ムジカという箱庭に囚われた祥子が運命の女神つまり初音に概念的に犯される時の心情を描いた歌というわけですよ

最後のは与太です。アラスターへの態度を補助線として読めばそう読めるかもなーって程度…
ヴォックスが地獄で生前同様のことをしようとした相手って、アラスターとあとはルーなので！

もちろんそれは顕在化しない。特に1950年代という時代背景を考えると、ラベンダー色の脅威の時代だ。だから同性への関心自体が強く抑圧されてる。しかもヴィンセント自身それを否定する言説をアメリカ中に放送する側だったんだ。

だから尊敬と憎しみ、憧れと嫉妬、そして何らかの形の愛と破壊衝動、そして「父」に認められたい/同一化したいという欲望は完璧に意識から追い出された。でも消えなかった。そして歪んだ形で表面に現れた。殺人として。そして死体とのダンスとして。

で、ここからは「こうだったら面白いな」という妄想。

まず、彼が殺した人々を二つのカテゴリーに分けることができる。一つは輝いている人々——司会者とメインアナウンサー。もう一つは輝いていない人々——プロデューサーたちと社長。
そして、メインアナウンサーの死体とのダンス、司会者が「魅力的な」であることを考慮すると。輝いてる相手の殺害は抑圧された性愛的要素を孕んだ父殺しだったかもしれない。

だけどヴィンセントは自分より輝いている人間を見つけると殺す。つまり必然的に、成り上がる都度自分を認めてくれるであろう身近な年長者を殺してしまう。そしてもちろん殺しても殺しても新たな輝きは生まれてくるし、輝く者と同じ場所に立っても自分が輝けるわけじゃない。
だから地獄に行ってもまだ満足してない。

最後にボブ殺し。これでテレビ局の頂点に立つ。地位も権力もお金も全部手に入れる。これは「まあここまで来たらやるだろうな…」という感じなんだけど、この殺人はヴィンセントの悪魔性が一番強く描かれてたように思う。
でも、ボブを殺してもヴィンセントは全然満足してるようにみえない。

じゃあ、ヴィンセントは何が欲しいの？地位が目的ならどこかで止まるよね？
生放送中の殺人を見るに、彼にとって重要なのは権力そのものではなく、権力を持っている自分が「見られる」ことなんじゃないか。
だからこいつが本当に求めているのは外部承認としての輝き。

そして3人の犠牲者。これらは最も異常な殺人。当時の番組は生放送が基本なのに、大喜びでカメラに映してる。しかもヴィンセントは十分出世した状態。つまり、必須とは言えない殺人を不必要なほど目立つ場所で行っているので。
動機についてはわかんないけど、彼らはヴィンセントより人気があった、あるいは将来人気になりそうだったのかもしれない。あと、リスクをとって生放送中を選んだのについては、短期的にみれば視聴率が爆上げするからそうしたのかも。こわ！

次にプロデューサーたち。彼らはヴィンセントを支援してくれた恩人。なのに殺す。で、多分自分がその立場に成り代わる。そして悪魔姿がここでカットインする。ここと死後のVeesへの態度から見えてくるのは、ヴィンセントが「誰かに助けられている」という状態に耐えられない可能性。…というのは言い過ぎ？

次の犠牲者は司会者で、彼の輝きはメインアナウンサーの比ではない。というか曲中で最も輝いてる人物！
実際に当時は報道キャスターより娯楽系ホスト（司会者）のほうが 圧倒的に稼げて、影響力も大きく、スターになれた。羨ましくなるのは普通かも。
そして興味深いのは、スタンドライトでド派手に撲殺していること。どうにかして事故にでも見せかけたんだろうけど、おそらくこの司会者は、ヴィンセントにとっては多少危険な手段を撮っても直接殴り殺したくなるほど特別な存在だったんではないか。

まず殺害の順序を追ってみる。最初はメインアナウンサーです。ヴィンセントはウェザーマンで、当時においては番組の中でも地味な役割。彼はそこから抜け出したかった。だから通り魔に見せかけてメインアナウンサーを殺し、その地位を奪いました。まあわかりやすい。ただし深読みするなら、死体とのダンスは非常に歪んだ形の愛の表現にも見える。

メンタルはどん底だけど文字数だけはいっぱい書けるボーナスタイムなので、与那国さんも合間合間で書いてるしアイネルも書いてるし