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とりいとうか

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雑多ジャンルを駆け抜ける倫理観ゆるふわ案内人。混沌たる性癖から生まれた小説の数々は #とりいとらいぶらりにて。楽しんでね、僕は楽しい。

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とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 17d

雑多ジャンルを駆け抜ける倫理観ゆるふわ案内人、とりいくんです。
混沌たる性癖から生まれた小説の数々は #とりいとらいぶらりにて。
楽しんでね、僕は楽しい。作品紹介動画はこちら👇

Reposted by とりいとうか

雨夜 @amexfuri.work · 6d

【OcculTrigger／Mellow Respite】
03-揺れる。
#雨降ル夜のカタリゴト #創作小説
tales.note.com/squallxxx/wp...

03 - OcculTrigger/Unison | TALES 物語・小説

全員で夕飯を食べ、子供たちを順番に風呂に入れ、パジャマに着替えさせ、あれこれとやることをやらせて、就寝。　颯花は自分でやってくれるので助かるが、他の子どもたちはまだ５、６歳程度だ。一人でできることは限られている上、勝手気ままにはしゃぎ回る年頃でもある。この時間になれば職員もいない。いつも天弥一人では手が回らないため、そういったことは颯花が手伝ってくれているとのことだった。もう一人くらい常駐できる職...

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 7d

それぞれの続きおよびこれまでのお話はこちらから👇
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スラッシャーコメディ【Three Killers at Home】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。ホラー映画あるあるをはちゃめちゃに弄り倒してる、メタホラーコメディともいえる本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじここはホラーバース。世界中のホラー映画の「お約束」が現実になる場所。殺人鬼であるエリアス、フレッド、アンソニーの三人は――出遭う惨劇全てを、台無しにしていく。ホラー好きならクスリと笑える、苦手...

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 7d

【Three Killers at Home】3話連続更新、キラーたちと真面目なホラーの話。

#とりいとらいぶらり

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 7d

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スラッシャーコメディ【Three Killers at Home】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。ホラー映画あるあるをはちゃめちゃに弄り倒してる、メタホラーコメディともいえる本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじここはホラーバース。世界中のホラー映画の「お約束」が現実になる場所。殺人鬼であるエリアス、フレッド、アンソニーの三人は――出遭う惨劇全てを、台無しにしていく。ホラー好きならクスリと笑える、苦手...

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【Three Killers at Home】エレベーターの話、或いはアンガーマネジメントの話でもある。

#とりいとらいぶらり

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 8d

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スラッシャーコメディ【Three Killers at Home】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。ホラー映画あるあるをはちゃめちゃに弄り倒してる、メタホラーコメディともいえる本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじここはホラーバース。世界中のホラー映画の「お約束」が現実になる場所。殺人鬼であるエリアス、フレッド、アンソニーの三人は――出遭う惨劇全てを、台無しにしていく。ホラー好きならクスリと笑える、苦手...

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【Three Killers at Home】ジャンプスケアの話、或いはインターネットリテラシーの話でもある。

#とりいとらいぶらり

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スラッシャーコメディ【Three Killers at Home】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。ホラー映画あるあるをはちゃめちゃに弄り倒してる、メタホラーコメディともいえる本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじここはホラーバース。世界中のホラー映画の「お約束」が現実になる場所。殺人鬼であるエリアス、フレッド、アンソニーの三人は――出遭う惨劇全てを、台無しにしていく。ホラー好きならクスリと笑える、苦手...

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【Three Killers at Home】オブ・ザ・デッドの話、或いはバケモンにはバケモンをぶつけんだよという話でもある。

#とりいとらいぶらり

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雨夜 @amexfuri.work · 8d

【OcculTrigger／Mellow Respite】
01-打診。
#雨降ル夜のカタリゴト #創作小説
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01 - OcculTrigger/Unison | TALES 物語・小説

恭きょうの調子が芳しくない。　原因ははっきりしている。先日陵りょうの依頼で行った村で起きた一連の事件だ。そろそろ海外仕事に戻るための段取りを進める予定だったが、一旦全てキャンセルした。恭が今の状態では、家族と離れて過ごすのは少し不安が残る。自ら主治医のところで相談しつつ、少しずつ落ち着かせているとのことだったので、その治療が終わるまでは一旦日本に滞在することにした。「やっくんには甘いよねえ、御当主...

