Dicekex
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あっちは音楽とか
こっちはだいたい本のこと
高橋悠治/坂本龍一「長電話」読了。肩怒らせつつ斜に構えてピリピリしてた坂本龍一の感じが懐かしい。高橋悠治の板についてない軽薄ぶりが一興。あの時代の空気そのまま真空パック状態で、とにかく知識や情報を求めて本屋レコード屋を彷徨いてた自分の若かりし頃まで思い出すハメになった、若干居心地の悪い読書。この後の2人の音楽の行く末を知っている者としては、少しため息も出た。未来と閉塞感が雑に同居していた時代だった。
November 6, 2025 at 1:44 PM
佐伯剛「みちのく古代巡礼」読了。親父の代まで会津者で、妻のルーツは遠野にある。そのくせ東北はあまり行ったことがない。征服された挙句、戊辰戦争でぼこぼこにされたご先祖の土地は、遠く縄文の頃から自分たちの文化の元で生きて来た人たちの足跡が今も残る。
佐伯氏の仕事は雑誌「風の旅人」の頃から見てきている。日本という物について、こういうスタンスで向き合っていれば、保守を装う首相に熱狂する似非右翼や、あるいはその反対のインテリ型空想グローバリストにはならないはずなんだが。地に足つけて落ち着いて考えたい、自分の居場所については。
November 3, 2025 at 12:50 PM
旧約聖書「申命記」読了。本当はもっと行間をちゃんと読まなければならないんだが、エジプトを出てからここまでの復習、繰り返しが多くて閉口した。律法の大事なところなんだろうが、とにかく言うことを聞け、他のことに耳を傾けるな、という強圧的な神の言葉が延々続き、モーゼの死で終わる。主は契約を結んだ民に対して、いきなり戦争するから武装しろとか言い出すので、大きな木や岩は神様が宿ると思ってる原始アミニズムの人である自分にはかなり理解できない。この先を一生懸命読んだところで、経典の民にはなれそうもない。そろそろうんざりしてきたが、まだ頑張る。次はヨシュア記だ。
November 1, 2025 at 1:40 PM
ブルースチャトウィン「ソングライン」読了。タフ30年ぶりくらいの再読だと思う。本当の良書。
解説でノンフィクションなのか小説なのかわからないとあるが、今回の再読で小説だと思った。アボリジニの伝承文化ソングラインと、自分がそれまで積み重ねて来たノートとの融合のために作られた作品だと思う。結末に至る筆致は鮮やかだけれども、ソングライン自体については実はそれほど深掘りしていない。定住から始まった文明の堕落と、この世界全てを支えていたはずの見えない支柱である、最早見ることも感じることも難しいソングライン。昔読んだ時に感じた希望は今回見えなくて、この星に生きて行く基礎を失った自分の不安だけが残る。
October 26, 2025 at 1:04 PM
ボブディラン「ソングの哲学」読了。文章ほんと上手いな、とノーベル賞受賞者に失礼なこと思ってしまうくらい、とにかく読ませる文章。ほとんど知らないアメリカンルーツミュージックについて、「君は○○だ…」に始まる歌に寄り添った物語をイントロに、歌の世界を切り裂いて見せる名文の連発。エドウィンスターとピートシーガーについての若干長めの文章が白眉。詩人という、理屈で説明つかない何かで世界を読み取ったり、時には預言とかしてしまう人種が確かにいて、ディランはいまでも正しく詩人であり続けているとよくわかる本。
ちなみに、紹介されてる楽曲がほとんどサブスクで聴けるのはありがたい。時代は変わる。
October 4, 2025 at 1:17 PM
旧約聖書「民数記」読了。徴兵制が始まり、やたらに細かいルールの設定が延々と続き、神がここに住めと言った場所に以前から住んでる人を皆殺しにしてカナンの土地に戻るまでの話。もはや展開について行けない一歩手前。元いた人たち皆殺しが今のイスラエルと被りまくる。
主は唯我独尊ワンマン社長、モーセはパワハラ中間管理職みたいで、聖書の無愛想な語りがなおさら横暴さを際立たせている。恐怖で人を縛る宗教。最も、このあたりは神学やらないとわからないのかもしれないが。
とりあえず次の申命記でモーセ五書、いわゆる律法は終わり。頑張って読む。どうか自分が挫折しませんように。
September 30, 2025 at 12:02 PM
