ゆーしゃ🍔☔村在住【通販開始しました】
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ゆーしゃ🍔☔村在住【通販開始しました】
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20↑の文書くタイプの腐オタ。雑多。
ヘタ、ちせぼにお熱。⚠️R指定話も出るのでご注意。
無言フォロー失礼します🙇‍♀️
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晒すのはあまり良くないことだとは思うのですが私の垢を検索するとこの方になるのですみません💦
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August 12, 2025 at 5:43 AM
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11/11
「えぇぇ……？」 「そもそもあれだって持ってる意味ないだろ……っ！何大切に使ってんだよ俺がいるんだからもういらねぇじゃん！わざわざ修理なんかしなくたって俺が買ってやるって言ってんだからそれでいいだろーが！あいつの事が好きなのかよ！この俺様をスペアにしてたのか！？」 　 「浮気だ！」と、面倒臭い彼女のような事を豪語するアメリックにヒノモトは耐えきれず笑ってしまう。勿論、アメリックは笑い事ではないため機嫌は更に急降下していった。 　 「何笑ってんだよ……！俺は本気でお前のこと……っ」 「ごめんごめん。アメリックがこんな事言うなんて思いもよらなくてさ」 　 　ヒノモトは手を伸ばす。心が泣いているアメリックを宥めるように頭を撫でた。 　ようやく訪れたヒノモトからの触れ合いにアメリックは本当に泣きそうになる。そうして改めてヒノモトという存在が大きいのだと自覚した。 　 「試したくなったんだよ。あんたも俺によくやるだろ？万年筆が壊れた時、ふと思ったんだ。アメリックの中で俺ってどの位置なのかなーってさ」 「……結果は？」 「思った以上に重かった」 「ふーん。でも残念。別れる気なんてねぇから」 　 　ぐりぐりとヒノモトの肩口に頭を押し当てるア メリック。それらを甘受し、ヒノモトは幸せそうにはにかんだ。 　 「別れないよ」 「……ほんと？」 「うん」 「……じゃあキスして」 　 　ヒノモトは背後から抱きしめるアメリックの手を軽く叩く。そしてようやく力強い抱擁から開放されたヒノモトはくるりと後ろを向いた。 　薄暗がりで見えづらいが、アメリックのどこか物憂げな表情は普段の顔の良さと相まってヒノモトの胸を締め付ける。そっ……とアメリックの両頬に手を添えたヒノモトは触れるだけの軽い口付けをした。たったそれだけ。たったそれだけの触れ合いで二人の体はキャンプファイヤーのように燃え上がった。 　互いが互いを求め合い、今まで会話をしなかった分の穴埋めをするように抱き合う。冷めることの無い熱は様々な角度を変えながら口付けをより大胆なものにしていく。その際、アメリックはヒノモトの首筋に印を残した。 　 「ンんっ……ちょ、」 「俺を傷つけた罰」 「罰重っ……」 　 　満足気に言い放つアメリックと、そう言いながらもどこか満更でもないヒノモト。 　こうして長きに渡る騒動は甘さを残して幕を閉じる。 　結局のところ割を食うのは周囲の人達であり、ヒノモトの首筋に飾られた小さな赤い花を見てようやく呼吸が出来ると安堵したのだった――――。 　 　 　後日――――。 　ヒノモトは修理した万年筆をデスクの引き出しに大切に仕舞う。勿論、修理費はアメリックの全額負担だ。 　しかし、アメリックはそれについて何も語ることは無い。ヒノモトのネクタイに光るピンを見てご満悦だからだ。
May 7, 2025 at 12:54 PM
