tatumi
@norinagatatumi.bsky.social
53 followers 82 following 310 posts
ほぼ読書感想、たまに写真とか
Posts Media Videos Starter Packs
norinagatatumi.bsky.social
読んでいると1968年とはこういう時代だったか…となるシーンばかりだった。

今の時代なら完全にアウトな言葉も出てくるしで、読んでて、「当時はこれが常識だったのか」とショックを受ける箇所も多い。「戦争とか、外国の人へと向ける視線というか姿勢というか)

その一方で、社会生活に辟易して「東京にいると疲れるわ」なんて言ってるところは妙に現代にも通じてて、つくずく一人の人間の中にある時代という空気と、普遍的な心理の不思議を感じずにはいられない。
それにしてもこの旅が敢行されてまだ100年も経ってないとは。いかに時代の変化が激しいかと薄気味悪さを感じてしまう。
norinagatatumi.bsky.social
有吉佐和子『女二人のニューギニア』河出書房新社

「いいとこだから、遊びに来なよ」の一言で、友人の住む異国の地へ旅立った、作家、有吉佐和子。
 海外旅行がまだまだ珍しかった60年代、出向いた先はニューギニア。想像を絶する密林に、熱さ、虫、何より強烈な文化の違いにひたすら驚愕する日々を綴ったエッセイ。

ぶっ飛んだ本だった。
 紀行なのに著者は専ら畑中氏の家で療養し、畑中氏は現地の人を従えて八面六臂と飛び回る日々。良くぞ帰ってこれたなぁという劇的な帰国まで、唯一無二の体験過ぎる。
 著者も、タフ過ぎる畑中幸子もどちらも凄い、としか言うしかない。
 
@libro.bsky.social
女二人のニューギニア :有吉 佐和子|河出書房新社
女二人のニューギニア 文化人類学者で友人の畑中幸子が滞在する、数年前に発見されたシシミン族がクラスニューギニア奥地を訪ねた滞在記。想像を絶する出来事の連続と抱腹絶倒の二人の丁々発止。有吉ファン必読。
www.kawade.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
しかし読んでて苦戦したわ。
特に最初の3章目は知らない名前の連続に、思想としてあまり馴染みのない潮流が多くて結構しんどかった。

4章目になって赤瀬川原平とか村上隆の名前が出てきてから、一気に読みやすくなった。5章と6章は西洋中心の美術史観に対抗する視点だし、6章は戦争と芸術の関係だし。後半から読むのもありだったかも。

全体を通して思うのは、現代アートが掴みにくいのはアートが表象しうる範囲が広がり続ける中で、アートの概念自体が各作家という繭の中でドロドロに溶けて、作品と言う名の蝶として羽化するからなのかもしれない。
その蝶があまりにも奇妙奇天烈で混乱してる、それが現代なのかもしれない。
norinagatatumi.bsky.social
山本浩貴『現代美術史』中央公論新社

現代アートを60年代後から欧米、日本、今まで「メジャーではない」とされきた地域、形式、ジャンルetcをトランスナショナルとして分類し、現代までの流れを全6章で俯瞰した本。

6章目・終章が印象に残った。
美術の観点から日本側の帝国主義を振り返ってて、はっとした。そう、日本も植民地を持ってた側なんだよなって。
その端的な例が藤田嗣治。単に渡仏した画家かと思ってたら、戦中、政府に迎合した「戦争画家(戦争賛成派)」として追放されたなんて知らなんだ。(我ながら何たる無知!)

芸術が社会に持つ責任が少し分かった気がする。

@libro.bsky.social
現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル -山本浩貴 著|中公新書|中央公論新社
20世紀以降、芸術概念は溶解し、定義や可能性を拡張した新しい潮流が続々と生まれている。アーティストは、差別や貧困のような現実、震災などの破局的出来事とどう格闘しているのか。美術は現代をいかに映し、何を投げかけたか。本書は難解と思われがちな現代美術を、特に第二次世界大戦後の社会との関わりから解説、意義づける。世界中の多くの作家による立体、映像、パフォーマンスなど様々な作品で紡ぐ、現代アート入門。
www.chuko.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
井奥陽子『近代美学入門』筑摩書房

アート、芸術ってわっかんねぇーって感覚はどこかくるの?「〇〇の見方が分かる」系の本が頭に入らないのってなんでだろう?
という疑問を抱いたことがあるなら、ぜひご一読を!と押し売りしたい本。

