その年のクリスマスが近付いてきたある日、みずきは年甲斐もなくはしゃいでいた。
買っちゃった、買っちゃった、クリスマスブーツ!夢とお菓子の詰まったクリスマスブーツ、ふたつ。
げげろときたろの分だ。本来なら小さな子どものきたろだけでも良いのだが、げげろもきっと喜ぶと思い、ふたつ買ったのだ。
良いじゃないか、ブーツはふたつで一足なんだから……クリスマスという行事に浮かれたみずきはそんな事を思った。(本番はまだなのに?というツッコミは勘弁だぜ!)
頭にはもう二人の笑顔しかないみずきは知らなかった。
げげろが同じ様にみずきときたろ用のクリスマスブーツを用意していることを。
クリスマスまで後少し。
その年のクリスマスが近付いてきたある日、みずきは年甲斐もなくはしゃいでいた。
買っちゃった、買っちゃった、クリスマスブーツ!夢とお菓子の詰まったクリスマスブーツ、ふたつ。
げげろときたろの分だ。本来なら小さな子どものきたろだけでも良いのだが、げげろもきっと喜ぶと思い、ふたつ買ったのだ。
良いじゃないか、ブーツはふたつで一足なんだから……クリスマスという行事に浮かれたみずきはそんな事を思った。(本番はまだなのに?というツッコミは勘弁だぜ!)
頭にはもう二人の笑顔しかないみずきは知らなかった。
げげろが同じ様にみずきときたろ用のクリスマスブーツを用意していることを。
クリスマスまで後少し。
「ほら、父さん。行きますよ」
「嫌じゃ〜。病院など行きとうない〜」
「駄目です。熱あるんだから……みずきさんも父さん説得してください」
「みじゅき……ワシ行きとうない……」
「うっ、そんな顔されると……甘やかしたくなる!」
「もう、みずきさん!そうやってすぐ父さんを甘やかすんだから」
このあと、倅によって病院に連行される父
「ほら、父さん。行きますよ」
「嫌じゃ〜。病院など行きとうない〜」
「駄目です。熱あるんだから……みずきさんも父さん説得してください」
「みじゅき……ワシ行きとうない……」
「うっ、そんな顔されると……甘やかしたくなる!」
「もう、みずきさん!そうやってすぐ父さんを甘やかすんだから」
このあと、倅によって病院に連行される父
「あー、もう。この時期は飲み会ばっかりだ……」
「忘年会というものじゃな」
「うん。俺は早く帰ってきたいんだ……忘年会なんか無きゃいいのに!」
「ワシとの忘年会も無いほうが良いのか……」
「えっ、それはいります!やりたいです!むしろ幹事します!!!」
「良かったのじゃぁ〜」
「あー、もう。この時期は飲み会ばっかりだ……」
「忘年会というものじゃな」
「うん。俺は早く帰ってきたいんだ……忘年会なんか無きゃいいのに!」
「ワシとの忘年会も無いほうが良いのか……」
「えっ、それはいります!やりたいです!むしろ幹事します!!!」
「良かったのじゃぁ〜」
電話があるみずき家の話。
水が熱出して自分で休みの連絡ができず代わりに父が電話をする事に。
「も、もしもし…みずきの縁者ですじゃ…はい、あの、みずきが熱を…お休みを頂きたく…あ、はい、ありがとうございます。では失礼致しますのじゃ」
何か可愛い…と熱に魘されながら思う水。
電話があるみずき家の話。
水が熱出して自分で休みの連絡ができず代わりに父が電話をする事に。
「も、もしもし…みずきの縁者ですじゃ…はい、あの、みずきが熱を…お休みを頂きたく…あ、はい、ありがとうございます。では失礼致しますのじゃ」
何か可愛い…と熱に魘されながら思う水。
出会った頃は暑さ寒さに無頓着だった父が、最近では「朝は寒くてお布団出れんのじゃ〜」と泣き事言っているのを聞くと、(随分人間界に染まったな……あ、いや、これは俺色に染まったということか!)とドヤ顔するみずきさん。
出会った頃は暑さ寒さに無頓着だった父が、最近では「朝は寒くてお布団出れんのじゃ〜」と泣き事言っているのを聞くと、(随分人間界に染まったな……あ、いや、これは俺色に染まったということか!)とドヤ顔するみずきさん。
「ほら、げげろ。爪切るから手を出せ」
「嫌じゃ〜嫌じゃ〜。長い方がしーる剥がすのに便利なんじゃ〜」
「シール?新しい内職か?」