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 10d

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アンモラルファンタジー【止めるものがいない異世界の話】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。なろうあるあるをとことんまで僕風味に味つけしたらどうなるだろう、そんな冗談から始まった本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじ地獄に堕ちた大罪人たちが、何の因果か異世界に転移した。人類の進化を謳い、あらゆる倫理を無視する狂科学者サイエ。少女を弄ぶことを楽しく遊んでいると称する連続殺人鬼ツジ。金のためなら国す...

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 10d

【止めるものがいない異世界の話】シェフの話、或いは新章の話。

#とりいとらいぶらり

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 12d

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スラッシャーコメディ【Three Killers at Home】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。ホラー映画あるあるをはちゃめちゃに弄り倒してる、メタホラーコメディともいえる本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじここはホラーバース。世界中のホラー映画の「お約束」が現実になる場所。殺人鬼であるエリアス、フレッド、アンソニーの三人は――出遭う惨劇全てを、台無しにしていく。ホラー好きならクスリと笑える、苦手...

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 12d

【TKaH】サバイバーの話、或いはB面の話。(2/2)

#とりいとらいぶらり

さて、ＡＣＴ２９で出てきた、そして今はアンソニーの病院で「健康診断」中の陰陽師だが、彼はジャポンのサバイバーである。サバイバーとはキラーの対になる人間で、一時的ながらキラーを凌駕する能力を有することができる。
　この一時的というのが曲者で、本当にキラーと対峙している時だけという場合もあれば、断続的に能力が発現する場合もある。例の陰陽師は後者であろう、というのが自称主治医なアンソニーの見立てであった。

『ＡＣＴ３０　ＳＵＲＶＩＶＯＲ　ＶＯＲＴＥＸ』

　もちろんステイツにもサバイバーはいる。しかし、サバイバーは基本的にサバイバーであることを隠す。何故なら、サバイバーはキラーの天敵。自分はサバイバーですなんて喧伝したが最期である。
　何せサバイバーの能力は一時的なものだ。対してキラーは永続的。ならばキラーはサバイバーがサバイバーでなくなる時を狙い澄まして襲いかかればいい。そういうことだ。
「だァからごめんって言ってンだろ！」
「……どうやったらトイレがあんなに汚れるの」
「言ったじゃん何もしてないのに壊れたって！　マジで何もしてないのに便器から血が溢れてきたんだって！」
　往生際悪くジタバタ抵抗しているフレッドを、今まさに公園のゴミ箱へダンクシュートしようとしているエリアス。テレビの試運転をしていたあの日、フレッドは戻ってこなかった。理由は明白、トイレが血の海になったから。

エリアスは激怒した。必ずかの邪智暴虐のフレッドを除かねばならぬと決意した。だから今実行に移しているという訳だ。フレッドは何もしてないのに壊れたと抜かしているが、そんなもの言い訳の常套句だ。逆にゴミ箱に放り込むだけで済ませてやろうというのだから感謝してほしい。当日だったら確実に殺していた。
「うわーッ！！」
「キラーだ！！　キラーが出たぞーッ！！」
　と、そこで悲鳴やら絶叫やらが聞こえてきてエリアスはフレッドを手放した。芝生とはいえ結構な高さから地面に落とされたフレッドが抗議の呻き声を上げる。珍しい、ホラーバースの一般人は警戒心がないためあんな風に叫ぶことは稀だ。
「オレらのこと？」
「……違うと思う」
　立ち上がったフレッドが辺りを見回す。エリアスも視線だけを動かす。すると、公園の真ん中に不自然な人影が二つあった。
　一つは、件のキラーだろう。頭から爪先まで黒い布で覆われていて、ペストマスクらしい仮面をかぶっている。手に握っているのはスタンダードなナイフで、当然のように血まみれだ。
　そしてもう一つは、ナイフで切られたらしい片腕を庇いつつもキラーと対峙している女だ。キリッとまとめたポニーテール、気の強そうな顔にメリハリのついたナイスバディ。タンクトップに半ズボンなのはこういう場合のお約束だからだろうか。
「サバイバー？」
「……それは多分そう」
　女を指差し首を傾げたフレッドに、首を縦に振

