リィン………。響き渡ったのは金属が擦れるような、澄んだ音。新緑のすぐ下で揺れる3つの金色が、陽の光を浴びてチカチカと眩しく輝いた。
🔚
リィン………。響き渡ったのは金属が擦れるような、澄んだ音。新緑のすぐ下で揺れる3つの金色が、陽の光を浴びてチカチカと眩しく輝いた。
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それから数日。1輪だけ寂しく咲いていた白銀の百合の隣には寄り添うように、もう1輪百合の花が咲き誇った。次第にその周りにもその2輪を、いいや、2人を、見守るように百合たちが咲き始めた。
「そうして出来たのが、この白百合畑ってわけよ!!」
それから数日。1輪だけ寂しく咲いていた白銀の百合の隣には寄り添うように、もう1輪百合の花が咲き誇った。次第にその周りにもその2輪を、いいや、2人を、見守るように百合たちが咲き始めた。
「そうして出来たのが、この白百合畑ってわけよ!!」
「随分と情けねェ面してやがるな」
「──っ!!」
それは医者の見た幻だ。けれど確かに剣士はそこにいた。
「随分と情けねェ面してやがるな」
「──っ!!」
それは医者の見た幻だ。けれど確かに剣士はそこにいた。
だと言うのに。だと、言うってのに。医者の目の前に咲くのは白銀の百合。血に転がる真っ赤な花もまた百合の花。「ふざけるなっ!!」医者は泣きながら叫んだ。「いつも……いつもいつもいつも!てめェは勝手なことばっかり!!」ああ、ああ、なんで
だと言うのに。だと、言うってのに。医者の目の前に咲くのは白銀の百合。血に転がる真っ赤な花もまた百合の花。「ふざけるなっ!!」医者は泣きながら叫んだ。「いつも……いつもいつもいつも!てめェは勝手なことばっかり!!」ああ、ああ、なんで
「お前までおれを、おいて、いくのか……!?」
医者もまた、恋をしていた。片想いをの相手は剣士だった。医者がその奇病にかかったのは、剣士が眠る2年前。医者は剣士にただ生きていてほしかったんだが、剣士が奇病は治す気はなかったもんで、剣士の吐き出した花に医者も触れた
「お前までおれを、おいて、いくのか……!?」
医者もまた、恋をしていた。片想いをの相手は剣士だった。医者がその奇病にかかったのは、剣士が眠る2年前。医者は剣士にただ生きていてほしかったんだが、剣士が奇病は治す気はなかったもんで、剣士の吐き出した花に医者も触れた
剣士が眠ってから3年。ごぼり、ごぼり。血に染まった花を吐き出しながら、医者は島で海が1番よく見える場所にやって来た。お察しの通り、それがこの白百合畑だ。当時は何もないただの荒れた草地だったろうがね。そこで医者が見たのは、綺麗な大輪を咲かせた、白銀の百合の花。
剣士が眠ってから3年。ごぼり、ごぼり。血に染まった花を吐き出しながら、医者は島で海が1番よく見える場所にやって来た。お察しの通り、それがこの白百合畑だ。当時は何もないただの荒れた草地だったろうがね。そこで医者が見たのは、綺麗な大輪を咲かせた、白銀の百合の花。
剣士が花を吐く奇病にかかって、1年が経ち、2年、3年、4年が経ち。そして5年。剣士の奇病は治る気配を見せなかった。未だに片想いし続けているらしい。どころか次第に衰弱していった。剣士の自船の仲間たちもそりゃあもう心配していたがね、それでも剣士はその奇病を治す気にはならなかったらしい。仲間の1人が言った。「てめェが弱ってると張り合いがなくてつまんねェな」剣士は笑って返した。「ならさっさとこの船降りて結婚しちまえ。一体いつまで待たせるつもりだ?」
さて。剣士が奇病にかかって6年が経とうという頃。吐き出す花は殆どが真っ赤に染まっていた。赤い花じゃない。
剣士が花を吐く奇病にかかって、1年が経ち、2年、3年、4年が経ち。そして5年。剣士の奇病は治る気配を見せなかった。未だに片想いし続けているらしい。どころか次第に衰弱していった。剣士の自船の仲間たちもそりゃあもう心配していたがね、それでも剣士はその奇病を治す気にはならなかったらしい。仲間の1人が言った。「てめェが弱ってると張り合いがなくてつまんねェな」剣士は笑って返した。「ならさっさとこの船降りて結婚しちまえ。一体いつまで待たせるつもりだ?」
さて。剣士が奇病にかかって6年が経とうという頃。吐き出す花は殆どが真っ赤に染まっていた。赤い花じゃない。
時は大海賊時代、が終わりを告げて十数年が経った頃。この島に2人の男が降り立った。1人は医者の男、もう1人は剣士の男だった。2人はそれぞれ別の船に乗ってた船乗りでねェ、各地を旅しながら怪我人や病人を治したり、或いは自分に挑んでくる若い剣士たちを返り討ちにしたりしながらのんびりした余生を送っていたそうだ。2人は乗ってる船こそ別々だったが、兄弟のように仲が良くてね。たまに両船落ち合っては、生傷絶えない剣士の面倒を、医者はよく見ていたそうだよ。
その頃、この海域ではとある奇病が流行っていた。花を吐く病だ。しかも、誰かが
時は大海賊時代、が終わりを告げて十数年が経った頃。この島に2人の男が降り立った。1人は医者の男、もう1人は剣士の男だった。2人はそれぞれ別の船に乗ってた船乗りでねェ、各地を旅しながら怪我人や病人を治したり、或いは自分に挑んでくる若い剣士たちを返り討ちにしたりしながらのんびりした余生を送っていたそうだ。2人は乗ってる船こそ別々だったが、兄弟のように仲が良くてね。たまに両船落ち合っては、生傷絶えない剣士の面倒を、医者はよく見ていたそうだよ。
その頃、この海域ではとある奇病が流行っていた。花を吐く病だ。しかも、誰かが
(これもう確実に誘われてたやつじゃん!!?)
(□ーなら「わたしが教えてやろうか?」なんて言って押し倒してくれると思ったのになァ)
🔚
(これもう確実に誘われてたやつじゃん!!?)
(□ーなら「わたしが教えてやろうか?」なんて言って押し倒してくれると思ったのになァ)
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