見ている。
タクシーの運転席にはいくつもの激戦を乗り越えてきたようなおじさんと、それに比べてはまだ若いがかなり屈強な男が助手席にいる。
2人はキスしていた。キス？今？いやこれは…
私の後ろに入った亜種の女が、己の指を更に細く細く伸ばし、座席シートの隙間を縫って前2人の体内に刺して操っていた。2人の目が明後日を向いている
束の間、私の視界には晴天が映る。
？、私は2人を見ていたのでは？これは、真上？脇腹が熱い、胸が痛い。空があおい。きれい、

激戦。人間種のひとりが肝臓を差し出して一瞬の隙を作り、軍が用意した密閉扉の設置されたタクシーに飛び乗った。すんでのところで扉を締め切る。
締め切った！やった！顔を上げると後ろに乗っていた。おかしい、扉の前にいたのを確認して閉めたのに。
青紺色の切りっぱなしボブのようなおカッパのような髪で白いワンピースを着ていて、両手は真っ赤だった。「んふふ」と笑いながら私より前を