るエリアス。女はどこからともなく取り出したバールを構え、ペストマスクと睨み合っている。どうやら女の能力は、武器を取り出すことらしい。物理法則を無視して。
「どうする、観て帰る？」
「……別にいい」
　どっちが生き残ろうが死のうが、エリアスには関係ない。突然の乱入者から視線を逸らしたエリアスは、肩を竦めて帰路につこうと、する姿を見たことでエリアスに許されたと油断したフレッドの頭に一発キツいのをお見舞いしたのであった。

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 12d

【TKaH】オンミョージの話、或いはA面の話。(1/2)

#とりいとらいぶらり

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「Three Killers at Home」、「とりいとうか」と記載されています。
画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Matthias Blonski on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

「……オンミョージ？」
　そういうことになった。

『ＡＣＴ２９　ＯＮ－ＭＹＯ　ＺＯＭＢＩＥ』

　何でもジャポンでは、キラー専門家というものがいるらしく、その中でも有名な人間がステイツのフォークロア系キラーに挑むらしい。エリアスの棲家こと廃墟のコテージ、鎮座しているブラウン管テレビから流れてくるのは、何ともエキゾチックな音楽である。
「オンミョージ、チャイナのスピリチュアル的思想であるゴギョーやジャポンの古い宗教であるシントーが混ざった結果生まれた職業ですね。シキガミと呼ばれる使い魔を操ったり、ゴーストを破壊したりするそうです」
「……何となく間違ってるような気がする」
　修理したテレビがちゃんと使えるか試運転しようぜ、と言い出したフレッドはトイレに行っていて不在である。汚したら殺すと言っておいたので大丈夫だとは思うが、このコテージ内を汚すのは大体がフレッドだ。次点は不法侵入者である。
『オンミョージの登場です！！』
　ワッとテレビから歓声が上がる。思わず肩が跳ねたエリアスだが、これはテレビの音声だと自分に言い聞かせて落ち着いた。テレビの中ではオリエンタルな衣装をまとった男が、木の棒に紙の束をくくりつけた何かを振り回している。
『ここにいるアクリョー、つまりは悪のゴーストですが、これは非常に強力な相手です。私も全力でかからなければならない、そのためには……』
「……あれ、何？」

「祭壇のようですね、恐らくはシントー由来のものではないかと。真ん中にあるのがオフダですね」
「……あの時ほしかったヤツだ」
　ジャポンのゴースト対策がステイツのキラーに効くかどうかはわからないが、オンミョージはそのオフダを恭しく手に取り、キラーの棲家へと向かっていく。その道すがらにどうにも見覚えがあって、エリアスは立ち上がった。
「どうかしたんですか？」
「……あれ、先生の家じゃないの」
　淡々とエリアスが問えば、あぁ、なんて気の抜けたアンソニーの返答。生放送だったんですね、とのほほんとした調子で言っているので、特に慌てる必要もないのかと腰を下ろす。本人がいいならいいのだ。
『おぉ……！！　この廃病院からは、とてつもなく邪悪な気配がする……！！』
『この精神病院は、勤めていた精神科医がキラーとなって、患者と看護士を皆殺しにしたという噂があります。今もなお、殺された患者たちの断末魔や看護士たちの恨みの声が聞こえてくると評判です！！』
『私が……私がこの怨念の連鎖を終わらせる！！　行きましょう！！』
「……って言ってるけど」
「まぁいいんじゃないですか？　噂と事実はいつだって仲違いしているものですし」
　本人がいいならいいのだ。完全にリラックスモードでテレビを眺めているアンソニーの表情に嘘はない。オンミョージとテレビクルーたちは、アンソニーの廃病院へと足を踏み入れていく。
『ぞ、ゾンビだと！？』

