山bot周五郎
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山bot周五郎
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1日に4回ほど、山本周五郎(1903〜1967)作品のフレーズをお届けします。text
鋭意増量中。長文多いです。ご容赦願います。
ほぼほぼ青空文庫など、無料で読める作品ばかりです。TLの賑やかしに、おじゃまでなければ、フォローお願いします。💙📚
#日本文学
HP…https://yamabot.jimdofree.com/
……さむらいとは『おのれ』を棄てたものだ、この五躰のいかなる隅にも我意をとどめず、御しゅくんのため藩家のため国のために、いつなんどきでも身命をなげいだす者のことを云う、生死ともに自分というものはない、常住坐臥、その覚悟を事実の上に生かしてゆくのがさむらいの道だ……【壺】荒木又右衛門💙📚
February 16, 2026 at 11:15 AM
青みを帯びた皮の、まだ玉虫色に光っている、活きのいいみごとな秋鯵だった。皮をひき三枚におろして、塩で緊めて、そぎ身に作って、鉢に盛った上から針しょうがを散らして、酢をかけた。……見るまに肉がちりちりと縮んでゆくようだ、心ははずむように楽しい、つまには、青じそを刻もうか、それとも蓼酢を作ろうか、歌うような気持でそんなことを考えていると、店のほうから人のはなし声が聞えて来た。 【柳橋物語】💙📚
February 16, 2026 at 5:15 AM
きょうあの騒ぎのなかで、床の上に投げだされている梅の花枝を見たとき、自分はながいこと空虚だった心の一部がみずみずしい感情で満たされるのを覚えた。日々あの烈しい作業を続けながらそこに花を飾るのはあのかたたちの心に花の位置があるからだ。……どの仕事が正しく戦うものであるかについて、理論をもてあそぶ必要はもうない、ただ考えるだけでも身ぶるいのするあの恐怖もなく、久しく忘れていた花の位置をみつけただけで、自分の戦場がどこにあるかを知るのにじゅうぶんだ。【日本婦道記 花の位置】💙📚
February 15, 2026 at 5:15 PM
芸というものは、八方円満、平穏無事、なみかぜ立たずという環境で、育つものではない、あらゆる障害、圧迫、非難、嘲笑をあびせられて、それらを突き抜け、押しやぶり、たたかいながら育つものだ、【虚空遍歴】💙📚
February 15, 2026 at 11:15 AM
「豊四郎は運の悪い生れつきだったけれど、あなたという方にめぐりあえて仕合せでした」と夫人が云った。「これからはあなたが仕合せになる番ですよ」【法師川八景】💙📚
February 15, 2026 at 5:15 AM
「医術などといってもなさけないものだ、長い年月やっていればいるほど、医術がなさけないものだということを感ずるばかりだ、病気が起こると、或る個躰はそれを克服し、べつの個躰は負けて倒れる、医者はその症状と経過を認めることができるし、生命力の強い個躰には多少の助力をすることもできる、だが、それだけのことだ、医術にはそれ以上の能力はありゃあしない」【赤ひげ診療譚 駆込み訴え】 新出去定💙📚
February 14, 2026 at 11:15 PM
「他人の仕事は容赦なくけなしつける、たぶん本当に絵のよしあしはわかるんだろう、けれども彼がしんじつ絵師であるなら、他人の絵などに関心はもたず、自分の絵を描くことにだけ全身をうちこむ筈だ、人は人、自分は自分なんだ、彼は実際に絵を描くよりも、あたまの中で絵をもてあそんでいるだけじゃないか、そんなことなら誰にだってできることだよ」【虚空遍歴】中藤冲也💙📚
February 14, 2026 at 5:15 PM
「万全の手段などというものはない、そういう考えかたは老人のものであり、燃えあがるべき火を消す役にしか立たない、いいか、われわれの目的を要約して云えば、伝統を打ち壊すということだろう、それを常識に即してやろうというのは間違いだ、根本的な考え違いなんだ」【燕(つばくろ)】渡貫藤五💙📚
February 14, 2026 at 11:15 AM
法師川は雪解けの水でふくらみ、水際にはびっしりと、みずみずしく芹が伸びていた。朝の陽を浴びた河原は暖かく、猫柳はもう葉になっていた。つぢはあやされるような気分になり、少女のころを思いだしながら、吉松を河原に坐らせて、芹を摘み、蓬を摘んだ。【法師川八景】💙📚
February 13, 2026 at 11:15 PM
子供を産んだことのないお乳は豊かに張りきって大きいし、腹部は臨月の女のように大きく、たぷたぷにくびれて垂れるから、いつもお臍の下のところを晒木綿で縛ってある。お弟子たちはこれを「お師匠さんのおなかの腰揚げ」といっているが、これはおしずの口から出たものであった。【妹の縁談】💙📚
February 13, 2026 at 5:15 PM
けれども、あらゆる「よろこび」は短い。それはすぐに消え去ってしまう。それはつかのま、われわれを満足させるが、驚くほど早く消え去り、そして必ずあとに苦しみと、悔恨をのこす。人は「つかのまの」そして頼みがたいよろこびの代りに、絶えまのない努力や、苦しみや悲しみを背負い、それらに耐えながら、やがて、すべてが「空しい」ということに気がつくのだ。【樅ノ木は残った】💙📚
February 13, 2026 at 11:15 AM
「万全の手段などというものはない、そういう考えかたは老人のものであり、燃えあがるべき火を消す役にしか立たない、いいか、われわれの目的を要約して云えば、伝統を打ち壊すということだろう、それを常識に即してやろうというのは間違いだ、根本的な考え違いなんだ」【燕(つばくろ)】渡貫藤五💙📚
