君塚
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kimitsuka.bsky.social
君塚
@kimitsuka.bsky.social
本の感想など。ミステリ・ホラー・SF中心に雑多。たまに映画の話、ゲームの話、飯の話。
雑文: https://sizu.me/kimitsuka
「火車」宮部みゆき #読了
すごい作品だった。第一に、サスペンスとして抜群に面白い。彼女の足取りを追うストーリーは驚きと悲しさに満ちていて、長編ながら一気に読ませられる。当時の社会とその背後にある精神性、そこに生きる人々が生き生きと描かれており、今読んでも真に迫った印象を受ける。作品全体に横たわる主題については時代を超えた普遍性があり、作家の視線の鋭さを如実に示している。16年後には世界金融危機があり、また情報・虚飾・孤独といった視点は極めて現代的でもある。自己責任論に反論する弁護士は、今の世界を見て落胆するだろうか。幸せになりたかっただけなのに。その言葉はとても重い。
『火車』 宮部みゆき | 新潮社
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者
www.shinchosha.co.jp
December 7, 2025 at 12:47 AM
刺すように寒い。ちゃんと冬だな。
December 3, 2025 at 10:25 PM
「残穢」小野不由美 #読了
マンションで起きる怪異現象を端緒として、過去に遡りながら怪談が連鎖する、重厚なドキュメンタリーホラー。ディティールの作り込みが凄まじい。関係する人物の家族構成・来歴から始まり、土地の成り立ち、戦争やバブルも挟む歴史的な経緯が仔細に書き込まれており、現実感のある怖さの描写に繋がっている。民俗学的な視点を中心に作家の幅広い知識と綿密な下調べを感じる。奇を衒ったギミックや目新しい小道具は出てこないけれど、「穢れ」を主題として語られる世界観は、当たり前に怪異が存在するかもしれないという恐ろしいものだった。
小野不由美『残穢(ざんえ)』特設サイト|新潮社
小野不由美原作、初の映画化! 山本周五郎賞受賞、戦慄のドキュメンタリー・ホラー長編。
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December 3, 2025 at 12:50 PM
「月光ゲーム」有栖川有栖 #読了
シンプルに面白かった。37年前の作品にしてはとかそんな留保が必要なしに、今でも余裕で魅力的な設定のパズラーとして成立している。火山の噴火に脅かされる陸の孤島、極限状態のフーダニット。読者への挑戦状がついているタイプのいかにもなパズラーでありながら、青春とサバイバルと少しのオカルティズムとが含有されたストーリーは印象的なものだった。なお自分の推理は清々しいまでに外れた。
月光ゲーム Yの悲劇’88 - 有栖川有栖|東京創元社
月光ゲーム Yの悲劇’88 夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々を、予想だにしない事態が待ち構えていた。山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。
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December 2, 2025 at 9:10 AM
学生時代に一時的に住んでいた下宿が墓地の隣だった。2階で窓を開けたら目の前に墓地。線香の匂いと静かな夜。
November 30, 2025 at 11:34 AM
「墓地を見おろす家」小池真理子 #読了
モダンホラーの先駆ともされる作品。今から見ると怪異自体の描写はわりと素朴だと思うものの、37年前に書かれたという古臭さは全く感じない。生と死の境界でストーリーを構築しつつ、視点となる家族の背景設定と内面描写が特徴的で興味深い。怪異に目を向けると気付かれてしまうという描写はありがちだけれど、目を背けていれば救われるのかみたいな。語られていない部分もあって、あまり話を広げすぎず、家族のストーリーとして閉じているのが印象的だった。
墓地を見おろす家
文庫「墓地を見おろす家」のあらすじ、最新情報をKADOKAWA公式サイトより。
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November 30, 2025 at 11:16 AM
「容疑者Xの献身」東野圭吾 #読了
ガリレオってドラマも見たことないんよね。わりとちゃんと社会性があるタイプの大学教員だった。人間味があって、コーヒーはインスタントで、煙草は吸わない。ドラマティックで綺麗に構成された倒叙ミステリ。あと、今更何を言ってるんだお前はって感じだけれど文章がめちゃくちゃうまい。端的な表現と計算された描写の選択でリズムが良く、作品の臨場感に繋がっている。
『容疑者Xの献身』東野圭吾 | 文春文庫
東野圭吾の最高傑作にして直木賞受賞作。福山雅治主演・映画化話題作。 単行本刊行時のミステリベスト1と各賞を総なめにした名作。運命の数式、命がけの純愛が生んだ犯罪。福山雅治主演のガリレオシリーズ『容疑者Xの献身』東野圭吾
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November 28, 2025 at 7:44 AM
ChatGPTくん、存在しない資料を向こうから挙げた挙げ句、その点を指摘すると「存在しませんがあなたの勘違いではないですか?」って他責してくる。喧嘩か?