圧倒的に凄い「何か」に触れた時に受ける感動を人類がどう扱って着たかを、主に西洋美術から振り返ることで現代社会における「美」の基準にどう繋がっていくかが分かってくる。
かつては哲学や手工技術の一部分だったものが、いかに独立し、現在の権威的とも言える姿になったのか。を語る第一章から目から鱗が落ちまくり。
いやぁ、勉強になりました。

@libro.bsky.social
『近代美学入門』井奥 陽子|筑摩書房
筑摩書房『近代美学入門』の書誌情報
www.chikumashobo.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
『ドラキュラ』を始めて知ったのは子どもの頃に読んだ菊地秀行による翻案版だったなぁ。全体としてペースアップが図られてて冒険小説としてめっちゃ面白かった。
伯爵も颯爽としてて格好いいし、仲間たちが集合していく胸熱ドラマがたまらんかったのよ。

だから何年か経って普通の翻訳を読んで驚いたっけなぁ。あまりにも伯爵が無力だし、話が中だるみしてて苦痛だった。ルーシーのとこ要らなくね?って思ってたけど、今読み返すと当時はこれで読者にリアルタイム更新の躍動感を与えようとしてたんだなって感慨深い。
あと、ミナ・ハーカーの作品に占める比重は菊地秀行が増やしてたわけでもなかったことに感動した。
norinagatatumi.bsky.social
ブラム・ストーカー『ドラキュラ』光文社

19世紀を目前に控えた英国から遥かルーマニアまで降り立った新人弁護士ジョナサンは高貴ながらもどこか人間離れした伯爵に迎え入れられる_その名は大貴族ドラキュラ。

書名そのものがネタバレな吸血鬼小説の傑作というか、大御所だよね。何度目かの再読終了。
子どもの頃に菊地秀行が児童書用に冒険小説として脚色したものを読んだので、その時の記憶と比較して読んだので色んな発見があって面白かった。

現代からすると、かったるい部分も多いけど、それを補う面白さがあるんだよね。背景描写の美しさとか、熱き友情のドラマとか。堪能したわ。

@libro.bsky.social
ドラキュラ - 光文社古典新訳文庫
吸血鬼文学の傑作を一気読み! 物語
www.kotensinyaku.jp
norinagatatumi.bsky.social
読んでてきっついなぁとなったのは、著者がロシア語を母語とするウクライナ作家という立場ゆえに周りから「ウクライナ語で書け」って圧力を受けるってところ。
多言語、多民族国家だとこういう問題は避けられないよね。二元論で割り切れる問題じゃないけど、つい不安に駆られて迫ってしまう。日本だって単一民族に言語は一つっていう「常識」で社会が成り立ってるから、こういうの身につまされる。仮に戦争になったら同じ問題はどこでも起きるのが目に見える。
普段は見えにくい問題が一気に他者への疑心暗鬼として噴出する、そして戦争がそれを加速させるのがヒシヒシと伝わって来たよ。あー気が滅入る。
norinagatatumi.bsky.social
アンドレイ・クルコフ『戦争日記』集英社

『ペンギンの憂鬱』のアンドレイ・クルコフがロシアとの戦時下で過ごすウクライナの日々を綴った本。不安定なインフラ、言語を巡って起こる「誰が真のウクライナ人か?」という対立、警報に順応していく身体。

生々しい戦時下の日常に、読んでて息が詰まりっぱなしだった。一つ一つの日記は短いけど、全く進ままず、10日ほどヒイヒイ言ってやっと読み終えた。でも、この本はそうやって読み手も四苦八苦するのが相応しい気がする。
終わりの見えない戦争の圧力をぐっと背負って書かれた日記ゆえに、そう簡単には読めない、けど力強く、眩くもある。

@libro.bsky.social
戦争日記 侵略下ウクライナの力強く深い物語/アンドレイ・クルコフ/福間 恵 | 集英社 ― SHUEISHA ―
戦争のただなかで、人びとはどう生きるのか――ロシアによるクリミア併合から11年、ウクライナ全面侵攻から3年。心に刻まれる記録文学。『侵略日記』続編。絶え間ない空襲のストレス、軍を支援するクラウドファンディング、被占領地域からの市民の強制移送、ハルドル・ラクスネス国際文学賞の受賞スピーチ、ジュネーブ会議でのスピーチ、クリスマスの祝い方、「塹壕ろうそく」の作り方、75歳の日本人ボランティアの活躍、児童...
www.shueisha.co.jp
Reposted by tatumi
makosaiki.bsky.social
『突然、NHK「性暴力を考える」サイトが9月30日に閉鎖されると発表されました』
仰天&呆然。こんな貴重な情報と、被害者がやっとの思いであげた声の集積を、根こそぎ消す!? しかも9月末!?
NHKは公共放送の役割を何だと考えているんですか?
このサイトは絶対に存続させなければならない。署名にご協力ください!