「違うのじゃ。倅がのう、お菓子に付いてくるしーるをどこでも貼ってしまってのう。ワシ後でこっそり剥がしておるのじゃよ〜」
「……この卓袱台のど真ん中が微妙にベタつくのは」
「うまく剥がせんかった……」
「なるほど」
「では、爪は長いままで良いかのう」
「だが切る」
「何故じゃ!?」
俺の背中のためだよ。
「ほら、げげろ。爪切るから手を出せ」
「嫌じゃ〜嫌じゃ〜。長い方がしーる剥がすのに便利なんじゃ〜」
「シール?新しい内職か?」
「違うのじゃ。倅がのう、お菓子に付いてくるしーるをどこでも貼ってしまってのう。ワシ後でこっそり剥がしておるのじゃよ〜」
「……この卓袱台のど真ん中が微妙にベタつくのは」
「うまく剥がせんかった……」
「なるほど」
「では、爪は長いままで良いかのう」
「だが切る」
「何故じゃ!?」
俺の背中のためだよ。
「今日のお弁当はお握りじゃ」
「みじゅ!キタもね、おにーりさんつくった!」
「そうじゃよ、ワシと倅のお握りさんじゃよ」
「そ、そんな贅沢なお握りが弁当だなんて……俺は幸せ者だなぁ」
みじゅの推しは👻族の父子
……そしてお昼休み。
みずきさんはお弁当の包みを開いて、げげろのきっちりお握りと、きたろの個性的なお握りを見つめて目に焼き付ける。
食べるの勿体ないが、お握りの具も気になる……。
みずきさん、めっちゃ味わいながらお握り食べてたらしい。
同僚の人が「なんか、みずきさん……すげぇ幸せそうな顔してお握り食べてた」と証言していました。
「今日のお弁当はお握りじゃ」
「みじゅ!キタもね、おにーりさんつくった!」
「そうじゃよ、ワシと倅のお握りさんじゃよ」
「そ、そんな贅沢なお握りが弁当だなんて……俺は幸せ者だなぁ」
みじゅの推しは👻族の父子
……そしてお昼休み。
みずきさんはお弁当の包みを開いて、げげろのきっちりお握りと、きたろの個性的なお握りを見つめて目に焼き付ける。
食べるの勿体ないが、お握りの具も気になる……。
みずきさん、めっちゃ味わいながらお握り食べてたらしい。
同僚の人が「なんか、みずきさん……すげぇ幸せそうな顔してお握り食べてた」と証言していました。
「お前の長い生の中に、一瞬でも良いから俺も置いてくれ」
あれ、告白と言うかプロポーズ💍
「お前の長い生の中に、一瞬でも良いから俺も置いてくれ」
あれ、告白と言うかプロポーズ💍
水はビュッフェって言えるけどお皿の盛り付け方がゴチャッとしがち
父はビュッフェを「びっふぇ」と言うが盛り付け方は綺麗
水はビュッフェって言えるけどお皿の盛り付け方がゴチャッとしがち
父はビュッフェを「びっふぇ」と言うが盛り付け方は綺麗
妖怪のせいで思った事がすぐ口に出てしまうみずきさん。
倅を見て……「可愛い。自慢のうちの子」
父を見て……「可愛い。(以下お見せできない言葉たち)」
「倅や、なぜ父の耳を塞ぐのじゃ?」
「父さん、聞いちゃ駄目です」
妖怪のせいで思った事がすぐ口に出てしまうみずきさん。
倅を見て……「可愛い。自慢のうちの子」
父を見て……「可愛い。(以下お見せできない言葉たち)」
「倅や、なぜ父の耳を塞ぐのじゃ?」
「父さん、聞いちゃ駄目です」
冬の寒さが身にしみる。
一人だと特に、だ。
俺はこたつに入って寝転がったままぼうっと天井を見上げる。あ、あのシミの形雲みたい……なんて言ってみても、独り言を拾ってくれるげげろもきたろも、いない。
何でだ、何でお前達はいないんだ。俺がこんなに寂しいのに。何で出て行った!
……まぁ、何言っても後の祭りだが。
あー、もう俺だめだ……。
「ただいま、みじゅー!」
「ただいま、遅くなってすまぬのう」
帰ってきた!
妖怪のあれこれで留守にしていた二人が帰ってきた!
「おかえり、げげろ!きたろ!」
俺は玄関にかけていって二人を抱きしめた。
俺、お前達がいないとだめなんだよ、だから置いて行くな!
冬の寒さが身にしみる。
一人だと特に、だ。
俺はこたつに入って寝転がったままぼうっと天井を見上げる。あ、あのシミの形雲みたい……なんて言ってみても、独り言を拾ってくれるげげろもきたろも、いない。
何でだ、何でお前達はいないんだ。俺がこんなに寂しいのに。何で出て行った!