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るって言われても納得いかないと言うか。だから修理に出すって言ったらあの状態っス」 　 　ヒノモトがおどけたように肩を竦めて一瞥する。その視線の先には今にも食いつかんばかりの不機嫌なオーラをヒノモトと中国に向けていた。 　しかしヒノモトはどこか楽しげである。 　 「……かわいい」 　 　ポツリと零したヒノモトの言葉に中国は顰めっ面を露わにする。ヒノモトのさっきの言葉は嘘ではないだろうがそれはあくまで口実に過ぎなかった。 　ヒノモトの目的はイタズラ好きの彼氏に灸を据えること。そして、やられっぱなしは性にあわないとヒノモトはアメリックに口を聞かないと言うイタズラをしているのだ。 　ヤキモキするアメリックに、ヒノモトは何処かどろり……と溶けることなく留まり続ける甘い感情を心中の奥底に溜めていた。 　知ってか知らずか掌の上で転がされるアメリックをヒノモトはどこか満足気に眺める。まんまと万年筆はいい餌にされてしまったのだ。 　 「私を巻き込んでイチャつくのやめてもらっていいです？」 「え～～」 「なんですその顔」 「嬉しかったでしょう？」 　 　ヘラりと笑うその顔が憎たらしいと中国はヒノ モトの鼻をつまむ。「ふきゅ」等と可愛い音を鳴らすのも腹立たしいが、ヒノモトの言う通り、思い出を残してくれていたと少しばかり嬉しかった事実もまた、腹立たしかった。 　それでもにこにこと笑うヒノモトに中国は何度目か分からないため息を吐いた。 　 「幸せ逃げちゃいますよ？」 「うるっさい」 「や～センパイ怖いっ」 「言ってなさい。今度の出張土産美味しい蒸しパンを買ってこようと思ってましたが……ヒノモトさん、いらないみたい」 「ごめんなさいごめんなさい！もうダシにしません！」 　 　中国はしてやったりと笑う。ヒノモトは涙目で中国を見つめるが果たして効果はあるのやら。ヒノモトの運命や如何に――――。 　 　 　中国は自分のデスクに戻る際、アメリックの方を一瞥する。二人の会話が余程癇に障ったのだろう。恨めしそうな顔をして未だ中国を睨みつけている。色々と制限されて可哀想な猛獣を中国は哀れんだ。 　――同情しますよ。……ほんとうに。 　中国はアメリックと目が合うと口元を袖で隠して鼻で笑って見せた。 　 　 　＊　＊　＊ 　 　 　オフィスの通路を歩いていたヒノモトの視界が一瞬にして真っ暗になった。 　誰かが手で視界を隠したという訳ではなく、横からヒノモトを引っ張り暗がりの部屋に引き入れ抱きしめられていると言うのが正しいだろう。 　そして、ヒノモトは引きずり込んだ犯人を知っている。何度も嗅いだことのある女ウケのいい爽やかで甘い香りは、アメリックがよく好んで身につける香水の匂いだからだ。 　ヒノモトの思う通り、犯人はアメリックである。アメリックはいくつかある仮眠室の一つにヒノモトを引き込んで正面からヒノモトを抱きしめると、その肩口にぐりぐりと頭を押し付けた。久しぶりに触れ、感じる温もりにアメリックはひどく安心する。消え失せまいとその抱擁は無意識に強くなった。 　 「誰」 　 　それでも知らないフリをして抱擁から逃れようとするヒノモトにアメリックは抱きしめる力をより一層強くする。 　 「もう……いいだろ……」 　 　掠れた声に普段の覇気はなかった。アメリックも意地を張っていたところがあった。そっちがその気なら……と、最初は息巻いていたが、後々不安になって結局根負けしたのだ。 　ヒノモトはピタリと抵抗を止める。大袈裟にた め息を吐いてみれば更に力は強まった。ぐっ……と、ヒノモトは息が詰まる。 　 「苦しい。離せよ」 「やだ」 「やだじゃなくて……ほんと、息できない……」 「じゃあキスして」 「嫌」 　 　アメリックの言葉をヒノモトは拒む。それが全てを否定されたような気がしてヒノモトには見えないがアメリックは顔を歪めた。 　 「嫌って言うな……！」 「嫌なものは嫌だろ。もう……いい加減、苦しいから……」 「っ……俺はもうずっと前から息出来てない！」 　 　アメリックの絞り出すような声にヒノモトは意外だと思った。アメリックがここまで追い詰められている所を見たことがなかったからだ。 　こんな事になるくらい口を聞かなかったこともなければ、喧嘩をしたこともない。大体ヒノモトが折れてしまい、いつもなあなあにしてきたのが要因であるが…… 　今まで堰き止めていたものが一気に崩壊する。アメリックは思ったことをそのままヒノモトへとぶつけた。 　 「ふざけんな……っ、ふざけんなふざけんな……！俺とはぜんっぜんしゃべらないくせに他の奴らとはベラベラ喋りやがって……！！浮気だ！！」
May 7, 2025 at 12:54 PM
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お相子様　アメヒノ＋華　4/11