【NHK「性暴力を考える」サイトを消さないで】
www.change.org/p/nhk-%E6%80...
あなたの声がチカラになります
NHK「性暴力を考える」サイトを消さないで
www.change.org
norinagatatumi.bsky.social
この時代にフランケンシュタイン?ってびっくりしたら、マジだった。
ただし、フォーカスは怪物じゃなくてその伴侶の側だった。面白そう。このアプローチは今までなかったんじゃない?
主役の人、一瞬レディ・ガガかと思ったら違った。ジェシー・バックリーでした。

吸血鬼、ゾンビのブームと来てまたもやフランケンシュタインの怪物の時代が来るのか。歴史は繰り返すねー。
幽霊&怨霊、吸血鬼、ゾンビ、創造物系、人狼などの変身系はホラーの原型なんだなーと思う。何度でも蘇ってくるもんね。
The Bride! | Official Teaser
YouTube video by Warner Bros.
youtu.be
norinagatatumi.bsky.social
アナス・アタッシ『スマック』2ndLap

シリア出身の著者が故郷の料理と思い出を数々の写真とともに紹介する料理本。って紹介するのが申し訳ないほど、素敵な本だった。

まず、これレシピ本なのか?って疑問に思うほど料理の写真が美しい。
 ちょっとセピア調で、料理が盛り付けられている器の複雑な模様から、その下の敷物までにうっとりしちゃう。
 次に全ての料理に作者が付け加える家族との思い出や、章をまたぐことに挿入されてるシリアの日常生活の写真が素晴らしいのよ。「内線で悲惨なことになっている」とイメージしてしまいがちなシリアの魅力が存分に伝わってくる。

@libro.bsky.social
スマック シリアからのレシピと物語
NPR(アメリカ公共ラジオ放送)が選ぶ、2021年最高の料理本。おそらく日本初となる、シリア家庭料理に特化したレシピ本。著者が母親から学んだ家庭料理を中心に85のレシピ + 9つのエッセイを収録。
www.2ndlap.jp
norinagatatumi.bsky.social
DIZ『サブスクに観たい映画多すぎて、結局、観ない夜ありすぎ』角川

「お前は俺か!」ってなるタイトルに引かれて手を取った本。
超良かった。
 サブスク時代の映画との付き合い方教えますってスタンス通りに「あ、映画ってそうやって楽しんでもいいのか」って提案が目から鱗ですご~いって言いながら読了。

今をときめく役者たちのリストがあったり、テーマごとにまとめた映画のリストも有り、チラ見するのも楽しい。

どんな趣味でも、嗜むのに心理的なハードルを下げて接し続けられるって大事なポイントだもんね。いかに楽しむかって考えること自体のパワーを感じさせられた。

@libro.bsky.social
サブスクに観たい映画多すぎて、結局、観ない夜ありすぎ
生活・実用書「サブスクに観たい映画多すぎて、結局、観ない夜ありすぎ」のあらすじ、最新情報をKADOKAWA公式サイトより。「今日これ観よう」が決まる新時代の映画案内!
www.kadokawa.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
10年前に読んだ時はあまりにぶっ飛んだ感覚についてけなくて、体験記というよりなかばSFみたいにして読んでたなぁ。

でも今読むとレベッカ・ソルニットの『ウォークス』にもう通じる
歩くこと、都市の中を移動する事自体への詳察が哲学的で「ふ、深い」ってなった。当時感じてたけど言語化出来なかった感想も、他の本を読んだり自分の経験も加わって解析度が上がるんだなぁ。
再読ってしてみるもんだ。
ウォークス 歩くことの精神史 | 左右社 SAYUSHA
広大な人類史のあらゆるジャンルをフィールドに、〈歩くこと〉が思考と文化に深く結びつき、創造力の源泉であることを解き明かす。
sayusha.com
norinagatatumi.bsky.social
ブラッドリー・L・ギャレット『「立入禁止」をゆく」青土社
www.seidosha.co.jp/book/index.p...
都市において、人が入っていい場所は限られている。公園や商業施設はOKでも、工事現場や変電設備、水道施設はNG。だって危ないもんね

それって都市の管理者側の建前なんじゃね?
という疑問を抱いた著者が高層ビルに廃工場、地下の下水道など片っ端から「立入禁止」を破りまくった 体験記。
 10年ぶりに再読。多くの人が都市に住む現代社会において心身の、学問の「自由」とは何か身を持って試す著者の姿勢に圧倒される。ようやく感想を言えたわ。

