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おもに読んだ本について呟きます。訳書のお知らせもします。日英仏翻訳者。
noteに読書記録や仕事の話を書いています。 https://note.com/nat_kc
A random translator and booknerd living in Tokyo/Vancouver. Humanities.
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津原さん、『五色の舟』原画ですよ……
September 25, 2024 at 5:06 AM
やはらかく 子を抱く母や 桃熟れて」(伊藤園 新俳句大賞)
この俳句に嫌悪感を覚えたという女性のSNSに投稿対して、俳句の季語だから過剰反応するのはおかしい、素直に読め、という内容の反論が寄せられていました。
「桃」と「熟」、そして視線の先にある女。伝統芸術と現代のプラットフォーム。考えたことを書きました。

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視線の先の女:「桃」とか「熟れる」とか|Nat
「やはらかく 子を抱く母や 桃熟れて」(伊藤園 新俳句大賞) この俳句に嫌悪感を覚えた、とある女性がSNSに投稿しているのをみかけた。俳句の季語だから過剰反応するのはおかしい、素直に読め、というような内容の反論が寄せられていた。いっぽう「その気持ち、わかる」というコメントも多くあった。 いろんな受容のしかたがある。だから面白いのだけれど。 多くの文化表象や芸術作品と同様、俳句という文学の構造そ...
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December 15, 2025 at 12:43 AM
『性/生をめぐる闘争 台湾と韓国における性的マイノリティの運動と政治』
福永玄弥 明石書店
植民地解放後の東アジアの冷戦秩序のなか、台湾と韓国において、近代化の影響のもとで性的マイノリティの存在を政治がどのように扱ってきたのか、当事者たちの闘争はどんなものであったのか。
かつての日本の植民地であり、独裁制を経て民主化への道を歩んでいるという共通点をもつ両国。しかし、性的マイノリティの闘争、そして権利の獲得状況や社会における受容の変化については大きな差がある、ということが分析によって浮かび上がります。またさまざまな方面からのバックラッシュの激しさを知るにつけ(続く→)
December 12, 2025 at 8:54 AM
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ルソー『孤独な散歩者の夢想』佐々木康之訳、川出良枝解説(白水社)。読書の真髄は再読にあることを思い知らされた読後感。「この地上では、私にとって、すべてが終わってしまった」――ルソーの孤独は、社会から疎外されたロンリネスではなく、あくまで主体が世界を再構築するためのソリチュードでした。

底なしに見える断絶は、むしろ新たな認識への入口だったのでしょう――「逆境のなかで、私たちはやむなく、こうして自己へ回帰する」。顔を有する主体だからこそ増幅した嘘や誤解ゆえに「私は人間嫌いになった」と述懐しつつ、ルソーの足は自ずと〈自然〉へ向かいます。湖のせせらぎや木立ち、緑の茂み。
December 7, 2025 at 8:37 AM
『三頭の蝶の道』
山田詠美 河出書房新社 2025
日本文学界において特異な輝きと個性で君臨した3人の女性作家の葬儀の記というかたちの、一種のモデル小説。(本流を任ずる)男の作家たちに「女流文学」と呼ばれながらもその言葉を手玉に取って結束し、かといって馴れ合うことなく、わがままないっぱいに自分の芸術を模索していった偉大な作家たちへ捧げられたオマージュです。彼女たちを支えた人びとの心の声をすくいあげこだまさせる、三人称多視点の語り。この語りを統合している声は、「女流」の矜持を受け継ぐ作者みずからのものであるように感じました。
読書記録:
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December 7, 2025 at 9:11 AM
『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー 江川卓訳 I~IV 中公文庫

日本語版は、江川卓訳がいちばん好きなのですが、集英社の「世界文学全集・愛蔵版」でしか読めなくて、絶版で古書店でもなかなか見つからず、あっても高すぎて、図書館で借りて読んでいました。巨大な本で、重くて大変でした…
今、中公文庫から文庫として出版されてとてもうれしい! 何度も読みたいからやっぱり手元に置きたいのです。「カラマーゾフの兄弟」ってとんでもないエンタメ小説です。
December 4, 2025 at 9:45 AM
『シモーヌ』分断と孤立を越える。
シモーヌ編集部 サッフォー