SUPER COMIC CITY32-Day1-にて配布しましたアメヒノです。
とても☔が女々しくなりました。でも好なので許してください🙇‍♀️
#新書ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/shinsho/shinsho_bg.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「お相子様」、「SUPERCOMICCITY32 無配」と記載されています。 画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by John Jennings on Unsplash / フォント：しっぽり明朝Medium 以下は本文の内容です。 　 　お相子様（アメヒノ＋華） 　 　オフィス地球は今、この世の地獄のようにピリついていた――――。 　 「ヒノモトさん」 　ヒノモトは声のした方へ顔を向ける。声をかけたのは隣人である中国だった。ただ、いつもよりもだいぶ大人しい声量にヒノモトは首を傾げた。 　 「中国さん。どうしました？」 「どうしました？……じゃありませんよ全く……いい加減にして貰えます？」 「はあ」 　 　中国がヒノモトのデスクへと赴き苦言を呈すも、そのヒノモト本人は全くもって検討が付かず腑抜けた声を漏らす。それに呆れた中国はため息を吐いた。 　 「この状況、雰囲気……〝あなた方のせい〟でしょう？」 　 　十人十色。多種多様。そんな言葉が似合う出世組達が集うこの部署は和気藹々……とはいかないが、落ち着いた雰囲気で労働環境は良い方であった。 　しかし、かれこれ二週間。かつてないほどに張りつめた空気を纏っている。それは以前、周りを も巻き込んで起こったゴタゴタの比ではないほどに。 　そしてこの空気を作り出しているのは、ヒノモトのデスクから少しばかりスペースを空けた隣人……現オフィス地球の覇権、アメリックが原因だった。 　アメリックは怒りの感情を隠しもせず仕事をしている。その勢いと、ビリビリと肌を刺すような無言の圧は何も知らない周りをも圧倒し、まさに触らぬ神に祟りなしの状態だった。 　何をしても怒りを買うような状態のアメリックであるが、中国はそんな状況を作ったのはアメリック本人と言うよりも、その恋人であるヒノモトが原因だと推察したのだ。もちろん、それにはしっかりとした理由がある。 　アメリックの射抜くような青い瞳はヒノモトと、その隣である中国の方に向いていたのだ。 　仕事で対峙する事があるためそんな視線を一々気にすることも無いのだが、中国からそれに対しアメリックに指摘すれば「別に」「何も」等と返ってきたため逆に面食らうことになる。 　――普段なら文句の一つや二つ出てくるんですけどねぇ…… 　現覇権である男を追い越したい中国はアメリックの性格や特性を知っていた。故に煮え切らない彼に疑問を持ったのだ。 　そこで次に出てくるのがヒノモトの存在である。 　ヒノモトがアメリックのそう言った態度に〝怯えていないこと〟が中国、否、他社員からしてみれば恐怖なのだ。 　アメリックとヒノモトの間に何かあった――――。そう思われるのは当然だった。 　 「ヒノモトさんが彼（アレ）と喧嘩するのは勝手ですが私を巻き込まないで貰えます？」 　 　中国がそう言うとヒノモトは自身の口元に手を添える。それは明らかに上がっている口角を隠すためだった。勿論バレているため中国は眉を顰めた。 　 「ちょっとあなたねぇ……」 「いや、あの……ほんと……ごめんなさい。……ふふ」 「堪えきれてないじゃないですか。全く……あまり深く聞かないでおこうかとも思いましたが、これはもう説明責任を果たしてもらいましょうか」 　 　中国がそう言うとヒノモトは徐にデスクの引き出しを開けた。 　取りだしたのはペン先の折れた一本の壊れた万年筆。その何の変哲もない万年筆だが中国には見覚えがあった。 　それは数年前……まだ新米だったヒノモトの誕生日に中国が贈った物だからだ。 　 「あなたそれ……」 「壊れちゃいました。すいません」 「そりゃあ使ってたら壊れもしますけど……まだ持っていたとは」 「へへ、物持ちいい方なんで」 　 　笑うヒノモトとは裏腹に中国の心境は複雑なものだった。 　