「併し先年ポーランドがドイツ軍に敗れた直後、ワルシャワのフィルハーモニーで僕は、一生忘れ難い経験をした。この敗戦で破壊され尽した死の都に鳴り響いた『未完成』は、単なる感傷や悲愁ではなかつた。或楽句は瀕死の呻きの様に聴きとれた。それから全曲は羞恥、絶叫、あきらめ、愛と祈りと成仏…それ等の交錯であつた。多くの楽員は目を泣きはらしたり、興奮の余り顔を蒼白になつて居るのを見た。そして音楽からこんな感銘を受け容れられる民族を、僕は心から羨しく思はずに居られなかつた。」(近衛秀麿「未完成交響曲」より)
生誕127周年/偉大な音楽家へ敬意をこめて
「併し先年ポーランドがドイツ軍に敗れた直後、ワルシャワのフィルハーモニーで僕は、一生忘れ難い経験をした。この敗戦で破壊され尽した死の都に鳴り響いた『未完成』は、単なる感傷や悲愁ではなかつた。或楽句は瀕死の呻きの様に聴きとれた。それから全曲は羞恥、絶叫、あきらめ、愛と祈りと成仏…それ等の交錯であつた。多くの楽員は目を泣きはらしたり、興奮の余り顔を蒼白になつて居るのを見た。そして音楽からこんな感銘を受け容れられる民族を、僕は心から羨しく思はずに居られなかつた。」(近衛秀麿「未完成交響曲」より)
生誕127周年/偉大な音楽家へ敬意をこめて