「実はこれは私のお手製でな、まだ試作品だから是非君の感想が聞きたいと思ったのだ」
意識して眦をさげ、小さく口角を上げる。滅多にないおねだりを聞いた、と張り切る声が了承を告げてくる
「はは、君の口に合うとよいのだが」
再度頭を撫で、続ける
「噂話ではあるが、鼠やら害虫だとかの話が出回っている。だから貴殿も気を付けるとよい」
存在してはいけない誰かを挑発する。びくりと震える気配はするが、それだけだ
「さて、貴殿の様子も見れたし、一度引かせてもらおうか。……博、良い子にしてるのだぞ」
笑って背を向ける
あぁ、近付いてこれば害虫として切り捨てた物を
冷え切った心の中で残念に思いながら刀を下げた
「実はこれは私のお手製でな、まだ試作品だから是非君の感想が聞きたいと思ったのだ」
意識して眦をさげ、小さく口角を上げる。滅多にないおねだりを聞いた、と張り切る声が了承を告げてくる
「はは、君の口に合うとよいのだが」
再度頭を撫で、続ける
「噂話ではあるが、鼠やら害虫だとかの話が出回っている。だから貴殿も気を付けるとよい」
存在してはいけない誰かを挑発する。びくりと震える気配はするが、それだけだ
「さて、貴殿の様子も見れたし、一度引かせてもらおうか。……博、良い子にしてるのだぞ」
笑って背を向ける
あぁ、近付いてこれば害虫として切り捨てた物を
冷え切った心の中で残念に思いながら刀を下げた
「やぁ、博」
「赫さん、珍しいね。どうかしたのかい?」
がたりと立ち上がり、ぱたぱたと音を立てて駆け寄ってくる。私の顔が見れて嬉しい、そう全身でもって語る姿は普段の装いとは違い、ひどく幼く見える
取り繕わないその仕草を見るのが好きで、それ故に時折こうして顔を見に来たくなる
「はは、何、子供たちから聞き捨てならない話を聞いてな。それで念の為に顔を見に来たのさ」
手を伸ばし、フード越しに頭を撫でる。いずれはこのように分厚い布越しでなくとも、とは思うが今は寧ろ被ったままで安心する
「いい子にしていたようで安心だ。どれ、飴ちゃんをあげよう」
ポケットから甘い砂糖菓子を一粒彼の手の平に落とす
「やぁ、博」
「赫さん、珍しいね。どうかしたのかい?」
がたりと立ち上がり、ぱたぱたと音を立てて駆け寄ってくる。私の顔が見れて嬉しい、そう全身でもって語る姿は普段の装いとは違い、ひどく幼く見える
取り繕わないその仕草を見るのが好きで、それ故に時折こうして顔を見に来たくなる
「はは、何、子供たちから聞き捨てならない話を聞いてな。それで念の為に顔を見に来たのさ」
手を伸ばし、フード越しに頭を撫でる。いずれはこのように分厚い布越しでなくとも、とは思うが今は寧ろ被ったままで安心する
「いい子にしていたようで安心だ。どれ、飴ちゃんをあげよう」
ポケットから甘い砂糖菓子を一粒彼の手の平に落とす
「おやまぁ、これは随分と珍しい人がいたもんですねぇ」
子供達から話は聞いて一度顔を出そうとは思ってはいたけれど、まさか食堂で見かける事になるとは思いもしなかった
ぴりぴりとひりつく空気の中を泳ぐように進む。破裂しそうな敵愾心の中心点とその隣の御仁の目の前で足を止める
「あなたがきちんと食事をとるたぁ、何かの前触れですかね」
声を掛けながら横目に女性の姿を見る。種族はぺっろー、容姿は普通、仕草は……怯えだろうか。おどおどとしているのは傍からみると博に依存し、甘えているようで見るに堪えない
「あぁ、もしやデートですかぃ?」
あり得ない可能性をあえて口に出す。とたん、空気に重圧が加わった
「おやまぁ、これは随分と珍しい人がいたもんですねぇ」
子供達から話は聞いて一度顔を出そうとは思ってはいたけれど、まさか食堂で見かける事になるとは思いもしなかった
ぴりぴりとひりつく空気の中を泳ぐように進む。破裂しそうな敵愾心の中心点とその隣の御仁の目の前で足を止める
「あなたがきちんと食事をとるたぁ、何かの前触れですかね」
声を掛けながら横目に女性の姿を見る。種族はぺっろー、容姿は普通、仕草は……怯えだろうか。おどおどとしているのは傍からみると博に依存し、甘えているようで見るに堪えない
「あぁ、もしやデートですかぃ?」
あり得ない可能性をあえて口に出す。とたん、空気に重圧が加わった