過去と今のヒノモトは比べ物にならないほど別人のように変わってしまっている。それは時代の流れ故に当然であるのだが、どうにも不変なものもある。それが垣間見えた瞬間、ヒノモトをただの同僚と見ることが出来なかったあの頃に戻った様な気がしてしまうのだ。中国は癒えない痛みに内心顔を顰めていた。 　 「……それで？　それを壊したのはアメリカさんという解釈で間違いないです？」 「おおさすが中国さん。話が早い」 　 　偶然だと言うが果たして――――。ヒノモトがデスクを留守にしてる間、アメリックがやって来てその万年筆を壊したらしい。 　暇つぶしにペン回しをしていて落としてしまった。と、アメリックは言ったが、ヒノモト曰くそれが本当かは謎だと言う。実際問題、落とした程度で壊れるとは中国も思えなかったが、アメリックが言い張るのでヒノモトはそれ以上の追及をしなかった。 　中国は呆れてため息が出る。 　 「新しいものを買えばいいではないですか。……と言うかあの人ならその提案をしたのでは？」 「えぇ、まあ」 「では何故……」 　 　中国の問にヒノモトは困ったように眉を下げた。 　 「これは一応俺にとっては結構思い出深い物なんスよ。だからそう簡単に新しいものを買ってや
May 7, 2025 at 12:53 PM
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名前で買った。
言うまでもなかろう(超美味)
May 3, 2025 at 1:22 PM
yusya1567.bsky.social
ぐう美味😋
May 3, 2025 at 10:07 AM
yusya1567.bsky.social
カードケース無料のやつ作ったけど可愛い♥️
May 2, 2025 at 11:09 PM
yusya1567.bsky.social
美味
May 2, 2025 at 8:46 AM
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再販分が余っていたので持っていきます！
よろしくお願いします🙇‍♀️

【Rainy Day】
A6(文庫本サイズ)
108ページ
800円(会場価格)
☔視点のアメヒノオンリー短編集本です。
※R18指定です。年齢確認のご協力お願いいたします。

【11/23 スパーク】Rainy Day【新刊サンプル】 | 勇者 #pixiv www.pixiv.net/novel/show.p...
April 26, 2025 at 11:09 AM
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SUPER COMIC CITY32-day1-
お品書きです！
よろしくお願いします🙇‍♀️
April 26, 2025 at 10:48 AM
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メイドは出なかったけどニッコリ☺️
しかもミニ缶バッジ☔だった……愛
April 12, 2025 at 11:45 AM
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　 　＊　＊　＊ 　 「お前ネイルとかしてたっけ」 　 　忙しないオフィス内で何故かその言葉だけが切り取られたように聞こえてきた。 　その発言の主がいけ好かない男だったからだろうか。はたまた、その発言をさせた者に心当たりがあったからだろうか。本当に地獄耳過ぎて自分が嫌になる。 　しかしそれでも嫌に入ってくる会話。気にしていないふりをしつつ耳をそばだてる。二人は商談に行くのかテキパキと必要な荷物をまとめているようだった。 　 「いや、普段はしない。今日は特別。成功の魔法って言うのかな。願掛けみたいなもんだよ」 「意外だな」 「そうか？……まぁ、あんたといる時は願掛けなんてしなくても済むからな」 「んだよ……今日の俺は神がいなきゃ役立たずってか？」 「あぁ違う、ごめんごめん。言い方悪かった」 　 　凡そ悪いだなんて思っていない言葉と、それで許されていると思う図々しい脳内は相変わらずだ。それは恐らくその偽りの謝罪をされた男も理解しているのだろう。奴はそのネイルの意味を催促した。 　 「今日は本当に大事なやつだから気合い入れよう と思ってさ。