原田伊織「明治維新という過ち」読了。目次に水戸学の文字を見つけてなんとなく買った本だが、正直勢いだけの、日本国記とか小林よしのりの漫画みたいな本だった。著者の歴史観は自分が薄々思ってたのとかなり近いので、面白くは読んだけど。個人的には孝明天皇は暗殺されたと思ってるし、長州薩摩はどこかの外国と結託してことを起こした、そうじゃなきゃ武器がどこから来たのかわからん、という陰謀論思考なので。あと司馬遼太郎は、坂の上の雲途中で挫折した。かなり苦手な作家。さらにDNAが会津人なので、やはり長州が牛耳り続けているこの国では負け組なのかもしれぬ。
September 5, 2025 at 1:40 PM
旧約聖書「レビ記」読了。ひたすら神は恐ろしく、恩着せがましい。エジプトからあなたたちを救い出した、って何回言うんだろう。
今回凄く引っかかったのは下記の一節。
「寄留者があなたの土地に共に住んでいるなら、彼を虐げてはならない。あなたたちのもとに寄留する者をあなたたちのうちの土地に生まれた者同様に扱い、自分自身のように愛しなさい」(レビ記 19.33)
ユダヤ教の「律法」なんだよな、レビ記は。だとしたら今のイスラエル人は全然だめだ。自分達の神の言ったことちゃんと守れや。聖書もう一回ちゃんと読んで、イスラエル人は反省した方がいい。
September 4, 2025 at 12:22 PM
旧約聖書「出エジプト期」読了。モーセの物語になるが、神の気分が暴走して行く様々を延々と読まされる。とにかく要求が細かい上に、いちいち試して来るので面倒なことこの上ない。また、エジプトのファラオが物凄く頑迷な人間に描かれているんだが、正確にはどのくらいの時代なんだろうか。旧約聖書の成立とかそういう本も読まなきゃならないのか。
十戒とか出て来たが、奴隷の扱いとかも細かい規定がいろいろあってうんざりする。元々が動乱の時代の処世術的な側面もあったのかもしれない。モーセ五書の残り3冊もこんな感じなんだろうか。
とりあえず、明日から「レビ記」を読む。
August 20, 2025 at 1:01 PM
楊双子「台湾漫遊鉄道のふたり」読了。正直、作者は小説が下手過ぎる。凄くいい本になるはずだったのに、雑なエピソードの羅列に終始していて勿体なさ過ぎる。
ただ青山先生についてはめちゃくちゃ考えるところあり。結局千鶴さんのことは最後まで理解できないで終わるけど、こういう人は今もたくさんいる。ウクライナのことを可哀想目線で見ている人とか、自分目線の正義感でしか物言えない人はとても多い。
日本が台湾を統治していた時代の、本当のことを知るために必要な精密な想像力。そういうものをたくさんの人が持てれば、毎年この時期溢れかえる戦争とんでも言説も、少しは減るかもしれない。
August 17, 2025 at 12:29 PM
珍しく新書買った。
August 13, 2025 at 6:16 AM
最近興味があることがこの辺の本を読み返すことを要求して来よる。このあたりまでの小熊英二は面白かった。新書書き散らし屋になってから興味なくなったけど、未だにこの鈍器本の熱量は読むに値する。
August 10, 2025 at 7:24 AM
半藤一利「安吾さんの太平洋戦争」読了。この不穏な現在の必読書かと思っていたが、ちょっと中身薄かった、というか著者の軽口が微妙に白ける。
しかし、安吾さんの偉大さは何も変わらない。愛国心、愛郷心から戦争を最後まで懸命に見届け続け、それでもかなり適当に戦争をやり過ごして、戦後は堕落論に結実する安吾世界。今時極右政党が連呼する愛国心と違う安吾さんの愛国心は、巻末所収の「特攻隊に捧ぐ」で明確になる。正直全面賛同はし難いけれども、荒れて行く一方のこの国で生き延びる覚悟は決まる。
勢いで「白痴」まで引っ張り出して読み返した。安吾さんの小説で、これが一番好きだ。
August 3, 2025 at 12:46 PM
旧約聖書「創世記」読了。とりあえず文面はちゃんと追ったつもりだが、わかりにくいな。失楽園から箱舟やらソドムとゴモラやら有名どころの話がみんな創世記だったことすら知らなかった。
とにかく神が強圧的で、パワハラですらあるし、強制引っ越し命令で移動した人は何人いたんだろう。嫉妬から始まる暴力的シーン多数でかなり面食らったし、創世記の段階から人類には奴隷という存在がいたことはかなりの衝撃。あととにかく女性の存在感は軽い。
次は出エジプト記なんだが、海が割れたりするんだよな。
August 2, 2025 at 1:05 PM
旧約聖書読み始めたが、創世記の段階で人物が混乱してわけわからなくなりつつあるので買ってみた。宗教的解釈とかが全然ないので助かる。
July 26, 2025 at 1:04 PM