わたしのなかのゴリゴリの保守おばさんと、その反転みたいなラディカル・フェミニスト女子が口を揃えて言うのです。「性労働は悪だ」と。
正反対の2人が、違う理由で同じことを言っている。
まるで、政治体制は違うのに、LGBTQを認めないことで意見が一致するあの国やこの国のようだ。
この雑誌を読み彼女たちと対話しています。人間は流動性を持つということを実感しながら。
読書記録:
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December 2, 2025 at 3:44 PM
三茶のTSUTAYA がなくなるそうです。近所からどんどん本屋が減っていきます😢数年前撤退した書店の人はこの沿線の店舗の家賃が高すぎると言ってました。代わりにT急系の店が来るのです。
December 1, 2025 at 11:58 PM
『ギリシャ語の時間』 ハン・ガン 斎藤真理子訳 晶文社 2017

意志や感情を伝える、声。そして言語・ことば・発話。これらは心を表すことができるのでしょうか。
『ギリシャ語の時間』はvoice(声)と沈黙の物語です。voiceには、能動態や受動態などの〈態〉という意味もあります。そして古典ギリシャ語には中動態という〈態〉がありました。
少しずつ視力を失っている〈男〉は古典ギリシャ語教師。仕事も家族も家庭も、そして声までも失った〈女〉は詩人。能動的にでもなく、受動的にでもなく、絶望の淵のすれすれのところに立ったまま、耐えるようにして過去の思い出と喪失感のなかで生きているふたり。(続く→)
November 29, 2025 at 6:44 AM
『Cursed Bunny(呪いのウサギ)』
Bora Chung translated by Anton Hur

ボラ・チャンの、〈マジカル・レアリズム、ホラー、SFの垣根を超えた短編集〉。アントン・ハー氏の翻訳です。糞尿汗血液経血汚物汚水がてんこ盛りなのでご飯食べながらは読めません。韓国SFが流行ってると友人が言うので、2年ぶりに読み返し、またきもち悪くなりました。呪いや正体不明のなにかにまみれて脂汗かきながら読んだあとはヘンな爽快感が。

読書記録です:
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November 23, 2025 at 8:20 AM
最近読んだ強烈な本たち!!
レベッカ・ソルニット。ミラン・クンデラ。岡野八代。

ソルニットの『Men Explain Things to Me』
人権や自由の概念に少しでも関心を寄せる人間なら、女でなくても憤死しそうなトピックが満載だ。家父長制社会、ミソジニー、マチズモ…。ソルニットの筆致がまた、怒りを煽ってくれていっそ気持ちよい(よくない)。
たとえば、「強姦妊娠は神の贈り物」というようなことをのたまった共和党の上院候補者。こんな狂人が政治家だとは恐れいる。(続く→)
November 20, 2025 at 10:21 AM
ブックカフェ「サッフォー」から、注文していた本が届きました。
『少年が来る』(ハン・ガン)にはすてきな特典が付いてきました。これ欲しかった!
『シモーヌ2025夏』、遅ればせながら、これから読みます。
つくばという微妙な遠さのせいか、まだ行ったことがないのです(出無精)。
勇気を出してイベントなどに参加してみたいと思います。
November 19, 2025 at 9:53 AM
『ランスへの帰郷』ディディエ・エリボン 塚原史訳 三島憲一解説 みすず書房 2020
社会学者ディディエ・エリボンは、フランス北東部で最底辺労働者階級の家庭に生まれた。学業優秀なために家族で唯一高等教育を受ける機会を得て、大学では哲学の勉強に励み、アグレガシオン(最難関の教員資格試験)を目指すも、結局試験には2度も失敗する。そもそも彼は、この試験を突破するための王道であるグランゼコールの存在さえ知らなかったのだ。なんという酷い経緯。(続く→)
November 16, 2025 at 10:23 AM
古本屋さんでイチキュッパで買えた🙌
November 16, 2025 at 4:43 AM
『五色の舟』(漫画:近藤ようこ/原作:津原奏水)KADOKAWA

マキューアンの『贖罪』やパワーズの『舞踏会へ向かう三人の農夫』でも描かれている「ありえたかもしれない世界」。それは小説のなかに語り込まれ、残酷な現実の反転さながら生命の祝福に溢れている。怒り、悲しみ、慚愧。激しい負の情動によって生成された「ありえたかもしれない世界」は、物語による鎮魂と救済だ。
広島の産業奨励館が戦後復興の象徴となるか、「原爆ドーム」として反戦の象徴となるか。見世物小屋一家が原爆の犠牲になるか、新しい身体を手に入れるか。異形の一家の運命は、科学技術の驚異の進歩に翻弄されるわたしたちのそれでもあります。
November 11, 2025 at 10:23 AM
食権力の現代史 ナチス「飢餓計画」とその水脈
藤原辰史 人文書院

