やっぱりふたつ並べて出したいでしょう🍑も…確信犯で…
やっぱりふたつ並べて出したいでしょう🍑も…確信犯で…
ふと、鍋を出す振りをして髪をタオルで雑に拭くモグラにこっそり目線を移すと当たり前だが、俺の部屋で俺の服を着て俺と同じ匂いがする。…いや普通にヤバいけど!?なんでコイツこんな地味なスウェットでも格好いいんだよなんなんだクソ
~ここで飽きたすまない。
ふと、鍋を出す振りをして髪をタオルで雑に拭くモグラにこっそり目線を移すと当たり前だが、俺の部屋で俺の服を着て俺と同じ匂いがする。…いや普通にヤバいけど!?なんでコイツこんな地味なスウェットでも格好いいんだよなんなんだクソ
~ここで飽きたすまない。
真木はひとつため息をついて少し笑って言った。
「ま、ありがとう。…いつも心配してくれて、嬉しいとは思ってるよ」
「心配だよ…お前は俺にだって優しすぎるから」
「そんな、事ないだろ」
モグラにこの好意が悟られてはならないと思っているのに、知らぬ間にじわりと滲み出ていたのかも知れない。モグラがあの世に戻るのが先か、もしくは自分が逝くのが先か…それは分からないがその時を迎えるまでは傍にいたい。だからこんな恋心は妨げになるだけだ…と分かってはいても、今はまさに醜い下心が顔を出している。
真木はひとつため息をついて少し笑って言った。
「ま、ありがとう。…いつも心配してくれて、嬉しいとは思ってるよ」
「心配だよ…お前は俺にだって優しすぎるから」
「そんな、事ないだろ」
モグラにこの好意が悟られてはならないと思っているのに、知らぬ間にじわりと滲み出ていたのかも知れない。モグラがあの世に戻るのが先か、もしくは自分が逝くのが先か…それは分からないがその時を迎えるまでは傍にいたい。だからこんな恋心は妨げになるだけだ…と分かってはいても、今はまさに醜い下心が顔を出している。
「…本当か?」
「いや嘘つく意味あるか?そんな心配しなくても知らないずぶ濡れの男なんか保護しない!お前は俺をお人好しって言うけどそこまで馬鹿じゃないぞ!」
「い、いや馬鹿にした訳じゃ…!悪い…変なヤツに捕まってんじゃないかと思って…」
人間愛…というのか、モグラは懐に入れた人間を過剰に心配する癖がある。少しの縁でも怪我を治す為に自分の大切な灯を使ってしまうヤツだ。皮肉にもそこが神様らしいのだが。真木はどうやらモグラにとって『加護対象』のようで、頻繁に身の心配をされている。恋人はいないか、だと?いない。真木が好いているのはモグラなのだから。
「…本当か?」
「いや嘘つく意味あるか?そんな心配しなくても知らないずぶ濡れの男なんか保護しない!お前は俺をお人好しって言うけどそこまで馬鹿じゃないぞ!」
「い、いや馬鹿にした訳じゃ…!悪い…変なヤツに捕まってんじゃないかと思って…」
人間愛…というのか、モグラは懐に入れた人間を過剰に心配する癖がある。少しの縁でも怪我を治す為に自分の大切な灯を使ってしまうヤツだ。皮肉にもそこが神様らしいのだが。真木はどうやらモグラにとって『加護対象』のようで、頻繁に身の心配をされている。恋人はいないか、だと?いない。真木が好いているのはモグラなのだから。
「はぁ…?いないよ。なに?」
今、真木に恋人がいない事実とモグラが不機嫌な理由がどう繋がるというのか。真木は首をひねり「どういうこと?」ともう一度聞いた。そっぽを向いて唇を尖らせていたモグラは遠慮がちにポツリポツリと呟く。
「…なんで俺が着れるサイズのスウェットがあるんだ?新品のパンツがあるのはなんでだ?やけに濡れた男に相手に手慣れてるな?もしかしてお前こんな風にずぶ濡れの男を保護したりしてないだろうな…!?」
「マジでなに言ってんだ。俺はゆったりしたスウェットが良くてオーバーサイズを着てる。新品のパンツはお前がさっき濡れてたからスーパーで買った。
「はぁ…?いないよ。なに?」
今、真木に恋人がいない事実とモグラが不機嫌な理由がどう繋がるというのか。真木は首をひねり「どういうこと?」ともう一度聞いた。そっぽを向いて唇を尖らせていたモグラは遠慮がちにポツリポツリと呟く。
「…なんで俺が着れるサイズのスウェットがあるんだ?新品のパンツがあるのはなんでだ?やけに濡れた男に相手に手慣れてるな?もしかしてお前こんな風にずぶ濡れの男を保護したりしてないだろうな…!?」
「マジでなに言ってんだ。俺はゆったりしたスウェットが良くてオーバーサイズを着てる。新品のパンツはお前がさっき濡れてたからスーパーで買った。
「で?なんでお前は風呂上がり早々ぶすくれてんだ」
髪にタオルを被せじっとり恨めしそうに睨むモグラに、真木は鍋の準備をしながら尋ねた。先程まで機嫌が良さそうだったのに一体どういうことだろう。ただ冷蔵庫に買った商品を入れ、モグラの白菜を4分の1ほど拝借しただけの真木には全く見当も付かない。白菜鍋はお前から提案したんだよな?鍋ではないとしたら風呂の中で何かあったとしか考えられない。
「…風呂の何か…シャンプーとか?嫌だった?」