『おい、聞いてないぞこんな展開！！』
『早く逃げ……落とし穴！？』
　そうして当然のことながら、生きて帰ることは叶わなかった。白衣のゾンビたちに食い殺され、逃げた先で罠にかかり、カメラマンの手から離れたカメラが床に落ちて壊れ、映像が途切れる。
　そこでアンソニーは携帯電話、そう、スマートフォンではなくパカパカするタイプのガラパゴスケータイを取り出した。ピポピポとボタンを押し、電話をかけているようだ。
「もしもし？　はい、アンソニーです……はい、そうですか。じゃあそちらの方は拘束しておいてください。はい、それではまた後で」
　エリアスはその会話を聞くとはなしに聞きながら、フレッドの帰りが遅いことに気づいて首を傾げた。でもまぁ、いつかは戻ってくるだろう。エリアスはテレビのリモコンを手に取って、チャンネルを変えるのであった。

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 14d

これまでのお話はこちらから👇
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ライト文芸？【八樺礼音と奇妙な友人たち】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。【管理者がいない地獄の話】の現代パロディやりてぇな……の気持ち（と、ライト文芸のコンテストに出したかったの）で始めた本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじとある大学の近くに佇む喫茶店、Duomo。そこで働く店員の八樺礼音は、今日も個性豊かな常連客たちを迎える。人類の進化を研究していると嘯く大学教授の才一は奇抜...

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 14d

【八樺礼音と奇妙な友人たち】トリックの話、或いはトリックが過ぎる話。この後どちらも全部食べ切りましたとも。

#とりいとらいぶらり

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「八樺礼音と奇妙な友人たち」、「とりいとうか」と記載されています。
画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by rescueram3 on pixabay / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

「やっとあの忌々しい豆が品切れになったと聞いて」
「あ、先生、丁度いい所に」

　才一は即座に踵を返した。

　礼音が自分に対して晴れやかな笑顔を見せる時というのは、確率論的に表現すると七割ろくでもないことなので、才一の反応は自然なことだと才一自身は思っている。アイザックの存在を忘れていたためやたらと硬い胸板、もとい防刃チョッキで鼻先を痛打するはめになったのはいただけないが。

「ゴメンナサイ……」
「いや、あれは急に方向転換した先生が悪いですよ。そうですよね？」

　僅かばかり赤くなった鼻先を擦りつつ、才一は不服そうに唸りを上げた。誰が悪いかと言えば圧倒的に中佐殿だろう、と言いたいが今の礼音が持つ手札が判らない。ならば藪をつついて蛇を出す真似は慎んだ方が賢い選択だ。
　というようなことをもっと小難しく考えていた才一の前に差し出されたのはオレンジ色の炭酸水。ぱちぱち、しゅわしゅわ、微かな音を立てている。頂点にころんと盛られた薄黄色のアイスクリームには、黒いコウモリ型のクッキーが乗っていた。

「Ｈａｌｌｏｗｅｅｎ！」
「の、試作品です。アイザック君にはこちらを」
「ワーイ！」

子どものようにはしゃぐアイザックの前には、紫色の炭酸水。アイスクリームは灰色、乗せられているクッキーは黄色いカボチャ型。イタダキマース、と言うや否やアイスクリームを口に入れたアイザックが目を白黒させている。

「ナニ？　アジ？」
「色とは異なる味つけにしているので、サプライズ感があるでしょう？　アイザック君の方は、グレープソーダに柑橘系のアイス、カスタード味のクッキーです」

　ヘー、とわかったようなわかってないような声を上げているアイザックを横目に、では私の方はと首を傾げてみせた才一に対し、礼音は笑顔のまま才一の炭酸水を指差す。一口でも味わわなければ答えを言う気はないらしい。
　そんなに悪いことではない、今日は残り三割の方かと判断した才一は促されるままストローをくわえ、吸い、舌に炭酸水が到達した瞬間、理性でもって本能をぶちのめした。冷静を装いストローから唇を離し、口の中に残る液体を飲み下し、よし今日の実験体は中佐殿だと決意する。