〈食〉は、なんとなく私的な領域、自分でコントロール可能であると思わされている領域ではないだろうか。「工夫」「努力」「我慢」…〈食〉は自己責任であるとわたしたちは思わされている。さらに「働かざる者食うべからず」とくる。
〈食〉は「権力者」が一見合理的な説明のもとで、簡単に無名の民の生殺与奪を握るための装置となりうる。本書ではこれを「食権力」と呼ぶ。国家・穀物メジャー・西欧の植民地主義が複雑に絡み合って発揮される食権力は、効率的に、殺戮者自身の手は汚さず、罪悪感は与えずに利益を与えながら、弱い生き物から順番に確実に殺す(→続)
November 8, 2025 at 8:36 AM
🥂🎉㊗️
久しぶりの良いニュース🥳マムダニ市長
November 5, 2025 at 4:39 AM
旅行先では地元の本屋さんに行くのが楽しみです。

広島の紀伊國屋書店「郷土」コーナーで出会った本5冊。広大率高め。
(奥田民生本は友人へのお土産)

平和記念資料館で買った『ヒロシマ・ノート』大江健三郎
November 4, 2025 at 12:55 PM
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I was laid off from Teen Vogue today along with multiple other staffers, and today is my last day.

certainly more to come from me when the dust has settled more, but to my knowledge, after today, there will be no politics staffers at Teen Vogue.
November 3, 2025 at 7:52 PM
広島大学を訪ねました。ちょうど学祭中であの懐かしい活気とカオスに浸りました。「懐かしい」と思えたのは、サークル屋台や模造紙の手書き文字のせいだけではないでしょう。スマホと睨めっこしてる学生さんがほぼいなかったのです。受付でぼんやり待機している学生も道端に腰掛けている子たちも目の前の現実をみてた。みんなでぶつかりあって絡みあって楽しいね😆
November 2, 2025 at 11:15 PM
連休を利用して広島に来ています。初めて来ました。
原爆ドーム。平和記念資料館。嗚咽を堪えるのに精一杯。
80年が経ち、今後どのようにこの痛みと悔しさの記憶を継承していくか。当時も原爆の翌年にはすでに「あの凄愴が薄れていく」感覚があった。そう書いて、死んでいった若者がいたのだ。うんと勉強して留学したいと渇望しながら。
November 2, 2025 at 2:01 PM
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『荷を引く獣たち――動物の解放と障害者の解放』
スナウラ・テイラー、今津有梨 訳、洛北出版

在庫はまだありますが、ねんのため、重版(第3刷)の製作をはじめました。

「もし動物と障害者の抑圧がもつれあっているのなら、もし健常者を中心とする制度と人間を中心とする倫理がつながっているのなら、解放への道のりもまた、交差しているのではないか。

壊れやすく、依存的なわたしたち動物は、ぎこちなく、不完全に、互いに互いの世話をみる。本書はそのような未来への招待状である。アメリカン・ブック・アワード(2018年度)受賞作品!」
rakuhoku-pub.jp/products/boo...
October 30, 2025 at 1:51 PM
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日本列島にある社会の、ありのままの現実を認められない人の何と多いことか。複雑な過去を経た国旗に微妙な思いを持つ人がいるのは当たり前だし、先祖に犯罪者がいるのも事実だし、外国の人が沢山住んでいてそのおかげで発展してきたのも現実。日の丸の下で流された血を考えない日本なんて日本ではない。人間だって、記憶の一部を抹消されたら同一性を保つのが難しい。なぜ記憶の改ざんをしてまで偽りのアイデンティティに寄りかかろうとするのか?
October 27, 2025 at 1:05 PM
Reposted by Nat
今日はよそさまの学会にお邪魔して、『ジェイムズ』締めくくりのセリフ"Just James" が「ただのジェイムズ」であると同時に「正義のジェイムズ」を意味する創造的フルネームなのではないか、という新説/珍説をお披露目しました。
October 25, 2025 at 9:07 AM
『チ。』が読めない。

2巻までがんばった。内容は深くて面白いし、この話を好きだという確信はある。続きを早く知りたい。
でも怖いんです。処刑やリンチがいっぱいでてくるところが。
昔から、映画や漫画で、殺人や殺戮のシーンがでてくると、即退場してました。フィクションだと頭ではわかっているのですが、ほんとうに体調が悪くなってしまうのです。
「異端」の迫害が描かれなければこの物語は成立しないので、わたしは自分の恐怖心を克服しなければなりません。

薄目で読めば大丈夫でしょうか。恐る恐る試してみます。
October 23, 2025 at 9:16 AM