kasukayuuu.bsky.social
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25↑腐 / OP □ゾ ゾ右 / https://www.pixiv.net/users/116704922
だいぶトリッキーに花吐き病ロゾを書いてしまったなぁ…とちょっと反省してます(でも楽しかった!)

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幽のWavebox👋
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December 10, 2025 at 8:52 AM
と礼だけを述べてさっさとそちらへ向かってしまった。夏島も近い暖かな海域の青い空によく映える、新緑のような短く柔らかな髪をふよふよと風に揺らして。
リィン………。響き渡ったのは金属が擦れるような、澄んだ音。新緑のすぐ下で揺れる3つの金色が、陽の光を浴びてチカチカと眩しく輝いた。

🔚
December 10, 2025 at 5:39 AM
両手を広げてそう話を締め括った男に、観光客の男は「ふーん」と興味なさげに目を細めた。「おっと。あんまりこういう話に興味はなかったかい」「ねェな。それより、ここに腕の良い医者がいると聞いたんだが」「バッサリ言うねェ」「そいつはどこだ?」「ああ、いるね、いるよ、そりゃあもう優秀なお医者先生。卜ラファノレガー先生のことだろう?」「そう、そいつだ」「兄ちゃん先生に用があったのかい?この白百合畑を見に来たんじゃなかったのか」「そいつの家がこの白百合畑の近くだって聞いたもんで」「ああ、なるほどそれで」先生の家ならほら、すぐそこに見えるあの白い家がそうだよ。そう教えられて、観光客の男は「そうか、ありがとう」
December 10, 2025 at 5:39 AM
剣士は己の腰に下げていた一振りの刀を抜いて、医者の首元に当てた。「死んだ男を一生思い続けるなんざ、バカだろてめェ」「……叶わないと分かっていた恋を一生秘めていたお前にだけは言われたくない」「そりゃそうだ。だがおれは」おれは、と。剣士は笑って、刀を振るった。刀身は医者の首をすり抜けて、けれど医者はその場でパタリと倒れて、眠って、2度と起きることはなかった。
それから数日。1輪だけ寂しく咲いていた白銀の百合の隣には寄り添うように、もう1輪百合の花が咲き誇った。次第にその周りにもその2輪を、いいや、2人を、見守るように百合たちが咲き始めた。

「そうして出来たのが、この白百合畑ってわけよ!!」
December 10, 2025 at 5:39 AM
医者は白銀の百合の花を前に、己が吐き出した真っ赤な百合の花をぐしゃりと手で潰した。ここに来るまではあんなにも吐き気を催していたってのに、それもすっかりなくなった。しにくかった呼吸も安定して、腹から沸き起こる甘ったるい花の香りももうしない。絶望した医者の目からもう涙さえ溢れなくなった時だった。どこからか金属のようなものが擦れる音が聞こえた。医者にとってはどこか懐かしくさえ思える聴き馴染みのある音だった。つい、医者は剣士の名を呼んだ。ぽつり、呼びかけるように。ハッ……と顔を上げるとそこには。

「随分と情けねェ面してやがるな」
「──っ!!」

それは医者の見た幻だ。けれど確かに剣士はそこにいた。
December 10, 2025 at 5:39 AM
どうして。どうして…!医者にとって、白は、絶望の色だった。だから見事に咲いた百合の花を摘もうとして、でも出来なかったんだ。だってその花は、剣士を思い続けた医者の想いが、何処か、何処か遠くにいる剣士に届いた証なのだから。
December 10, 2025 at 12:26 AM
のさ。生きてさえいてくれたらそれで良かったのに。お前がそれを望まないのなら、と。医者を剣士と共に眠ることをひっそりと決意した。剣士が苦しげに花を吐き出している頃、医者もまた隠れて花を吐き出していた。剣士が眠ってからも、医者は花を吐き続けた。黄色に薄青に桃色、はたまた緑色の花が赤く染まり始めた頃、医者はそれはもう喜んださ。「おれも、もうすぐ…!もうすぐそちらへ…!」