「こ、れは……？」
「パイナップルソーダをベースに香りづけとしてキャロライナ・リーパーを一滴、ですが先生はお得意様なので奮発して三滴。上に乗せているミルクアイスを先に食べると舌の上に被膜ができて辛味が和らぐらしいですよ。お口直しにはグラブジャムンを参考にして作ったシュガー＆スパイスクッキーをどうぞ」

「馬鹿じゃないのか……！」

　そんな凶器に対してらしいですよレベルの、しかもヒントも何もない対抗策を乗せられてても意味がない。才一は心の底から礼音を罵倒した。
　しかもグラブジャムンといえばあれだ、インド原産の砂糖漬けドーナツ。辛味がしんどいなら甘味で殴れと？　単純な狂気的発想である。

「ソッチにもキョーミある」
「えぇ？　止めておいた方がいいですよ」
「他人には止めておいた方がいいというものを、仮にもお得意様と呼称する客に出すな！」

　だもので常識的なツッコミを入れてしまった。その間にアイザックが才一用の凶器を引き寄せ、アイスを食べてから炭酸水を飲む。一口、二口。不思議そうに首を傾げて三口目。

「舌が馬鹿になりますよ！？」
「味音痴なのか！？」

　驚いた礼音と才一が同時にツッコミを入れるも、アイザックは平然とした顔だ。

「ピリッてするけど、ヘーキ」
「えぇ……？　もしかして先生、大袈裟に反応しました？　そういう所が嫌なんですけど……」

　だから、礼音はその炭酸水をそのまま口にした。そして目を見開き、口を押さえ、ぐっと身を丸める。完全な対衝撃姿勢、死の危険に晒された軍人

の仕草だ。どうやらアイザック個人が辛味にやたら強かったというオチらしい。才一は、何なんだこの混沌は……と遠い目をしつつ、口直しにとクッキーを口にして、その舌と喉を焼く甘さに悶絶したのであった。

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 14d

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スラッシャーコメディ【Three Killers at Home】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。ホラー映画あるあるをはちゃめちゃに弄り倒してる、メタホラーコメディともいえる本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじここはホラーバース。世界中のホラー映画の「お約束」が現実になる場所。殺人鬼であるエリアス、フレッド、アンソニーの三人は――出遭う惨劇全てを、台無しにしていく。ホラー好きならクスリと笑える、苦手...

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 14d

【TKaH】お肉の話、或いは牛豚鶏はおいしくいただきましたという話。いや違う、豚と鶏はそっちの意味じゃねぇ。

#とりいとらいぶらり

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「Three Killers at Home」、「とりいとうか」と記載されています。
画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by PHOTO STOCKER / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

　いいお肉がたくさん手に入ったのでバーベキューをしませんか、なんて誘い文句、行くっきゃないでしょ。

『ＡＣＴ２８　ＢＢＱ　ＭＡＳＳＡＲＣ』

　ただし主催がアンソニーの場合を除く。フレッドは強くそう思ったのだが、エリアスが興味を持ってしまったので行かざるを得なかった。何で陰キャなのにちょいちょい陽キャのイベントに興味を持つのか、と思って聞いてみたことがあるのだが、エリアスはフレッドを指差しただけで、明確な答えは得られていない。

「いやぁ、今回の学会での収穫は多々ありましたが、これが一番の収穫でしたね！」

　ホクホク顔のアンソニーが言う。場所は湖に程近いキャンプ場で、周りにも家族連れだのカップルだのバカ騒ぎしているティーンだの、様々なグループがいてそれぞれに楽しんでいた。

「こちらはコーベビーフ、ジャポンの特定地域でしか入手できない貴重な牛肉です。一番の特徴はキメ細かな霜降りで、口の中でとろけてしまうそうですよ。ステイツで流通している牛肉は歯応え重視の赤身がほとんどなので、とても楽しみですね」