February 13, 2026 at 5:15 AM
「あたし待っていましたのよ、毎日、あなたが来て下さるかと思って、この花が咲きだしてから、毎日毎日、雨の日にも此処へ来て、待っていましたのよ、・・・・・・でもあなたは来て下さらない、花がさかりになり、さかりを過ぎ、もう残り少なになっても、それでもあなたは来て下さらない、もうだめ、・・・・・・あなたはもうひさ江のことなんかお忘れになったのだ、そう思いながら、やっぱり諦めきれずに、此処へ来て、待っていましたのよ、あなた」「もっとお云い、いくらでもお云い、でも私を勘弁しておくれ」【凌霄花】💙📚
February 12, 2026 at 11:15 PM
その声はやわらかにやさしく、蜜をたっぷり掛けたプディングのように甘ったるいひびきをもっているが、言葉と言葉のあいまに、ぴしり、ぴしりと凄いような音の伴奏が聞える。近所のかみさんたちの話では、お尻を裸にして、物差で打つのだという。蜜をたっぷり掛けたプディングのような甘やかな声と、骨まで凍るような折檻の音とは、そのまますさまじい和音となって、聞く者の耳を突き刺すのであった。【季節のない街】💙📚
February 12, 2026 at 5:15 PM
「――災難と思って諦めるか」彼は口の中で呟いた。「――弱い人間の合い言葉だ」と彼はまた眉をしかめた、「それだから弱い人間はいつも弱いままで置かれるんだ」 【正雪記】与四郎💙📚
February 12, 2026 at 11:15 AM
「万全の手段などというものはない、そういう考えかたは老人のものであり、燃えあがるべき火を消す役にしか立たない、いいか、われわれの目的を要約して云えば、伝統を打ち壊すということだろう、それを常識に即してやろうというのは間違いだ、根本的な考え違いなんだ」【燕(つばくろ)】渡貫藤五💙📚
February 12, 2026 at 5:15 AM
「よして下さい、そんな、ああ危ない、それだけはどうか、とにかく此処は、あっ」 手を振り、おじぎをし、懇願しながら、右に左に、跳んだり除けたり廻りこんだり、なんともめまぐるしく活躍し、みるみるうちに五人の手から刀を奪い取り、それを両手でひと纒めにして、頭の上へ高くあげながら、「どうか許して下さい、失礼はお詫わびします、このとおりですから、どうかひとまず」などと云い云い逃げまわった。【雨あがる】💙📚
February 11, 2026 at 11:15 PM
けれども、あらゆる「よろこび」は短い。それはすぐに消え去ってしまう。それはつかのま、われわれを満足させるが、驚くほど早く消え去り、そして必ずあとに苦しみと、悔恨をのこす。人は「つかのまの」そして頼みがたいよろこびの代りに、絶えまのない努力や、苦しみや悲しみを背負い、それらに耐えながら、やがて、すべてが「空しい」ということに気がつくのだ。【樅ノ木は残った】💙📚
February 11, 2026 at 5:15 PM
お美津は正吉の腕を執って引き寄せた、二人の体がぴったりと触れ合った。――土蔵の中は塵の落ちる音も聞こえそうに静かだった、梅雨明けの湿った空気は、物の古りてゆく甘酸い匂いに染みている。正吉は腕を伝わって感じるお美津の温みに、痺れるような胸のときめきを覚えながら、こくりと唾をのんだ。【お美津簪】💙📚
February 11, 2026 at 11:15 AM
よくつきつめてみると、人間ってものはみんな、自分のゆく道を捜して、一生迷いあるく迷子なんじゃないだろうか【へちまの木】💙📚
February 11, 2026 at 5:15 AM
保之助は酒を飲もうとした。しかしもう徳利は二つとも空であった。彼は唇を嚙んで頭を振った。額にどす黒い皺がより、こめかみに太く血管があらわれた。肉躰的な苦痛が、いまは一種の快感に変るようであった。化膿した歯齦を強く押すときの、むず痒い痛みに似た快感であった。【天地静大】💙📚
February 10, 2026 at 11:15 PM
「不安を感じたり怯えたりするのも、おれたちが人間であり、生きている証拠だからね」【天地静大】平石頼三郎💙📚
February 10, 2026 at 5:15 PM
垢の付かぬ着物が大事ではない、炭のつぎ方が大事ではない、拭き掃除も、所持品の整理も、その一つ一つは決して大事ではない、けれどもそれらを総合したところにその人間の『生き方』が顕われるのだ、とるに足らぬとみえる日常瑣末なことが、実はもっとも大切なのだ。【ゆだん大敵】久之助💙📚
February 10, 2026 at 11:15 AM
「あたし待っていましたのよ、毎日、あなたが来て下さるかと思って、この花が咲きだしてから、毎日毎日、雨の日にも此処へ来て、待っていましたのよ、・・・・・・でもあなたは来て下さらない、花がさかりになり、さかりを過ぎ、もう残り少なになっても、それでもあなたは来て下さらない、もうだめ、・・・・・・あなたはもうひさ江のことなんかお忘れになったのだ、そう思いながら、やっぱり諦めきれずに、此処へ来て、待っていましたのよ、あなた」「もっとお云い、いくらでもお云い、でも私を勘弁しておくれ」【凌霄花】💙📚
February 10, 2026 at 5:15 AM
その声はやわらかにやさしく、蜜をたっぷり掛けたプディングのように甘ったるいひびきをもっているが、言葉と言葉のあいまに、ぴしり、ぴしりと凄いような音の伴奏が聞える。近所のかみさんたちの話では、お尻を裸にして、物差で打つのだという。蜜をたっぷり掛けたプディングのような甘やかな声と、骨まで凍るような折檻の音とは、そのまますさまじい和音となって、聞く者の耳を突き刺すのであった。【季節のない街】💙📚
February 9, 2026 at 11:15 PM