だと言うのに。だと、言うってのに。医者の目の前に咲くのは白銀の百合。血に転がる真っ赤な花もまた百合の花。「ふざけるなっ!!」医者は泣きながら叫んだ。「いつも……いつもいつもいつも!てめェは勝手なことばっかり!!」ああ、ああ、なんで
December 10, 2025 at 12:26 AM
医者にとって、白は、真っ白というのは、絶望の色だった。医者はその大輪の百合の花を見て膝から崩れ落ちた。その拍子に自分が吐き出した花もまた、百合の形をしていた。堂々と咲き誇る白銀のそれとは違って、血に塗れた真っ赤な百合。けれど確かに、同じ百合の、花。この奇病が治る時、つまりは恋が成就した時、最後に吐き出すのが百合の花、なんだそうだよ。

「お前までおれを、おいて、いくのか……!?」

医者もまた、恋をしていた。片想いをの相手は剣士だった。医者がその奇病にかかったのは、剣士が眠る2年前。医者は剣士にただ生きていてほしかったんだが、剣士が奇病は治す気はなかったもんで、剣士の吐き出した花に医者も触れた
December 10, 2025 at 12:26 AM
この島に来てからも、剣士の容体は良くならなかった。ごぼり、ごぼり。血に染まった真っ赤な吐き出して、苦しそうに咳を繰り返して。島に降りて半年が過ぎた頃。とうとう剣士は眠った。「眠い。ちょっと昼寝する」それが最期の言葉だった。医者は寝息も立てずに眠る、どんどん冷えていく剣士の身体を抱えて、静かに涙を流した。「おれもすぐに、そちらへ逝く」

剣士が眠ってから3年。ごぼり、ごぼり。血に染まった花を吐き出しながら、医者は島で海が1番よく見える場所にやって来た。お察しの通り、それがこの白百合畑だ。当時は何もないただの荒れた草地だったろうがね。そこで医者が見たのは、綺麗な大輪を咲かせた、白銀の百合の花。
December 10, 2025 at 12:26 AM
血で染まった、元は別の色の花。それを見た医者は我慢ならなくなってね、自船を降りて、無理にでも剣士を攫って、そうして2人が降り立ったのが、この島だ。
December 9, 2025 at 11:42 PM
脱がしやがるんだ、剣士は。医者の心配を他所に。
剣士が花を吐く奇病にかかって、1年が経ち、2年、3年、4年が経ち。そして5年。剣士の奇病は治る気配を見せなかった。未だに片想いし続けているらしい。どころか次第に衰弱していった。剣士の自船の仲間たちもそりゃあもう心配していたがね、それでも剣士はその奇病を治す気にはならなかったらしい。仲間の1人が言った。「てめェが弱ってると張り合いがなくてつまんねェな」剣士は笑って返した。「ならさっさとこの船降りて結婚しちまえ。一体いつまで待たせるつもりだ?」

さて。剣士が奇病にかかって6年が経とうという頃。吐き出す花は殆どが真っ赤に染まっていた。赤い花じゃない。
December 9, 2025 at 11:42 PM
完治の方法は曖昧でね。ただ1つ見つかったのが、恋を実らせること、だった。医者は剣士に言ったのさ。「どうかお前のその病を治すためにも、想い人にその気持ちを告げる気はないか」と。だが剣士は頑なに首を横に振った。「おれはこの気持ちをあいつに告げるつもりはねェ。あいつだっておれのこんな気持ちなんざ知りたくもねェだろうさ」剣士の言葉を聞いてそりゃあもう医者は焦ったさ。だって医者は知っちまったのさ。その花を吐く奇病は、完治しない限りは数年で死に至る、ってのをね。その事実を剣士に言っても、それでも剣士は首を横に振った。「人はいつか死ぬ。おれァこの人生に満足している」だからすぐにでも死んだって構わねェ、なんざ
December 9, 2025 at 11:42 PM
吐き出した花に触れると感染するってんだ。でも皆んなが皆んな、その病にかかる訳じゃあねェのよ。その病になるのは、誰かに恋をしている人、もっと詳しく言うなら、長年片想いを拗らせてる人がかかる病でね。剣士の方がね、その病にかかっちまったのさ。何でも、とある島に降りた際にたまたま誰かが吐き出した花にうっかり触れちまったみたいでね。その剣士は恋だの愛だのなんてもんには一切興味がありません!って顔付きで、心の奥底には誰かに片想いをしていたらしい。相手が誰かは分からねェ。少なくとも、医者の男ではなかったそうだよ。医者は剣士がその病にかかったってんでそりゃあもう驚いてな、治療方法を調べた。だが調べても調べても
December 9, 2025 at 11:42 PM
さあさあ兄ちゃん、お立ち合い!!これから話すのは2人の男の愛の物語さァ!!