　クーラーボックスの中から取り出されたのは、脂の薄いピンク色が鮮やかな牛肉の塊。

「続いてこちらはジンファポーク、チャイナで育

成されている高級豚肉です。こちらも霜降りが入りやすい肉質が特徴ですが、何より旨味が強くてハムにすると絶品だそうです。今回は塩を強めに振って焼いてみましょうか」

　アンソニーの肉語りは止まる気配がなく、フレッドとエリアスは静聴するしかできない。牛肉の隣に並べられる豚肉の塊。

「そしてブレスチキン！　これは貴重ですよ、フレンチの特定地域で厳格に定められた飼育条件を満たした鶏肉だけがこの名を掲げることを許されているとか。こちらは調理にも細心の注意を払わなければならないので最初から最後まで私が焼きます」

　そして丸鶏。何やら仰々しい脚環やらラベルやらがゴテゴテとくっついている。エリアスはこっくりこっくりと居眠りしかけていて、フレッドもまた遠い目をして思考を放棄していた。

「で、こちらは……地域によって豚とも鶏とも呼ばれている肉です。犬や羊という人もいますね。肉質は個体によってまちまちなんですが、それが逆に面白いと界隈では人気です。味も個体によってかなり変わるんですが、ロマンチックな表現だとザクロに似ていると評する人もいますね」

　が、聞き捨てならない肉が通過していったので意識を引きずり戻す。アンソニーはその肉を丸鶏の隣に並べると、エプロンを装着した。ぶっちゃけ白衣の上にエプロンって何なんだよとツッコミ

を入れたいのだが、それよりも先にこちらを解決しなければならない。

「それ、何人分の肉？」
「三人で食べても余裕です、余ったら持って帰って食べてくださいね」
「そうじゃなくてェ」

　絶対理解しているくせにそう宣うアンソニーを軽く睨めば、あぁなんてわざとらしく声を上げた。

「なるほど、フレッド君はフードロス問題に関心があるんですね。いいことです、私もあの問題については色々と考えることがありまして……」

　てきぱきと肉の下処理をしながら語り始めるアンソニーに、犠牲者の人数を申告する気がないと判ったフレッドは天を仰ぐ。腹が立つ程、青く、澄んだ空だった。

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 15d

ここまで＋その他3つのお話を更新するよ（予告）。こちらからどうぞ👇
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スラッシャーコメディ【Three Killers at Home】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。ホラー映画あるあるをはちゃめちゃに弄り倒してる、メタホラーコメディともいえる本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじここはホラーバース。世界中のホラー映画の「お約束」が現実になる場所。殺人鬼であるエリアス、フレッド、アンソニーの三人は――出遭う惨劇全てを、台無しにしていく。ホラー好きならクスリと笑える、苦手...

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 15d

【TKaH】地獄の声の話、或いは深淵もそう思う話でもある。思わないで。

#とりいとらいぶらり

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「Three Killers at Home」、「とりいとうか」と記載されています。
画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Bryan Minear on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

「かつて有名な哲学者は『お前が長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくお前を見返すのだ』と記しましたが」
「それ絶対こーゆー意味じゃないと思うんだよな」
『深淵もそう思う』

『ＡＣＴ２５　ＨＥＬＬ　ＶＯＩＣＥ』

　エリアスはその穴を覗き込んだまま嫌そうな顔をした。穴の底は見えないが、しかし深淵がいることはわかる。ここは地獄につながっていると噂される穴、いわゆるフォークロア系キラーである。

「……深淵は勝手に話に入ってこないで」
『あ、傷ついた！　そっちが覗いてきたから見返しただけなのに！』
「確かにこういう……物理的？　な意味ではないと思います」
「だろ？」

　困惑しっぱなしのアンソニーに、何故かドヤ顔のフレッドが答える。立ち上がって膝についた土埃を払ったエリアスは、近くにあったシャベルでその穴を埋めようとした。が、穴に放り込んだ土はその中にいる深淵がペッペッと吐き戻してくるため徒労である。

