エアリー雲隠れちゃん
nashinogi.bsky.social
エアリー雲隠れちゃん
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伊雑
伊雑
彼はいつも笑っているので、表情の薄いときのその横顔が存外ひややかに見えるというのをすっかり忘れてしまう。
私が悋気交じりの皮肉を言ったら、寂しそうに遠くを見て黙ってしまった。私を見て睨むならば、まだ良い。嗚呼なんで私はあんなこと言ったんだろう。情けない声で呼んでもこっちを見やしない。
ただ遠くの薬草の群生を見付けて観察していただけと知ったが、私は大人だが素直に嫉妬も寂しさも言葉にして伝えようと思った。いつ本当に相手にされなくなるかわからないからだ。
しばらく後にこれを伝えたら怒られた。
「ぼくが貴方と離れることはない」
本当にはならないだろうけれど嬉しかった。
December 21, 2025 at 1:59 PM
伊雑

日のあたる縁側で「ぼくは学生でお金もないのに、その上忍務で時間もない」とぼやいたら、その時の貴方は微笑むだけだった。
夜、床でぼくがあげられるものは少なくて悔しいと言ったら、彼は静かに、私だって何も持っていないと言った。大人がぼくみたいに泣くのを見たのは初めてだった。少し驚いたけど嬉しかった。ずっと年上の貴方だって同じなんだ。ぼくには貴方にあげられるものが少なすぎる。
彼は言った。
「お前にあげられるものは今日この夜の私の全部だけ」
いつも曝け出すように乱れる彼の本心をこの夜始めて僕は知った。ぼくにできることを彼のためにしたい。何も諦めなくていい。泣かなくていいと思ってもらえるように。
December 20, 2025 at 12:19 PM
伊雑「化物」
私の恋人は合戦場で人から吹き出た血に塗れている。ここではそんなことは珍しくもない。殺すか生きるかの二者択一。
この地獄のような場所で血に塗れる清らかな意志。あの少年は血塗れだが人を殺して汚れているのではない。
人を救って血塗れなのだ。
命を救うために穢れを負っている。
べっとりと赤黒く濡れて湿って、乾いたところはバリバリと音を立てて剥がれて落ちて。汚れて、暗闇のなかで、痛みにうめく、その人のなかにある生命への執着をお前はいつだって探している。
夜の闇が払われる。太陽を背に負って逆光のお前は目を見開いている。
人はお前を化物と呼ぶ。
私もそう思う。お前は清らかな化け物だ。
December 19, 2025 at 12:09 PM
伊雑
December 19, 2025 at 3:27 AM
伊雑
December 18, 2025 at 11:13 PM
[R-18] 生き恥晒して御免 | 雲隠れ www.pixiv.net/novel/show.p...
伊雑です
March 28, 2025 at 6:26 AM
たくさん歩いた
December 28, 2024 at 1:38 PM
December 28, 2024 at 7:35 AM