自分への喝」 「ふぅん」 「信じてないな？」 「いいや、信じてるぜ相棒。だったら俺にもそのガンカケとやらをしてくれよ」 　 　その言葉に彼は……ヒノモトさんは笑う。 　 「残念。これは俺仕様の特別なやつだからあんたには効かない」 　 「ケチな奴だな！」なんて言葉が遠ざかる。再び耳には有象無象な喧騒が飛び交っていた。 　 　――ほんっと……とんでもない人ですねあの人 　 　口元を、否、顔を手で覆う。図太くて図々しいと思うのに、その言葉の意味は私と彼にしか分からない。そう思うだけで緩む口元や頬がどうしても抑えきれなかった。 　 　あぁ、本当に嫌になる。 　貴方に振り回されている自分が。何より、それも良しと思っている己が。
January 16, 2025 at 3:58 AM
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【私と貴方のおまじない】4/6 華→ヒノ。
とあるマニキュアの話。
こんなのあったらいいなって勝手に妄想したものです。
※アメヒノ要素ありますがどちらかと言うとブロマンスです。 #新書ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/shinsho/shinsho_bg.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「私と貴方のおまじない」、「ゆーしゃ」と記載されています。 画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Iva Balk on pixabay / フォント：しっぽり明朝Medium 以下は本文の内容です。 　 　スーッ……ハァー……ッ 　 　囲われた衝立。その中で小さな丸い頭が上下に揺れるほど深く、深く息を吸い込む。それは隣のデスクにいる私の元まで聞こえて来るほどに、だ。普段よりも忙しない彼の様子を見に席を立つ。 　 「ヒノモトさんどうしたんです？」 　 　私の声に深呼吸を止めて振り返ったヒノモトさんは深淵のような黒い瞳を揺らしていた。 　 「中国さん……ッ！！」 　 　今にも泣き出しそうな声に本当にどうしたのかと尋ねると、ヒノモトさんは震える手を胸元でぎゅっと握った。 　 「ご、午後からプレゼンがあるんスけど凄く怖くて厳しいって有名な社員さんがお相手らしくて……俺、凄く不安で……ッ」 　 　山積みの資料から覗く企画書に記載された会社名に「あぁ……」と、声を漏らす。 　一向に首を縦に振らないどころか心を折られて帰ってくるオフィスの社員達を何人も産んだ鉄壁の会社だ。まだまだ新人であるヒノモトさんには早いような気もするが、最早通過儀礼のようなものでもありここで失敗しても並大抵のことならば動じない強さも得られるだろう。これも学びである。 　だがそんなこと、当人には知ったことでは無い。 　 「落ち着きなさい」 　 　胸元で強く握る手に触れる。酷く冷たくなっている手を温めるように優しく撫でた。 　 「この日の為にたくさん準備をしてきたのでしょう？でしたらあなたなら大丈夫です」 「でも……っ」 「そんなに不安なのですか？」 「それはもう……！不安で不安で……！！不安すぎて……今日あんまり、眠れなかったですし……」 「ふむ。そうですか……でしたらこちらに来なさい」 　 　ヒノモトさんの手を取って己のデスクへと向かう。頭にハテナを浮かべる彼を予備の椅子に座らせてその隣に自分も座った。勿論、ヒノモトさんは何が起こるのか分からないと不思議そうな顔でこちらを伺う。その顔に私は微笑んだ。 　 「今からあなたにプレゼンが成功する〝特別〟なおまじないをかけてあげます」 「とくべつなおまじない？」 「えぇ。ですがとても強力なおまじないです。ですので無理には致しません。絶対にそのプレゼンを成功させたいと言う気持ちがあるなら……」 「成功させたいです！」 　 　食い気味に前のめりになるヒノモトさんに笑う。彼は大声を出したと少し恥ずかしそうに口元を手 で隠した。 　 「手をここに」 　 　デスクを軽く叩く。言われるがままにヒノモトさんは手を差し出した。それを横目に見てデスクの奥にあるポーチを漁る。取り出したのは透明な液体の入った瓶……ベースコートだ。それを見たヒノモトさんは目を丸くする。 　 「マニキュアっスか……？」 