「……どうするこれ、埋められない」
「まぁここからは動けないでしょうし、我々も噂になっていたキラーの姿？　は目視でき……たと仮定して、帰ってしまっていいんじゃないかと」
『覗くだけ覗いて何もせずに帰っちゃうの！？　タ

ダ見された！！　見るだけならタダなんて言葉が横行しているインターネット社会の弊害だ！！』
「ちょいちょい現代慣れしてて何かイヤだなコイツ」

　色々な意味で理解が追いついていないアンソニーの言葉が濁りに濁る。フレッドも想像より大分フランクな深淵に辟易気味だ。エリアスはシャベルでの作業を諦め、少し遠くの場所に置かれていた台車を使って大量の土砂を流し込み始める。

『あー！！　人でなしー！！　止めろー！！　生き埋めにされるー！！』
「そもそもコイツ生きてンの？」
「人でなしというのはお互い様では？」
「……あんまりうるさいと、埋め立てる」
「何ならもうやってんじゃん」

　ピーピーキャーキャーと泣き喚く声は、確かに無数の人間の声が重なったような、地獄で責め苦を味わっている人間たちの悲鳴のような、そんな感じではあるのだが、いかんせんノリが軽過ぎて深刻さがない。フレッドのツッコミも雑になるというものである。

『あーもー怒った！！　こちとら地獄につながってるんだからな！！　やっちゃえサタン！！』
「……え」

　まぁ、平たく言えば油断していたのだ。だから、対処が遅れた。穴からヌッと突き出された、巨大で真っ赤な、黒い鉤爪を備えた手。それは穴の一

番近くにいたエリアスをつかんで、穴の奥深くへ引きずり込んでしまった。
　後に残されたのは、ポカンと口を開けたままのフレッドと、いくらフォークロア系とはいえあまりにも非科学的な状況を引き起こした相手に対してフリーズしてしまったアンソニー。
　そして当然のことながら、そんな隙だらけの二人を見逃すキラーではなく。再びヌッと現れた手は、フレッドとアンソニーをも穴の中へと引きずり込んでいくのであった。

Reposted by とりいとうか

雨夜 @amexfuri.work · 15d

【OcculTrigger／Unison】
悪夢の話。
#雨降ル夜のカタリゴト #創作小説

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 15d

前後編の後半です。これまでのお話はこちらから👇
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スラッシャーコメディ【Three Killers at Home】｜とりいとうか

やぁ、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はこんにちは。とりいくんです。ホラー映画あるあるをはちゃめちゃに弄り倒してる、メタホラーコメディともいえる本作。楽しんでね、僕は楽しい。あらすじここはホラーバース。世界中のホラー映画の「お約束」が現実になる場所。殺人鬼であるエリアス、フレッド、アンソニーの三人は――出遭う惨劇全てを、台無しにしていく。ホラー好きならクスリと笑える、苦手...

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 15d

【TKaH】アイスクリームトラックの話、或いは胸元にあった社名の刺繡は切り裂かれている制服の話でもある。

#とりいとらいぶらり

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付記に「Three Killers at Home」、「とりいとうか」と記載されています。
画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Jason Blackeye on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

　夕暮れ時にだってキラーはいる。いつだって、どこにでも。だってキラーはキラーだから。でも、夕暮時には殺人犯もいる。だって夕暮れ時はどこもかしこも薄暗くて、隠し事をするのにぴったりだから。

『ＡＣＴ２４　ＢＩＴＴＥＲ　ＢＬＯＯＤ　ＳＷＥＥＴ　２』

　そんな薄暗い住宅街の細い路地を、フレッドは歩いていた。今日は一人だ。エリアスはコテージに帰ってきた気配もなかったし、アンソニーは学会がどうとか言っていた。キラーを参加させてくれる学会ってあるのだろうか、とフレッドは首を傾げたが、まぁアンソニーがそう言うならそうなのだろうと思っている。
　と、そこでオルゴールの音が耳に入った。先日、この少し先の広場で見かけたアイスクリームトラックがかけていた曲だ。時間も場所も、どこか調子外れなそれを不審に思ったフレッドが辺りを見回した、その時。