井筒俊彦「イスラーム文化」読了。とにかく知らないことばかりだった。コーランが旧約聖書を元に生まれたとか、シーア派とスンニー派の違いとか、ペルシアとアラブが別物とか、なでイスラム教の国々は宗教と政治ががっちり密接なのかとか、確かに中東関連のニュース見てて頭の中が?だらけになってた理由はこのあたりのベーシックなところがさっぱりわかってなかったからだった。宗教の理解はほんと難しい。本一冊くらいではどうにもならない。でも世の中にはこういう原理で動いている多数の人間がたくさんいるわけで、少しでも齧っておかないと、起こっていることの意味がさっぱりわからないままだ。
July 14, 2025 at 12:57 PM
今読まないとおそらく読まないまま死ぬんだろうなと思って、読み始めた。昔、カトリックの神父の勉強してた人にもらったので、おそらくちゃんとした聖書。「マルコによる福音書」と「コリントの信徒への手紙」にだけ、めちゃくちゃ書き込みや傍線があるんだが他は読んでないのか。
未だに世界はこの本の影響で動いているところ大なので、知らないと起こってることの意味がわからなかったりする。アメリカの福音派のドキュメンタリー見て「ヨハネの黙示録」読んだが、読んだところで頭が?でいっぱいになっただけだったんだが。
July 6, 2025 at 12:30 PM
ちょっと空いた時間に本屋滞在10分以下で3冊買ったので、30分いたらどうなっていたのやら。
June 28, 2025 at 8:40 AM
フォークナー「響きと怒り」読了。とにかく駄目人間しか出てこない、ひたすら全部が転がって巨大化しつつ、駄目に突入していく話だった。フォークナーは「八月の光」大好きなんだけど、趣の違う話過ぎて、もこもこした閉鎖空間で迷子になってしまったため、とりあえずもう一度読まないとよくわからぬ。いくつか異様な光を放つ場面、2章の誘拐未遂事件や、4章の冒頭部等が自分の中で光っているうちに読み返せるか。大江中上とかフォークナーの影響を公言している人よりも、何故か深沢七郎を思い出したのは、会話のぐだぐださかもしれない。面白いのかつまらないのかわからないのに、読むのをやめようとは思わないという、久々の傑作。
June 13, 2025 at 1:33 PM
途中で挫折、放置していた「重力の虹」を、妻が淡々と読みきっていた。「途中もういいかげんにしろとか思ったけど、でかいよ。世界だよ世界、世界を描いた小説」というよくわからん感想を言ってた。いつになるかわからんが、読まねばなるまい。
June 11, 2025 at 1:12 PM
三島由紀夫や中上健次、坂口安吾に夏目漱石が生きられなかった50代という時間を生きてることが、ふと不思議になる。彼らと比べて脳味噌が貧相だからかもしれぬ。
June 4, 2025 at 7:07 AM
須永紀子「空の庭、時の径」読了。冷静で整っていて、所々整い過ぎた感もある中で、背筋が寒くなる一行が不意に織り込まれる。もどかしさというのか、上手く言えないことを上手く言わないまま上手く言わない。結局考えるので、そういう意味では理想の詩なのかもしれない。次に手に取った時はまったく別のことを考えるんだろう。ただ、時々説明的になってしまうところは残念。そうするとこちらの脳味噌も急に現実的になってしまうので。
May 31, 2025 at 1:30 PM
現代思想の「総特集 カフカ没後100年」読了。様々過ぎる視点から一人の作家をいじり倒す。もしかしたら500年後でもみんなよってたかってあーだこーだ言ってそうな、懐深過ぎるカフカ。途中気になって、取り上げられてる短編とか読み返しながら一年ほど付き合ったが、突っ込み鋭い批評でも、原典読むと「それってあなたの感想ですよね」程度に感じてしまうこと多数。複数の著者が「変身」を介護小説と言っていたが、また時代が経てばころっと評価が変わったりしながら、全然古びないで語られ続けて行くのがカフカなんだろう。
May 5, 2025 at 12:11 PM
八王子古本市の戦果。海外文学がほとんどなかったのが残念。他学術書っぽい物は状態が酷過ぎる上に値段が高くてこちらもボツ。
May 3, 2025 at 8:30 AM
ベルトラン「夜のガスパール」読了。ありがちな激情型芸術至上自己陶酔序文からスタートするが、形の整った韻文的散文スケッチは意外に静的。最も原文の韻とかはわからんから想像でしかないが、鋏を手に近づいたり離れたりして切り揃えられた作品であることはよくわかる。箱庭的というか、箱の中の写真を覗き込むような感じがする。きっと書かれた時から遺跡みたいな物だったんだろう。
April 27, 2025 at 1:21 PM