「そんなの俺は全身石鹸だぜ。シャンプーなんて久しぶりに使った…いい匂いした…って、そんな事じゃねぇよ!お前…
「はぁ…?いないよ。なに?」
「で?なんでお前は風呂上がり早々ぶすくれてんだ」
髪にタオルを被せじっとり恨めしそうに睨むモグラに、真木は鍋の準備をしながら尋ねた。先程まで機嫌が良さそうだったのに一体どういうことだろう。ただ冷蔵庫に買った商品を入れ、モグラの白菜を4分の1ほど拝借しただけの真木には全く見当も付かない。白菜鍋はお前から提案したんだよな?鍋ではないとしたら風呂の中で何かあったとしか考えられない。
「…風呂の何か…シャンプーとか?嫌だった?」
「そんなの俺は全身石鹸だぜ。シャンプーなんて久しぶりに使った…いい匂いした…って、そんな事じゃねぇよ!お前…
「はぁ…?いないよ。なに?」
「なっ!何やってんだよ!濡れてる!」
驚いた真木がモグラごと店先へ押し込み雨を避ける。まだ真木を捕まえたままモグラが濡れた髪をブルブル振って払うと、大型犬かよと真木が笑った。
「…俺んち来るんだな?そういえば晩飯とか考えてなかったけど…なんか買おうか?」
「あ、鍋なら出来るぜ!白菜あるし!」
「白菜だけじゃなぁ…ちょっと鍋用に肉とか買ってくる。お前は濡れてるからここで待ってて」
「分かった」
店内に入って行く真木の背中を見送りながら、まるで店先に繋がれた犬みたいだと自分でも笑ってしまった。しばらくすると真木がレジ袋を持って出て来た。
「なっ!何やってんだよ!濡れてる!」
驚いた真木がモグラごと店先へ押し込み雨を避ける。まだ真木を捕まえたままモグラが濡れた髪をブルブル振って払うと、大型犬かよと真木が笑った。
「…俺んち来るんだな?そういえば晩飯とか考えてなかったけど…なんか買おうか?」
「あ、鍋なら出来るぜ!白菜あるし!」
「白菜だけじゃなぁ…ちょっと鍋用に肉とか買ってくる。お前は濡れてるからここで待ってて」
「分かった」
店内に入って行く真木の背中を見送りながら、まるで店先に繋がれた犬みたいだと自分でも笑ってしまった。しばらくすると真木がレジ袋を持って出て来た。
「あ!いやお前にも予定とかあるよな?ごめん。傘貸すから使ってくれ!じゃ…」
時間にすれば一瞬の間が空いただけなのに、空気を読みすぎる真木は無言の拒否と捉えたようだ。モグラに傘を渡すとパーカーのフードを被って逃げるように走り出した。余りの早さに刹那、モグラも気後れしたがハッと追いかけて引き留める。突き出された傘は真木にだけ差されていて大粒の雨はモグラの全身をあっという間に濡らした。モグラの長い睫毛に雨粒がかかっても瞬き一つせずに真木を真っ直ぐ見据えて叫ぶ。
「あ!いやお前にも予定とかあるよな?ごめん。傘貸すから使ってくれ!じゃ…」
時間にすれば一瞬の間が空いただけなのに、空気を読みすぎる真木は無言の拒否と捉えたようだ。モグラに傘を渡すとパーカーのフードを被って逃げるように走り出した。余りの早さに刹那、モグラも気後れしたがハッと追いかけて引き留める。突き出された傘は真木にだけ差されていて大粒の雨はモグラの全身をあっという間に濡らした。モグラの長い睫毛に雨粒がかかっても瞬き一つせずに真木を真っ直ぐ見据えて叫ぶ。
「あー傘持って無かったのか。…モグラさえ良ければ俺んち来る?すぐそこなんだ。今夜はずっと雨予報だし…泊まってもいいけど」
「えっ…!?」
いきなりの誘いに思考が一瞬停止した。モグラはこの真木と言う人間にしばらく前から好意を寄せている。元神とは言えど今はただの人間。恋もするし性欲もある。ただ自らの逝けない特殊すぎる事情や躁鬱持ちという面倒臭さは嫌と言う程自覚しているから堂々と告白など、どのツラ下げて出来ようか。ぐるぐると考え続けた結果、煮え切らない態度で真木に接し今に至っている。
「あー傘持って無かったのか。…モグラさえ良ければ俺んち来る?すぐそこなんだ。今夜はずっと雨予報だし…泊まってもいいけど」
「えっ…!?」
いきなりの誘いに思考が一瞬停止した。モグラはこの真木と言う人間にしばらく前から好意を寄せている。元神とは言えど今はただの人間。恋もするし性欲もある。ただ自らの逝けない特殊すぎる事情や躁鬱持ちという面倒臭さは嫌と言う程自覚しているから堂々と告白など、どのツラ下げて出来ようか。ぐるぐると考え続けた結果、煮え切らない態度で真木に接し今に至っている。
「あれ、モグラじゃん。買い物か?」
声の方へ目線を向けると傘を差し、小首を傾げながら真木が立っていた。頭の上にはいつものようにマギー君も乗っている
「えっ?…あ、真木!なんだどうした大学の帰りか?」
「うん帰り。そっか、ここってあの吉田さんのスーパー?」
「あれ、モグラじゃん。買い物か?」
声の方へ目線を向けると傘を差し、小首を傾げながら真木が立っていた。頭の上にはいつものようにマギー君も乗っている
「えっ?…あ、真木!なんだどうした大学の帰りか?」
「うん帰り。そっか、ここってあの吉田さんのスーパー?」