……まぁ、何言っても後の祭りだが。
あー、もう俺だめだ……。
「ただいま、みじゅー!」
「ただいま、遅くなってすまぬのう」
帰ってきた!
妖怪のあれこれで留守にしていた二人が帰ってきた!
「おかえり、げげろ!きたろ!」
俺は玄関にかけていって二人を抱きしめた。
俺、お前達がいないとだめなんだよ、だから置いて行くな!
庭で🐱と遊んでいる倅をこたつに入って見守る父達。
「子どもって寒くても元気だよなぁ」
「ワシ等とこたつと一体化しておるのに」
ダラダラしていると倅が「とーしゃもみじゅもきてー!」と呼ばれるので、上着を着込み着膨れして庭に出る父達……。
「「寒い!!!」」
庭で🐱と遊んでいる倅をこたつに入って見守る父達。
「子どもって寒くても元気だよなぁ」
「ワシ等とこたつと一体化しておるのに」
ダラダラしていると倅が「とーしゃもみじゅもきてー!」と呼ばれるので、上着を着込み着膨れして庭に出る父達……。
「「寒い!!!」」
のじゃのじゃと、お喋りしている父とふわのじゃ。
「のじゃで通じるんだ……」と思った水は、ふわ水を見た。
「お前も何か喋るのか?」
だが、ふわ水は無言。ただ水を見上げるのみ……。
水とふわ水は微妙な関係??
のじゃのじゃと、お喋りしている父とふわのじゃ。
「のじゃで通じるんだ……」と思った水は、ふわ水を見た。
「お前も何か喋るのか?」
だが、ふわ水は無言。ただ水を見上げるのみ……。
水とふわ水は微妙な関係??
「くちっ」
「(可愛いくしゃみだ)こたつで寝てると風邪引くぜ」
「分かっておるが、ワシとこたつは離れられぬのじゃ……」
「へぇ、そいつは随分仲が良いことで」
「お!おぬし、さては焼き餅かの?」
「焼いてねぇ!」
「可愛いのう、可愛いのう」
「……ったく」
……そうは言ったものの最近では俺もおもしろくなってきて、げげろとこたつの仲を「よ、お熱いね!こたつなだけに」等と冷やかしている。
しかし、俺がそうする度にげげろはつまらなそうな顔をする。
ふふっ、俺に冷やかされて焼き餅か?
「……おぬし、外では駄洒落の類は言わぬ方が良いぞ」
どう言う意味だ!
「くちっ」
「(可愛いくしゃみだ)こたつで寝てると風邪引くぜ」
「分かっておるが、ワシとこたつは離れられぬのじゃ……」
「へぇ、そいつは随分仲が良いことで」
「お!おぬし、さては焼き餅かの?」
「焼いてねぇ!」
「可愛いのう、可愛いのう」
「……ったく」
……そうは言ったものの最近では俺もおもしろくなってきて、げげろとこたつの仲を「よ、お熱いね!こたつなだけに」等と冷やかしている。
しかし、俺がそうする度にげげろはつまらなそうな顔をする。
ふふっ、俺に冷やかされて焼き餅か?
「……おぬし、外では駄洒落の類は言わぬ方が良いぞ」
どう言う意味だ!
オッス、俺みずき。
げげろにメロメロな俺だが、たまには格好良く男らしいところを見せねばと思い、俺はげげろに言った。
「お前の飯、めっちゃ美味いがもう少し、みずき家っぽい感じがあると良い」
どうだ、亭主関白っぽいだろう……と思ったのも束の間。
今晩の食卓に🐸の目玉料理が…!
くっ、確かに人間とおばけが同居するみずき家の食卓っぽい。げげろ……やるな!
次回「異種族間コミュニケーションは体を張ってこそ」俺の勇姿、絶対見てくれよな!
オッス、俺みずき。
げげろにメロメロな俺だが、たまには格好良く男らしいところを見せねばと思い、俺はげげろに言った。
「お前の飯、めっちゃ美味いがもう少し、みずき家っぽい感じがあると良い」
どうだ、亭主関白っぽいだろう……と思ったのも束の間。
今晩の食卓に🐸の目玉料理が…!
くっ、確かに人間とおばけが同居するみずき家の食卓っぽい。げげろ……やるな!
次回「異種族間コミュニケーションは体を張ってこそ」俺の勇姿、絶対見てくれよな!