時は大海賊時代、が終わりを告げて十数年が経った頃。この島に2人の男が降り立った。1人は医者の男、もう1人は剣士の男だった。2人はそれぞれ別の船に乗ってた船乗りでねェ、各地を旅しながら怪我人や病人を治したり、或いは自分に挑んでくる若い剣士たちを返り討ちにしたりしながらのんびりした余生を送っていたそうだ。2人は乗ってる船こそ別々だったが、兄弟のように仲が良くてね。たまに両船落ち合っては、生傷絶えない剣士の面倒を、医者はよく見ていたそうだよ。
その頃、この海域ではとある奇病が流行っていた。花を吐く病だ。しかも、誰かが
December 9, 2025 at 11:42 PM
ほれほれ、見えてきたぞ。あれが噂の白百合畑。な、見事なもんだろう?ん?………ああ、いやいや、別に誰かが植えたわけでも管理してるわけでもねェのよ。全部自生してる百合の花だ。そう、これぜーんぶ。たまに草刈りなんかはしてるがね、それ程手は付けてねェさ。………どうしてかって?兄ちゃん、1つ面白い話をしてやろうか。実はこの見事な白百合畑、とある2人の男の墓だったんだよ。ほれ、見えるかい?あのちょっと丘になってるとこ。あそこに一際でかい百合が2輪、咲いてるだろう?………そうそうあれあれ。そう、まるで恋人のように、夫婦のように、寄り添う2輪の百合の花。あの下になァ、眠ってるって話があるのよ、その男たちがね。
December 9, 2025 at 11:42 PM
突っ伏してしまったわたしに、ゾ□屋はやっぱりケラケラと楽しそうに笑って、それから。「意外と慎重だなァ」と、わたしの頭をポンポン撫でて呟いた。

(これもう確実に誘われてたやつじゃん!!?)

(□ーなら「わたしが教えてやろうか?」なんて言って押し倒してくれると思ったのになァ)

🔚
December 3, 2025 at 1:16 PM
押し倒してやりたいところだけど、もしそれでゾ□屋に嫌われでもしたらショックで寝込んでしまう自身がある。だってわたしにとってゾ□屋はもう手放せない、手放したくない存在なんだもの。いやでもこれは、うーん、本当にどうしたものか。目の前には未だにまにまと笑む小悪魔ちゃん。何気にゾ□屋のそんなイタズラっ子な顔を真正面で見るのは初めてだな。わたしより年下で幼い顔付きなのに妙に色気があって非常に魅力的だ。これやっぱり誘ってるよな?誘ってる顔だよな?そうじゃないなら何なのこの子!?「だめだゾ□屋が何考えてるかわからない…」プシューッ。これが漫画だったらキャパオーバーで頭から煙吹き出してただろうな。思わず机に
December 3, 2025 at 1:16 PM
わたしのこと、誘っ……て、たり、する?」「さあ?」さあ?って。さあ?って!!!正直に言うとゾ□屋はわたしの好みドストライクというか顔が好きというかさらにぶっちゃけると1回くらいは抱いてみたいと常々思っていたというか。でもゾ□屋とはそういうのとは抜きで仲良くなって良き友人としてこうして2人で宅飲みなんてする仲になったものだから、迂闊に手は出せないなと思っていた、のだけれども。そっちが誘ってると言うのならこちらもその気になってしまいますが!?でもでもゾ□屋の真意が掴めない以上やっぱり下手に手は出せない。どうしたもんかなあ。そんなに知りたいならわたしが手取り足取りナニ取り教えてやるよ、なんて囁いて
December 3, 2025 at 1:16 PM