November 25, 2025 at 10:52 AM
個人的にはアップデートごとにわりと使いにくくなってる気がしていて、こういうふうに使わせて本を読ませたいんだろうなぁという意図を感じるのがとても嫌。本ぐらい好きなように読ませてくれ。電子書籍のディスインセンティブになっちゃう。
November 25, 2025 at 3:30 AM
Kindle Paperwhite使ってるんだけれど、最近のアップデートでブックマーク一覧が見えなくなったとかそういう話。環境によるっぽい?自分の環境ではそもそもブックマーク自体できなくなってて、さすがにそれは何かの間違いだと思いたいけど。
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November 25, 2025 at 3:27 AM
「月は無慈悲な夜の女王」ロバート・A・ハインライン #読了
似たタイトルの作品を読んだのでこの機会に。思考計算機との対話と月の独立を主軸とする古典的名著。今読むとそれなりに読みにくい部分もあって、迂遠で直訳的な文章・訳文に相応に苦戦した。テーマも今から見ると当然目新しいところはないわけだけれど、細部を積み重ねるその描き方がなかなか凄まじい。月側の視点で描写される独立への闘争には彼らの策略と思索、大衆の蒙昧と混乱が胃もたれするほど詰まっている。ちょっと現実すぎる。結末は本当に印象的で心に残るものだった。何かを得るために何かを犠牲にする判断は常に難しい、それでもそれを決めなければならない時がある。
月は無慈悲な夜の女王
2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した! 流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取され続けてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術…
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November 23, 2025 at 2:27 PM
タルコフかタルコフみたいなゲームやってみたいのだけれど、タルコフかタルコフみたいなゲームがランキングに3つある。
November 21, 2025 at 5:51 AM
タイポの修正なんかにAIを使ってるんだけれど、そういうのに慣れると一般的に普及している日本語入力ソフトの変換がだいぶしょぼく思えてくる。もうちょっと現代のテクノロジーでなんとかならんのかな。時間の問題ではあるのだろうけれど。
November 19, 2025 at 7:49 PM
「レモネードに彗星」灰谷魚 #読了
ままならない彼女たちの短編集。ポップで、リズムが良くて、そしてなんだか泣きそうになった。
レモネードに彗星
文芸書「レモネードに彗星」のあらすじ、最新情報をKADOKAWA公式サイトより。円城塔賞受賞作を含む、少し不思議でハイパーポップな傑作短編集!
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November 18, 2025 at 1:20 PM
いやまぁ月間じゃなくてもちょこちょこ読んでいけばいいか。
November 17, 2025 at 11:48 AM
今まで逆張りしてなぜか読んでこなかった、有名作家・人気作家の作品を読んでいく月間やりたい。東野圭吾とか宮部みゆきとか。来年になるかもだけれど。
November 17, 2025 at 11:48 AM
求められるものをしっかり書くのがプロって話ではあるか。「ゲームの王国」のあとがきで、こういう小説はもう書けなくなったみたいな記述があった気がする。
November 17, 2025 at 3:54 AM
「火星の女王」小川哲 #読了
火星と地球の運命の周辺で描かれるSF人間ドラマ。こんなんも書かれるんだなあという印象を持った。なんか素直にまとまった話。NHKが関わっているからか。氏の長編に唐突に差し込まれがちなしょうもない下ネタがなかったのもNHKだからか。いや、下ネタはどうでもいいんだけれど、SFとしてなり群像劇としてなり小川哲作品としてなり、もう少し何か引っかかるものを期待してしまう。
火星の女王: 書籍- 早川書房オフィシャルサイト|ミステリ・SF・海外文学・ノンフィクションの世界へ
早川書房オフィシャルサイトの火星の女王ページです。当サイトでは、ミステリ、SF、海外文学、ノンフィクションの名作から最新刊まで、幅広いジャンルを網羅した書籍の情報を提供しています。早川書房の世界を、こちらの公式サイトからご堪能ください。
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November 17, 2025 at 2:49 AM
「羊殺しの巫女たち」杉井光 #読了
閉塞と因習と戦いのホラーミステリ。何らかの仕掛けがそこにあったとして、新規性と意外性があるかという点はもちろんあるのだけれど、その仕掛けが世界観とストーリーに嵌っているかという軸もあるんだなぁと強く感じる作品だった。序章がたまらない。
羊殺しの巫女たち
文芸書「羊殺しの巫女たち」のあらすじ、最新情報をKADOKAWA公式サイトより。『世界でいちばん透きとおった物語』著者による二度読み必至ホラーミステリ
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November 15, 2025 at 6:18 AM
こないだ映画館行った時に予告見かけたけど、君のクイズ映画化するのね。面白いんだろうかそれ…。
November 13, 2025 at 2:26 AM
QOLが上がった。
November 10, 2025 at 7:59 AM
映画「爆弾」
こんな話だったわ。嫌な話、重い話。変にアレンジせずに2時間半にまとまっていたと思う。そして描写に容赦がない。概ね良い映像化なんじゃないかなぁ。タゴサクはわりかしイメージ通りだったけど、それに加えて周りを固める役者がいちいち良かった。
November 8, 2025 at 12:21 PM
タゴサクを見に行ってくる。
November 8, 2025 at 5:05 AM
遊び呆けてた反動でちゃんと忙しい。許せねえよ。
November 6, 2025 at 10:13 AM
「白熱光」グレッグ・イーガン #読了
世界を統べる原理の書き込みに圧倒され、壮大な構想に震える。特に作品の半分を埋めているものはほとんどサイエンスそのもので、それは強烈な読書体験だった。科学的な営みに付随するものは輝かしい結果だけでなく、そこには刺激的な探求と膨大な労力の積み重ねとしての過程があるわけで、前者だけでなく後者をフィクションとして緻密に描くというアイデア、それをここまでの質で実現する仕事が簡単でないことはわかる。あまりにハードな理論パートの一方で、ストーリー全体としては決して難解ではなく、生きること、知ること、選ぶこと、普遍的なテーマを含む魅力的な物語として同時に成立している。
白熱光
はるかな未来、150万年のあいだ意思疎通を拒んでいた孤高世界から、融合世界に使者がやってきた。未知のDNA基盤の生命が存在する可能性があるという。その生命体を探しだそうと考えたラケシュは、友人とともに…
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November 5, 2025 at 6:57 AM