「駄目だ、きたろ!ペッしなさい!」
「トホホ……」
「駄目だ、きたろ!ペッしなさい!」
「トホホ……」
ふと花屋が気になって立ち止まるみずき。げげろに贈ったら喜ぶかな、と思案していると店員に話しかけられた。
贈り物ですか?ええまぁ。どんな方に贈られますか?えぇと……
みずきは店員に聞かれるまま、げげろのイメージを伝える。
出来上がった花束をどうやって渡すか、ちょっと悩むみずき。
……帰宅後。
「ただいま」
「おかえりなさいなのじゃ」
「あー、これ……お前に」
「おお、綺麗なお花じゃ♡」
「今日は何でもない日だけど、お前に贈りたくなったんだ」
「では今日は『みずきに花束をもらった日』にするかの」
「なんか照れくさいなぁ」
「ワシは嬉しいよ。ありがとう、みずき」
ふと花屋が気になって立ち止まるみずき。げげろに贈ったら喜ぶかな、と思案していると店員に話しかけられた。
贈り物ですか?ええまぁ。どんな方に贈られますか?えぇと……
みずきは店員に聞かれるまま、げげろのイメージを伝える。
出来上がった花束をどうやって渡すか、ちょっと悩むみずき。
……帰宅後。
「ただいま」
「おかえりなさいなのじゃ」
「あー、これ……お前に」
「おお、綺麗なお花じゃ♡」
「今日は何でもない日だけど、お前に贈りたくなったんだ」
「では今日は『みずきに花束をもらった日』にするかの」
「なんか照れくさいなぁ」
「ワシは嬉しいよ。ありがとう、みずき」
プロポーズの翌朝、もう畳まれたげげろの布団を見て(言っちゃった、言っちゃった…!)となるみずき。
しかし、起こしに来たげげろは普段と変わらない。
浮かれてんのは俺だけか……と沈みかけた気持ちは、ちらりと見えた真っ赤なげげろの耳に霧散した。
「おはよう、げげろ!」
ガバっと抱きつくと「ぴゃっ」と悲鳴が上がった。
父にプロポーズしようと、ちょっと良いレストランを予約したし勢いで買った指輪もある。
倅には悪いが砂かけの所にお泊りしてもらう。
準備万端、後は退社後に待ち合わせ場所に行けばいい……というところで後輩のミスで残業確定したみずき。
鬼の形相で何とか終わらせるも、待ち合わせ時間もレストランの予約時間も過ぎている。
みずきは全力疾走で待ち合わせ場所に行くと……ぽつんと所在なさ気なげげろが立っていた。みずきは泣きそうになりながら近付くと気付いたげげろがパッと花咲くように笑った。その顔に待たされた怒りはなく、会えた喜びだけ。
みずきはポケットの中の指輪を握り締めた。
「げげろ!俺と結婚してくれ!」
プロポーズの翌朝、もう畳まれたげげろの布団を見て(言っちゃった、言っちゃった…!)となるみずき。
しかし、起こしに来たげげろは普段と変わらない。
浮かれてんのは俺だけか……と沈みかけた気持ちは、ちらりと見えた真っ赤なげげろの耳に霧散した。
「おはよう、げげろ!」
ガバっと抱きつくと「ぴゃっ」と悲鳴が上がった。
父にプロポーズしようと、ちょっと良いレストランを予約したし勢いで買った指輪もある。
倅には悪いが砂かけの所にお泊りしてもらう。
準備万端、後は退社後に待ち合わせ場所に行けばいい……というところで後輩のミスで残業確定したみずき。
鬼の形相で何とか終わらせるも、待ち合わせ時間もレストランの予約時間も過ぎている。
みずきは全力疾走で待ち合わせ場所に行くと……ぽつんと所在なさ気なげげろが立っていた。みずきは泣きそうになりながら近付くと気付いたげげろがパッと花咲くように笑った。その顔に待たされた怒りはなく、会えた喜びだけ。
みずきはポケットの中の指輪を握り締めた。
「げげろ!俺と結婚してくれ!」
父にプロポーズしようと、ちょっと良いレストランを予約したし勢いで買った指輪もある。
倅には悪いが砂かけの所にお泊りしてもらう。
準備万端、後は退社後に待ち合わせ場所に行けばいい……というところで後輩のミスで残業確定したみずき。
鬼の形相で何とか終わらせるも、待ち合わせ時間もレストランの予約時間も過ぎている。
みずきは全力疾走で待ち合わせ場所に行くと……ぽつんと所在なさ気なげげろが立っていた。みずきは泣きそうになりながら近付くと気付いたげげろがパッと花咲くように笑った。その顔に待たされた怒りはなく、会えた喜びだけ。
みずきはポケットの中の指輪を握り締めた。
「げげろ!俺と結婚してくれ!」