@libro.bsky.social
norinagatatumi.bsky.social
私がこれ面白かったのは、古代アイルランドのカトリック布教においてアイルランドが果たした役割のところ。

ピーター・トレメインの「修道女フィデルマ」シリーズの世界じゃん!ってなったんだよね。ケルズの書って、本編のあとがきや解説で何回か目にしてきたけどこれのことだったんだ!って興奮した。
 いや、そもそもの話しピーター・トレメインが歴史史学者なんだからここらへんの設定がしっかりしてるの当然なんだけどね。ラテン語といっても、イタリア、フランス、スペインだけじゃないんだなって改めて実感しました。
 実際、ビザンツ帝国下でのラテン語とか詳細に書かれてて言語の広がりってものを実感させられた。
norinagatatumi.bsky.social
L・D・レノルズ、N・G・ウィルソン『古典の継承者たち』筑摩書房

現在我々が触れられる古代ギリシャ・ラテン語の本ってどこから来たの?という疑問に真正面から答えてくれる1冊。包括的で面白い。

書物の歴史、ラテン語とキリスト教の関係、ギリシャ語の歴史を織り交ぜて、どうやって原本が写本となり、写本に注釈が加わり印刷されて今日の形になったかを実に活き活きと語ってくれる。
ただし、この本名詞の量がエグいのでそこはご覚悟を。地名、人名、書籍名、固有名詞、ありとあらゆるラテン語・ギリシャ語の名詞が降り注ぐので目眩がしたら、各章の頭だけ読みつなぐでもいいと思う。

@libro.bsky.social
『古典の継承者たち』L.D.レノルズ|筑摩書房
筑摩書房『古典の継承者たち』の書誌情報
www.chikumashobo.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
夏井いつき『パパイアから人生』小学館

歌人のエッセイや、歌集はたまに読むのに俳人の本や句集は読まないなぁと思っていたら、本屋で目が合った。
俳人だからか、著者の語りは歌人と比べてとにかくて活きが良い、テンポが早い。
そしてものすごく現実に即しているというか、大地にしいっかりと根を張ってる文章であっという間に読み終わってしまった。

季語、17文字という短さがエッセイのリズムと上手く絡み合ってて、なるほどこれが俳人的思考なんだなって伝わってくる。
これ一冊で俳句の全てが分かるわきゃないけど、チラ見は出来た気がする。

でも、私はやっぱ短歌の方が好きかも。
@libro.bsky.social
パパイアから人生 | 書籍 | 小学館
大人気番組『プレバト!!』でお馴染みの俳人・夏井いつきさんが綴った、愉快痛快にして心に沁みる最新エッセイ集!夏井さんは本書について「あとがき」でこう綴っています…
www.shogakukan.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
ガブリエル・ゼヴィン『書店主フィクリーのものがたり』早川書房

米国のとある島にポツンとある書店。地元に密着してるはいいけど売上は貧弱、おまけに経営者は偏屈で。そんな相手に本を売り込むにはどうするか?と出版社の人間が出かけるとこから話は始まる。

淡々とした文章なのに、読んでて感情が揺さぶられてしまう。3年くらい積読してたんだけど、今のタイミングで読んでよかった。読後にしみじみと「よかった」と呟きたくなる温もりがある。
 これから翻訳モノ読みたいけど何から手をつければいいのかっていう人へのブックガイドとしても素晴らしい。本が好きな人ならぜひご一読を。

@libro.bsky.social
書店主フィクリーのものがたり
島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来、ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、傷心の日々を過ごすなかで、彼は書店にちいさな子どもが捨て…
www.hayakawa-online.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
鮎川ぱて『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』文藝春秋

今やすっかり根付いたボカロ音楽は何なのか?
を単なる音楽としてだけではなく、ジェンダー論、哲学の記号論を用いて文化現象として講義したもの。
ボカロ音楽のここが凄いよ!的な軽いガイド本ではなく、本気出して構造を炙り出そうとする野心的な内容なので、中身が濃い。本気で文化現象としてボカロを扱いたい!っていう情熱が感じられる。

ボカロ好きな人とかに魅力を聞いてから読めばよかったかもなと反省。ただ一つ言えるのは、こういう本が出てくるくらいボカロって層が厚いんだなってこと。

@libro.bsky.social
立見続出、東大一の大人気講義、待望の書籍化!『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』鮎川ぱて | 単行本 - 文藝春秋
立見続出、東大一の大人気講義、待望の書籍化! 2016年から東大教養学部で開講中の人気講義「ボーカロイド音楽論」を書籍化! ボカロを通して学ぶ2020年代必須の教養。『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』鮎川ぱて
books.bunshun.jp
norinagatatumi.bsky.social
パトリック・ボー『マジカル博物館ツアー』日経ナショナルジオグラフィック

