚われ、自分の感情を見失い、男らしさを象徴する「鎧」として、ゴツいユニフォームに身を包む「アイスホッケー」というスポーツを選ぶという演出も視覚的にもわかりやすい暗喩でホント巧いなぁと感心。
セリーヌ・シアマ『水の中のつぼみ』と並ぶ映画的センス抜群のスポーツ選び。
June 22, 2024 at 5:00 PM
「学校」という社会の縮図に直面し、親友を遠ざけ、自身が抱いた葛藤や不安な想い、大切なものを壊してしまったことに対する罪の意識、自責の念を自分なりに消化するまでの13歳の少年の揺らぎを当事者と寄り添う語り口で「まだ未熟で未定義の性」という敏感な題材を瑞々しく繊細に描いた作品。

子どもでも大人でもないティーンエイジャーの繊細な心情の移ろい、親密な友情の輝きと別れを、エデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ワエルが見事に演じて素晴らしかったですし、余計な説明セリフもなく、しっかり映像、色彩で儚さと残酷さを表現する視覚的かつ映画的な語り口はホント見事でした。カメラワーク演出も素晴らしかったです。
June 22, 2024 at 4:59 PM
「すべてのものには霊が宿る」というアニミズムの思想のもとに、エストニアのおとぎ話と、キリスト教の神話を組み合わせて、「死者の日」をモチーフに展開する幻想的な悲恋の物語を独創性と絵画的美しさに溢れたモノクローム映像で綴った、悪夢的だが摩訶不思議な世界観が堪らない、「映画」的快楽を味わえる至福の「映画」体験でした。
June 22, 2024 at 12:43 AM
極限状態における人間の本質と変容を暴く作品で、マンションという「家」を通じて、現代社会を厳しく批評し、都市開発や経済成長によってもたらされた韓国社会の問題、世界的な移民問題、そして、本作中の住人たちの意識の変容は、集団化しナチスのゲシュタポのような組織さえも作り出してしまい、全てが現代社会の寓意のように人間模様を写しだしていて、社会派エンターテイメント作品として楽しめました。
June 8, 2024 at 5:17 AM
15歳で両親の元を離れ、高校にも行かず、同居する親友とともに家賃のためにアルバイトを続けていた、そんな監督自身が若い頃に送った生活に着想を得た、“美化されてない”自伝作品。

アンジェラとジェシーの“相性”が抜群で楽しいし、ノリで生きてるような屈託のない空気感がホワイトトラッシュの劣悪な境遇を浮かび上がらせる演出も巧く、ただのおバカコメディではない奥行きのある一作。

「自分の人生をベースにした作品なので、主人公たちがどんな大変な状況になろうとも、絶対に若さゆえの楽しさ、そして友情を失わないことだけは大切にしながら映画にしました」
- オーガスティン・フリッゼル -
June 6, 2024 at 2:34 PM
日常の生活に蔓延する女性蔑視と人種差別に立ち向かう女性たちの奮闘と友情をユーモアを交えながら非常にテンポ良く描いた作品。

レジーナ・ホール、ヘイリー・ルー・リチャードソン、シェイナ・マクヘイルの演技が素晴らしく、特にレジーナ・ホールは文句なしの名演。

ラストの全力で叫ぶ3人の姿がビターなんですが、明るく逞しく前を向く爽快さが胸を打つ素晴らしいシーンでした。

「私たちのほとんどは、生活費を稼ぐために狂った“コンセプト”を買ったり売ったりしなければならず、時に、ユーモアと尊厳を勤務時間の終わりまで持ち続けられるのか、わからなくなるのです」
- アンドリュー・ブジャルスキー -
June 6, 2024 at 6:45 AM