「えぇ」 「えっと……」 「塗ってあげますから動かないように」 　 　そう言うとヒノモトさんは律儀に背筋まで伸ばして固まる。その姿にくすりと笑いながら差し出された手の先、彼の爪に少しずつゆっくりと筆を滑らせた。 　 「大事な商談やプレゼンの時……」 「？」 「自分は強いのだと思いながらこうして塗るんです。自分なら出来る。上手くいく。こうすると気持ちが落ち着いて強い気持ちで臨めます」 「中国さんが……？」 「はい」 　 　ヒノモトさんはパチリと目を瞬かせる。 　 「今も？」 「勿論」 「意外、です……」 「そうですか？」 「はい。いつも堂々してしてるから……」 「それは恐らくこのおまじないのおかげですね。ほら、効果覿面でしょう？皆さんには内緒ですよ。私と、あなただけ」 「はい……！！」 　 　そう笑うとヒノモトさんにもようやくいつもの笑顔が生まれた。こちらまで絆されてしまいそうになる笑みだ。 　 「はい、出来ました。先輩同僚である私から貴方へのおまじないです」 「わぁ……！」 　 　つやつやと輝く自分の爪を同じように輝く瞳で見つめる。 　 「ヒノモトさんならやれます。あなたって結構図太いんですから」 「それ褒めてます？」 「さぁ。どうでしょうね」 　 「ひどいです」などとヒノモトさんは言うが、滲み出そうな涙は疾うに消え去り一面に花を咲かせていた。 　 　その後、新入社員が難攻不落の牙城を落としたと、暫く社内はその話で持ちきりだった――――。 　
January 16, 2025 at 3:58 AM
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お昼ご飯めっちゃ美味しかったけど量間違えた😋
January 13, 2025 at 4:45 AM
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6/6
日の出行くって言ってんのに」 　 　俺の言葉一つ一つに頷くみたいに優しい口付けが降り注ぐ。何度も、何度も。 　 「ハハっ。ちゃんと朝起こしてくれよ。お前のグランパ酒強すぎだからぜってー起きれねぇわ」 「ふふ。うん」 「で、お前は？」 「え？」 「お前はどーなんだよ」 　 　じぃっと青い瞳に見つめられる。それだけで蕩けてしまうほどの熱視線に思わず吐息を漏らす。逃げられない。離れられない。この熱をもっと、もっと…… 　 「……楽しみ、だったよ。またアメリックと一緒に正月を……特別な日を過ごせるの。すごく……すごく楽しみだった」 　 　特に今年は。 　そう言うとアメリックは吹き出してそして、強く抱き寄せられ重なった。比べ物にならないほど熱く、焦がれる衝撃と衝動にあてられる。気づけば二人して熱に身を委ねて貪り尽くした。 　 「もうすこしだけ」 「すこしだけ……？」 「ああ」 　 　耳元で囁かれる甘い声に深く息を吐く。 　 「……少しだけ、なら」 　 　ゆっくりと背もたれが下がって視界が狭くなり、ぎらぎらと燃え滾るアメリックしか映らなくなる。 　少し戯れた頃には差し込む日差しはとうに暗くなり、ほんのりと暖かった缶コーヒーもすっかり冷たくなっていた。
December 31, 2024 at 9:52 PM
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特別なHappy New Year　アメヒノ　4/6
年末年始を一緒に過ごすアメヒノの話。
#新書ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/shinsho/shinsho_bg.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「特別なHappy New Year」、「ゆーしゃ」と記載されています。 画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Zoltan Tasi on Unsplash / フォント：しっぽり明朝Medium 以下は本文の内容です。 　 「もぉほんっと助かっちゃ～う♡」 　 　母の高く甘い声を出す姿をこの歳になって見るとは思わずげんなりする。それが祖母も一緒になっているだから尚更。