世界各地にあるマイナーだけども面白い!と著者が自身を持ってお勧める博物館をカラフルな写真と共に紹介した、楽しい本。

野外、地底(?)海底(!?)に作られた博物館に「マジで?」となり、テーマがぶっ飛んでる博物館、霊柩車、手術室、贋作、犬の首輪、SF美術の巨匠ギーガーなどに「おお、人類の好奇心パネェ」なってなり。
「それってもはやお化け屋敷じゃね?」と首をかしげながらページをめくる人形、監獄、医療用標本各種、オカルト系博物館がある。

人類の好奇心を寿ぎたくなる奇妙で愉快な一冊です。
@libro.bsky.social
マジカル博物館ツアー 不思議で珍しい、世界の個性派ミュージアム100
きっと行ってみたくなる。知って驚き、読んで楽しい、激レア博物館・美術館ガイド。〔電子版あり〕
natgeo.nikkeibp.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
『日本語再定義』マライ・メントライン、小学館

日々、翻訳や通訳で接する言日本語をドイツ語話者が再解釈してみよう。見知ったようで奥深い世界が広がっているよ!

的な軽いノリかと思って手に取ったら、「のんきに生きてて申し訳ございません」と謝りたくなるほど鋭く、広い視野から今の世相を観察し、考察を深めた本だった。新聞の文化蘭にでもありそうな雰囲気。

かと言って真面目一点でもなく、著者拘りの箇所にくるとなんだか筆が乗って勝手に上り詰めていく「呪う、アングラ、教養」みたいなつい笑ってしまえる箇所もある。
日本語を通して見る摩訶不思議世界をぜひ味わって欲しい。

@libro.bsky.social
日本語再定義 | 書籍 | 小学館
文芸・アニメ評論に翻訳、そしてワイドショー出演。神出鬼没のドイツ人筆者が、正邪とわぬ言語手法を駆使し、現代のパワーワードと意味定義無限勝負!日本には、四季があり…
www.shogakukan.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
ロレッタ・ナポリオーニ『編むことは力』岩波書店

長らく経済学者として活躍してきた著者はある時期、家、財産、結婚生活を失うかもという憂目に遭う。

絶望の日々の中で著者が心の拠り所としたのは、編み物。
2本の編棒と糸で編む行為に没頭してると、著者は編み物に自らの手で衣服を生み出すという自律的な経済性を見出していく。
やがて著者は自分の人生を、編み物を通じて隠された人々の歴史を語っていく。それは現代社会に至るまで黙殺されてきた人々の営みに光を当てることだ。

作者個人の思い出と、歴史的なイベントの対比の取り方がお見事。軽い様でいて、中身の濃い1冊でした。

@libro.bsky.social
編むことは力/ロレッタ・ナポリオーニ, 佐久間 裕美子|人文・社会科学書 - 岩波書店
編み物は、フェミニズムや社会運動のツールでもあった。編むことのパワーが紡ぐ歴史をたどり、再生への希望をうたうエッセイ。 ロレッタ・ナポリオーニ 著
www.iwanami.co.jp
norinagatatumi.bsky.social
イザベラ・ディオニシオ『悩んでもがいて、作家になった彼女たち』淡交社

瀬戸内寂聴、有吉佐和子、向田邦子に幸田文。明治、大正、昭和に活躍した作家たち、今から見れば古くて、堅苦しくて読みづらいなんて思ってない?
なんのなんの!今より遥かに女性対して圧力が厳しく、容赦ない時代、筆一本で身を立てた彼女たちの生き様は作品と同等、いやそれ以上に力強くて格好いい!と鼻息荒く作者がその魅力を語りまくった本。

軽快な文体で紹介される彼女たちの生き生きしてること。時折挟まれるその作家の海外での需要のされ方も興味深い。

有吉佐和子の『悪女について』は読もうと思います。

@libro.bsky.social
悩んでもがいて、作家になった彼女たち-淡交社 本のオンラインショップ
日本の近代から現代文学を彩った、タフな女の作家たちを検証! 「スキャンダル」「低収入独身」「親ガチャ」……現代人たちが抱えている問題について、近現代の女性作家たちも同じように 悩んでいた! 平安時代の女性作家を新たな視点で紹介し、多くの共感を得た『平安女子は、みんな必死で恋してた』(2020)。今度は近現代の女性の作家に迫る一冊。前著に劣らぬ新解釈とともに、「低収入」「親ガチャ」など、現代のさま...
www.book.tankosha.co.jp