文学少女
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文学少女(文学青年) だましてください言葉やさしく
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#名刺代わりの小説10選

冬の蠅/梶井基次郎
女生徒/太宰治
春琴抄/谷崎潤一郎
銀河鉄道の夜/宮沢賢治
眠れる美女/川端康成
城の崎にて/志賀直哉
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭一樹
ティファニーで朝食を/カポーティ
ライ麦畑でつかまえて/サリンジャー
ロリータ/ナボコフ
猫がシナモンと寝てた
#読了 バタイユ「眼球譚(初稿)」生田耕作訳

バタイユの著作を初めて読んだのだが、かなり衝撃的だった。まさしく異端であり、あまりにも独創的なエロティシズム文学。玉子、眼球、睾丸......狂気的なイメージの絢爛が重なり合って、結びつき、ひとつの球体幻想を作り上げる。ただ異端なのではなく、規律の中でそれを弾け飛ばすような異端だからこそ、その輝きはより一層強烈である。
第一部に物語、第二部にその物語の背景を述べ、解析をしていくという構成も面白かった。バタイユには鋭い批評の目もあることが感じられる。この本は一旦何なんだろう。何か霊気が宿っているよな、恐ろしいものを感じる。
月報を書いているのが種村季弘や土方巽というのも、すごいな......
届いた!!!!(安くて思わず、買った)
映画「オルフェ」を見た。監督は詩人のジャン・コクトー。

コクトーの映画を初めて見たが、この映画は詩だと感じた。よく映画では詩的な映像という言葉が使われるが、そういったものとはまた違い、映画の奥底に詩の精神を感じるのだ。幻想的な物語や斬新な映像表現、詩人のイメージを映画という媒体によって表現しているように思う。鏡によってあの世とこの世を行き来する映像、逆再生、冥府の表現などの、前衛的な試み。言葉だけではなく、映像でも詩を表現することのできたコクトーはまさしく天才だろう。コクトーは小説や演劇や絵など、様々な活動をしていたが、やはりその本質は詩人なのだと思う。
わー!ありがとうございます、嬉しいです( ; ; )書いてる甲斐があります( ; ; )

ぜひぜひ、単行本で...
#読了 谷川俊太郎「虚空へ」

谷川俊太郎の晩年の詩集。短い行脚の十四行詩という、少ない言葉の詩が集められている。あとがきで作者は「今の夥しい言葉の氾濫に対して、小さくてもいいから詩の杭を打ちたいという気持ちがあった」と述べている。少ない言葉のその隙間、沈黙から、谷川俊太郎が自身の死を見つめている寂寥とした心情を感じた。歳を重ね、世界、人生、自己を、遠くから静かに眺めていて、初期作品とはまた違った、まさに「虚空」といった寂しさを感じる。良かった。

また、この「虚空へ」はもうすぐ文庫版が発売されるらしいが、この空白や沈黙を読むには、単行本がいいと思ったりする。
#読了 「種村季弘傑作選[Ⅰ]」

初めて読んだ種村季弘。解説の諏訪哲史は『二十世紀のわが国の人文科学が世界に誇るべき「知の無限迷宮」の怪人、それが種村季弘である。』と述べる。まさに種村季弘の文章世界は、無限迷宮を思わせる知識の絢爛であり、有機的な統合である。ドイツ文学者であった著者だが、活動は映画批評、演劇批評、錬金術研究、機械人形研究、奇人評伝など多岐にわたり、それらの知識が混ざりあった文章の奥深さは恐ろしい。どうしてそんなことまで知っているんだろうと思ってしまう。知識の宇宙に漂うような読書感だった。
「MONKEY vol.34」にあるヘザー・アルトフェルドの「死んだ言語たちを悼む(柴田元幸訳)」は衝撃的だった。詩集に収録されている散文詩のようなもので、新しい美しさを感じた。「母音一個子音八十四個のウビフ語」など、世界で失われていく様々な言語を悼むこの作品は、圧倒的な知識量と豊かな詩情で詩の空間を作りあげていく。柴田元幸は「とにかく一つの時空を作ろうとしている感覚がある」と語っている。まだ邦訳されている本はないようだが、ぜひいろんな作品を読んでみたいと思った。
安かったから気になるところだけ買ってきた
種村季弘の「黒い錬金術」で、ユングによる分析心理学と錬金術の類似が紹介されていて、非常に面白かった。錬金書は錬金術の説明というよりは暗示であり、ユングによれば、これは夢という暗示から類推していく分析心理学と類似しているとのこと。錬金術と心理学というのは意外な組み合わせで面白いし、ユングの錬金術に関する本にも興味が湧いた。
色々買いました。種村季弘の「K・ケレーニイと迷宮の構想」を読んでから、迷宮というものに興味があります。
#読了 エルヴェ・ル・テリエ「異常」

文学的な実験性とエンタメ性がうまくかみ合っていて、刺激的で非常に面白かった。第一部を違和感を覚えながら読み進めていくと、とんでもない展開が待ち受けていて、稲妻のような衝撃が体に走る。僕はエンタメ小説を普段読まないため、純粋に楽しくてどんどんページをめくってしまう感覚は久しぶりだった。数学者であり言語学者でもある著者の博識ぶりが遺憾なく発揮されていて、知的な刺激もすさまじい。ネタバレは避けて、まずは読んでみるべし。リンクの感想はネタバレありなので注意。

sizu.me/bungakusyojo...
エルヴェ・ル・テリエ「異常」感想(ネタバレあり) |文学少女
1,147字
sizu.me
ちなみに「異常」はとんでもなく面白い