「……ア？」

　ギラギラと、夕日を反射して不気味に輝くアイスクリームトラック。その後方、化け物の口のようにぽっかりと開いた車体の奥に、少年を引きずり込もうとしているのはあの時見たトラックの主。少年は意識を失っているのかぐったりしていて、あぁ、オレも最期はあんな風に運ばれて、と思った瞬間にはもう駆け出していた。

「ハロー、クソサイコ、ご機嫌いかがァ？」

　辛うじてそんな台詞を捻り出せたのは、フレッドがキラーとしての矜持をギリギリで保ったから。しかし、その後はもうダメだった。普段なら自作の凶器を紹介して、観客ウケするよう派手に楽しく殺すのに。フレッドの拳が男の顔面に叩きつけられ、男は思わず少年の腕を離してしまった。
　だから、フレッドはそのまま男を車体の外へ蹴り出した。チラと見えたその奥には、無数の証拠が積まれている。子どもの服の切れ端やら、赤茶色に染まった鋸やら。気分が悪い、とても。これだからサイコ野郎は殺さなきゃいけないんだ。フレッドは地面に転がる男に似合いの道具はどれだろうと思いながら、一番手近にあった金槌を手にした。
　男はヒィヒィ泣きながら、腕だけで這って逃げようとしている。どうやら腰が抜けてしまったらしい。そんな男の、頭に一発。と思っていたのに男がジタバタ暴れていたせいで肩に当たってしまった。ゴキンと鈍い感触、男の絶叫。うるせェな、と思ったのでもう一度頭を狙って金槌を振り上げる。

「黙って死んでろ、変態野郎」

　しかしこちらを向いた男の目を見て、あ、と思った。コイツ、キラーになる。ってことはオレが親になンの？　男の血走った、濁った、それでいてギラギラと輝く目は人殺しをする時のキラーにとてもよく似ている。けれど、勢いよく振り下ろした金槌を止めるつもりはなかった。だって、

クソサイコは殺さなきゃいけない。だって、「フレッド」はサイコ野郎に殺されたのだから。

「……えい」

　バシンと横からの衝撃を受けて、フレッドはたたらを踏んだ。次いで、目の前で噴き上がった鮮血。何が、と思ってよくよく見れば、店主の頭がグチャグチャに潰れている。ぬち、と嫌な音とともに引き上げられたブーツ、から、視線を上げていけば、清掃員の制服を着たエリアスがいた。

「……汚い、もうこのブーツは捨てなきゃ」
「イヤイヤイヤ、待てよお前！？　マナーっつーかルール違反だろうがッ！！」

　靴の裏にこびりついた脳ミソの欠片を、心底嫌そうに見詰めていたエリアスに食ってかかるフレッド。そう、これはルール違反だ。複数のキラーが同じ場所にいるなら、先に殺し始めた方に獲物の優先権がある。それを横入りして殺すなんて、とんでもないことだ。
　しかし、エリアスはぶんぶんと首を横に振った。そうして腕を上げ、遠くを指差す。何だ、とその指の先を見てみれば、店主に引きずり込まれそうになっていた少年が悲鳴を上げて逃げていく所だった。

「……あの子から「おじさんを助けて」って言われた」
「ハ？」
「……だから、おじさんを助けた」

「ヤ、オレ二十六だし、まだおじさんじゃねェし」
「……俺が二十五だからおじさんだよ」
「それおかしくね？　まだまだ全然おじさんじゃねェよ」

　なんてやり取りを続ける間に、頭の中をのたくっていた怒りが消えてしまったフレッドは改めて男の死体を見下ろす。そう、死体だ。完全に死んでいる。キラーにはならなかった、否、なれなかった。そうこうする内に遠くから警察車両のサイレンが聞こえてきて、フレッドは肩を落としてその場を立ち去ることにしたのであった。

とりいとうか @gearfoxoo.bsky.social · 15d

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