猫田に小判
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猫田に小判
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2005年開業の陶磁器修理店「ほん陶」店主のアカウント。
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個人ブログ : http://nekotani.lix.jp
講習では「何故そうなるのか」という部分を出来るだけ説明することにしている。直ぐに忘れてしまったとしても、その作業の裏にはどういった原理が働いているのか、という事に気付いた瞬間の「なるほど」という心の動きは、金継ぎが単なる見た目や技術だけではないことを知る醍醐味ではないかと個人的には考えている。というわけで、金継ぎで使う漆の主成分は何で出来ているのかを説明するためのモデル図を作ってみた。炭素、酸素、水素という、たった3種の原子の構造から金継ぎは生まれてくるという事実を通して、更に漆や金継ぎの面白さを知るきっかけにして頂ければと思う次第である。図はフリー素材として自由に使って頂けます。
July 21, 2025 at 10:41 AM
御礼。初動24時間で閲覧数が53ビューだったと報告しましたが、今、確認したところお陰様で200ビューを超えていました。ひとえに皆様のご尽力の賜物と感謝をする次第でございます。ありがとうございました。
July 17, 2025 at 1:44 AM
岡山県立博物館で抹茶碗の特別展をやっていて、行くのは無理なので図録を注文した。時代の変遷に合わせ抹茶碗がどのように変化したかを示しながら、オールカラーの茶碗写真を三面図構成で全て掲載してあり寸法と重量も併記されている。コラムもあって、特に面白かったのは16世紀に渡来したヨーロッパ人の「鳥の水飲みにしか使えないような器を10億円位で売り買いする日本人の価値観は理解出来ない。高い器と安い器の違いは見てもさっぱり分からん」という記録。正直な感想だと思う。金継ぎが伝統だ侘び寂びだ、とか言っている今の日本人の多くも、本当は渡来したヨーロッパ人と似たようなものじゃないかなぁと個人的には思ったりする。
March 26, 2025 at 11:12 AM
縄文ブームが盛んだった時は縄文式土器を作って煮炊きをするワークショップが流行った。縄文式土器でも煮炊きが出来ることを検証するためだが、では、どれくらいの耐久性があったのかについては意外と検証されていない。縄文式土器は野焼きなので焼成温度はせいぜい700℃前後だと思うが、その温度の素焼きの器は数十回加熱を繰り返すと殆どは耐えられなくなり亀裂や部分破裂する。毎日煮炊きをする事は無かったと思うが多分1年位が使用限界ではないかと思う。縄文式土器は穴の開いたものが多いから儀式的に壊す文化があったと言われたりするが、個人的には経年使用による限界で割れたり破裂したと考える方が自然だと思っている。
January 2, 2025 at 10:36 AM
金継ぎをする場合ネットや動画を見るだけでなく、金継ぎハウツー本を読むことは技術的に有効だが、その前段階として、漆とは何か、直すとは何か、持続するとはどういう事かについて考えるのは極めて有意義だと思う。金継ぎは日本の伝統だというキャッチコピーはよく見るが、現状、その真意や深味を伝えている場は残念ながら希少だ。そうしたことを学び、熟考するための良書として「漆と伝統 千年を超える文化 室瀬和美著 2000円(税別)」を是非ともお勧めしたい。蒔絵の人間国宝が綴った219ページには蒔絵のような金言が散りばめられ、漆や直しへの探求、そして伝え続ける事の情熱に触れる絶好の機会になるのではないかと思う。
November 16, 2024 at 2:22 AM
noteで麦漆の接着サンプルに使った深皿を金蒔きまで終わらせる。口辺処理は雑だが自分で使う分には十分だろう。まだ接着から10日位なので2ヶ月の養生は必要になる。
本漆の金継ぎは物凄く時間が掛かると勘違いしている人は多いが、修理そのものは1ヶ月、大きな欠けの直しでも2ヶ月あれば終わる。店に依頼するとそれ以上に待たされるのは修理の前後が長いから。この時に大切なのは修理後の期間。もし依頼する時は、預かり期間のうち養生期間はどれくらいを想定しているか聞いたほうが良い。それによって、返却後、直ぐに使えるか、暫く使わない方が良いかの判断をすることが出来る。修理後すぐに返却の場合は自宅養生が必須になる。
June 25, 2024 at 1:51 AM
スライドガラスに生漆を塗って、隙間を2mm作り、周りをマスキングテープとセロテープで目止めしてから温度30℃湿度40%に置く。マスキングテープは水蒸気を通さないため生漆から蒸発した水分は逃げず高湿度環境になるが、セロテープは水蒸気を通すため水分は残らず低湿度環境になる。その結果マスキングテープの生漆は自分が出した水分を再使用しウルシオールキノンを生成して飴色になるが、セロテープの生漆はウルシオールキノンが生成されず(あるいは急速に消費され)透明になった。セロテープの生漆が低湿度で乾かないのは予想していたが、透明になるのは予想外だった。ウルシオール本来の色は透明というのが分かる実験だった。
March 12, 2024 at 11:47 AM
スライドガラスに付く滴は生漆で発生し、素黒目漆では見付けられず。生漆と素黒目漆の違いは水分量なので水滴のように思えるが何故か自然蒸発せずに残る。だとしたら何かを含有した水分が揮発するのか?と仮説を立てる。そこで生漆を密閉し30℃で90分保温し、水滴量が最大になったところで開封しpH試験紙を付けてみたところ酸性反応がでた。漆に含まれる酸性物はウルシオールなので(ウルシオールは非水溶性だが)どうやら漆の水分が蒸発する際、同時に、あるいは水に付属して空気中に放出され、スライドガラスに付着し滴として残ると考えられる。恐らくウルシオールは単体ではなく漆の水分と関係して揮発するようだ。
March 1, 2024 at 1:22 PM
正直なところウルシオールは揮発しないに9割ベットだったのだが、それでも1割は「えぇ~揮発したじゃん」と驚いてみたいというのもあり、スライドガラス2枚で生漆を密閉し約30℃で24時間置き、子供の頃に買った顕微鏡を引っ張り出して観察したら、上側のスライドガラスの内側にポツポツと液体が付いているのを確認。肉眼では全く見えないが倍率80倍だと見える。針で突くと水より粘性が有りそうだが硬くは無いので可能性としては酵素の無いウルシオール単体ではないかという気がしている。不思議なのは何故ポツポツとドットになっているのかという事。揮発したものが滴になる理由が分からないので、もう一度同じ試験をすることにした。
February 25, 2024 at 11:34 AM
お客様からの金継ぎ依頼品については個人情報保護のため一切ネットやメディアには出さないし、修理品には1年間無料修理保証を付けているため写真を撮って保存はするが修理サンプルのファイルとして使ったりはしないので、うちの金継ぎがどんな感じの直しなのか見せる機会がなかなか無いわけだが、久しぶりに自宅の器の直しをする機会があったので、自宅の物なら出してもいいかな、と思い公開することに。乾酪漆で接着し、欠けは錆漆で充填。純金泥で金蒔き。やっぱり拡大鏡を買ってよかったなぁ。
February 16, 2024 at 10:38 AM