⛓️の作ってくれた料理は凄く美味しくて、目の前に座ってる⚡も寝起きで低血圧気味ながらもゆっくりﾓｸﾞﾓｸﾞ食べている
そんな⚡を隣に並ぶ⛓️が嬉しそうに見つめていて、時々髪を耳にかける仕草でチラリと覗く青と黄色の稲妻模様のピアスが🧸の朝御飯に添えるには刺激が強過ぎるのだった

⛓️のタンブラーの中身が終わってしまったので⚡の物を渡す
悪戯っぽく笑みを浮かべた⛓️が「間接キスだね」と零す
いつも間接以上の事をしているのに何を今更と笑い返す⚡に「だから、余計にだよ」と中身を一気に飲み干した⛓️は答えた
二人の間で🧸は蹲って砂糖を吐きそうな甘酸っぱさに悶えていた

「私の母は早くに亡くなった、だから私も貴方の求める母性とやらは分からない」
そう静かに語る彼女の視線は雲ひとつ無い夜空に浮かぶ月に向けられていた。
「家族の居ない私は必死に生きた、でも私は番に選ばれなかった。誰よりも強くなったと自負していたのに私よりも強い雌は沢山居たとその時気付かされたの」
夜空を見上げていた彼女がゆっくりとこちらへ視線を向けた。その表情は月明かりによって翳っていた。
「私が欲しいの？良いよ、もう好きにして」
自分に縋る彼女につけ込んでしまえば砂原の頂点を瓦解させる事など容易だろう。
「…駄目だよ」
故に、その無意識に零れた言葉が自分の物と気付くまでに時間を要してしまった。