岡田一実
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岡田一実
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俳人・岡田一実。句集に『境界ーborderー』(2014)、『新装丁版 小鳥』(2015)、『記憶における沼とその他の在処』(2018) 、『光聴』(2021)、『醒睡』(2024) 単著に『篠原梵の百句』(2024)HAIKU,for its own sake.
こういう長巻物はいつも旅のようだと思う……。嵐もあり、平坦な凪もあり、麗しい草原もある……。雨なら雨で、晴れたら晴れで、ゆるゆる楽しみましょう……。
November 5, 2025 at 5:00 PM
この頃の「ホトトギス」俳人達は、波多野爽波が言うまでもなく、「多作多捨」だったのだと思う。その方法でしか得られない軽やかな本質があるように思う。あるいは「本質」からややずれたところにある妙味。この変さ!可笑しみ!とても好き。虚子選の「ホトトギス」は面白みの息が長い……。
#読書
November 5, 2025 at 4:37 PM
『実生』はむかし朝日文庫の抄出を読んで「立子もふううになったな……」と思ったのだが、今読むと全然違う。ちっとも「ふつう」じゃない……。すげーです。あと、時代ね!「社会性俳句」などものともせず、「ホトトギス」をやっている性根の座ったところよ!しかも、面白い!
#読書
November 5, 2025 at 4:27 PM
星野立子はその有名な句から「稚気」と解されることも多いのだが、かなり「大人」として冷ややかに人間関係の機微を捉えている。「こえー」と思う句もけっこうある。「人間関係は愚かだ」みたいな陳腐な達観に陥らず、「しかし変だな」というところを掬い上げているところが、とても面白い。
November 5, 2025 at 4:04 PM
待たされてゐて気が楽や大火鉢
風花や昼前に行きつかねばならぬ
春雨の漸くあがりたる午後に
蚊遣火や用なき時は早く寝る
大事なきことへ話を春惜しむ
話しつつ祭の記憶あれこれと
温泉を出でて汗わく間も話しつつ
底紅の一つ咲きゐし折りて挿す
さりげなく涼みがてらと出てゆきし
貸しあへる鏡や帯や避暑の宿
煽ぎつつやさしく話しかけて来る
風吹けば全く秋や山羊放ち
爽かに一別以来皆達者
温泉あがりの肌つるつるや秋灯下
電燈の暗しと見上げ夜長かな
手袋をとり襟巻はそのままに
#読書
November 5, 2025 at 3:51 PM
灰皿に茶托に桜餅の皮
枇杷を食むぽろりぽろりと種二つ
階涼し追ひくる人を知つてをり
百合活けてあまりに似合ふ瓶怖はし
白涼し紫も亦涼しく著
朝寒や起きて用なき旅の身に
障子しめて四方の紅葉を感じをり
時雨忌といふ言葉好き斯く記す
暖かに聞きうなづきて従ひぬ
早く来て待つ間久しや扇風機
日傘さす程でなし話しながら来ぬ
晩涼や食後の卓に話し込み
香水の香にその人とすぐわかり
秋暑し断るすべも知らず書く
午後からは自由な時間秋日和
雨ぐせのつき霜月も早や半ば
悴みし手をひろげ見せ筆とりぬ
時雨るるや話し残せしこと文に
十二月十九日午後五時過ぎぬ
待たされてゐて気が楽や大火鉢
November 5, 2025 at 3:49 PM
かわきゐる苗代水の水車
人の見ぬ方の若葉の山を見る
ぐんぐんと雲ぬき夏の月となる
梅雨の子等ふしぎなことをするものよ
若者や汗の顔セ笑みほぐし
船室の少し揺れ来て蒸し暑し
船たのし昨日に変る涼しさに
秋風の三面鏡に旅疲れ
蚊をたたく色刷のある新聞紙
笑ひつつ涼しく話そらしけり
暑に負けてみな字忘れて仮名書きに
人違ひされて涼しく否といふ
立秋やその人らしき手紙読む
百日紅百日白と大雨中
働きつあそびつ人等月を待つ
雲を出る月まつ心皆ありぬ
秋晴や待たせし人に手を高く
鵙の晴疲れしときはわがままに
さきに出し人おくれ著く時雨かな
一月十二日とペンで玉子にかく
春炬燵あぎとをのせて不機嫌に
November 5, 2025 at 3:48 PM
しかし現実には、公共サービスの崩壊や衛生・治安の悪化、熊の出没など、共同体としての機能が失われていく。誰も道路を直さず、ごみの処理もままならず、住民同士の協力関係も破綻した。結果として、リバタリアンが理想とした「完全な自由」は、社会的責任や共助の崩壊を招くことが明らかになる。

本書の主人公はリバタリアン達だが、もう片方の主人公は熊。熊と銃で闘い、ドーナツをやり、行政を拒む姿に多彩な個性が感じられる。面白くはあるが、少し極端……。

「税金は払わなくてはな……絶対!」という気持ちになる一書。

#読書
November 5, 2025 at 12:34 PM
〈「社会性俳句」を意識してか、辺境に住む人や「社会的弱者」を取材に行っているが、「スラムツーリズム」に似た「上から目線で勝手に憐れむ」感じが否めない。〉

ここ、自分が「社会性俳句」を苦手とする理由を整理して言語化できたのは良かった。「知的な俺が辺境の他者を憐れむ」という驕った感じがかなり嫌い。
October 28, 2025 at 3:02 PM
万緑のおのれ亡き世のごときかな
二階より風を透して罌粟を見る
屋外映画の歔欷するうしろにて涼む
しぐるるや芥ふちどり日本海

#読書
October 28, 2025 at 2:50 PM
移築して結構涼し隅櫓
赤富士に万籟を絶つ露の天
舟行や四望に秋の雲斂(をさ)め

#読書
October 18, 2025 at 3:51 PM
ガチガチの「進化心理学」批判、父権制批判があり、「男性中心主義」を抗する論旨だった……。

私も「進化心理学」は男性中心主義な眼差しで、これを引いてくるベンジャミン・クリッツァーなどの男性批評家は怪しいなと感じていました……。

性科学やフェミニズムに関心のある人にはかなりオススメできる。

#読書
October 13, 2025 at 10:07 AM
この俳句が失敗していると言いたいのではない。絶妙なバランスで立っている句だと私も思う。が、「偶然」の可能性もある。

「句をよく読むこと」というのは、作者に屈み込んで下賜を受けることではない。

他の作を読むと「熟慮」には疑念が湧くが、「て」のゆっくりとした時間の送り方に対して、「槍に」というリズムの詰まった近づき方が切迫感を生んで、独特の時間の歪みを感じさせる句になっている、というのが私の読みです。

#読書
October 9, 2025 at 3:56 PM
春ひとり槍投げて槍に歩み寄る 能村登四郎

これは代表的な「中八」の例で、「登四郎先生は熟慮に熟慮を重ねて中八にしたに違いない!」という言説があるが、この句集を読む限り、「うっかり」もあり得るなと思う。同じ「中八」に〈毒消売よろめきよろめき来て坐る〉という句があり、他の字余り感からしても、「熟慮に違いない」という思い込みはただの権威主義なのではないかと思った。
#読書
October 9, 2025 at 3:40 PM