二人のそんな姿を見て、父も祖父も遠い目をして人間は外面ではなく中身だなんだと泣いていた。 　 「これくらいなんて事ないですよ」 　 　そんな事など露知らず、キラキラと輝きを放出し満面の笑みを女になった二人に向けるアメリックは手に持っていた洗濯乾燥済の大量のシーツや布団類を畳へ下ろした。 　十二月も下旬。新年までもう数日と迫るこの時期。我が家では恒例の大掃除が始まる時期だった。 　新年の新しい空気の入れ替え。それに合わせ、俺の実家は本家のため親戚一同の顔見せもあり、家族総出でこの行事に挑むのだがこれまた大変で…… 　細かな掃除で出たゴミ出しや家具の移動、普段あまり掃除しない換気扇や天井照明等々。大きく重いものや手が届かない場所の掃除はほんっと一苦労だった。 　だがしかし、我が家に救世主が現る。 　アメリックが我が家の大掃除に参戦してくれることになったのだ。 　発端は去年。アメリックが日本の正月を楽しみたい！と言うので共に帰省した事が始まりだった。 　この時期とは言えお客様のため掃除を終えていた客間に通していたのだが「これも文化だろ？」 と、アメリックは進んで大掃除を手伝ってくれたのだ。身長も力もあるアメリックは猫の手どころか百人力で……本当に、この時ばかりは彼が神に見えた。 　そうして今年。帰省する旨の電話の際、母が遠慮がちにアメリックは来るのかと尋ねてくるのでダメ元でその話をすれば、アメリックはキョトンとした顔で「そのつもりだった」と告げられ、今年も我が家の正月にアメリックがやって来たのだった――――。 　 　 　 　＊　＊　＊ 　 　俺の手に大きな買い物が袋一つ。隣を歩くアメリックの手にも同じものが二つ。地元のショッピングモールの食品売り場で例年通り年越し蕎麦やお雑煮、集まりの際に食べるおせちの食材の買い出しに出ていた。 　年末年始の準備に向けて人も多く賑わいを見せる店内は車を停める場所もない位だ。それ故に立体駐車場の屋上に車を停めたのもあってさすがに疲労困憊だった。 　日も落ち始めて青空に朱が混ざり合い窓に差し込む。少し休憩だと荷物を乗せた車の中でそれを眺めながらほっと一息吐いた。 　 「悪いな。大掃除に買い出しまで付き合わせて」 「気にすんな」 　 　アメリックはいい笑顔で買ってきた缶コーヒーを飲む。手渡されたそれは少し冷めてしまっているが関係なかった。少し甘くてほろ苦い味が心を落ち着かせる。 　ふと、顔の近くに気配を感じて横を向くと柔らかな感触が頬に軽く触れた。少し思考が止まり理解した瞬間、体に火がついたみたいに熱くなる。 　 「な゛ぁっ……！！」 　 　言葉に詰まる。だけど、そんなのお構い無しにアメリックは俺の額に自身の額をくっつけた。 　 「あったけぇ」 　 　車中とは言え恥ずかしい。けれど、アメリックの嬉しそうな顔を見ると、まぁいいか。なんて、流されてしまいそうになる。 　額から伝わる熱と間近に感じる吐息。聞かれてしまっているんじゃないかと疑う程に大きく逸る鼓動。 　ゆっくりと目を閉じる。暫くして重なる影は舞い落ちる雪のように静かに溶け合う。さっき飲んだコーヒーの苦味が少し残っていた。 　 「俺達がクリスマスを家族と過ごすように、ヒノモト達は正月を家族と過ごすんだろ？だったら……俺もその輪に入りてぇから」 　 　特に今年は――――。 　そう告げるアメリックの頬がほんのりと色付く。それが余計に言葉の意味を強く意識させる。 　今年のクリスマスパーティーに俺は彼等の家族と一緒に過ごさせて貰った。会社で顔馴染みと言えどそんな家族団欒の場に自分が入ってしまって申し訳ない気持ちだったが、彼等は優しく受け入れてくれた。それはとても嬉しかったし、皆に……特にアメリックに認められた様な気持ちになった。 　だとするならば俺もあんたに――――。 　 「皆アンタが来るの楽しみにしてたよ。うちのばあ様も母さんもアンタが来る時はいつも張り切ってるし。俺あんま飲めないからさ。父さんや爺様も一緒に酒が飲めるって楽しみにしてた。明日初
December 31, 2024 at 9:52 PM
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8/8
※不備があったので再投稿しました。
反応してくれた方ありがとうございます🙇‍♀️
　――あぁ……マジのやつだ。これ。 　普段そこまで表情を崩さない男がここにはいない誰かを想い、優しく微笑む姿はまさに恋をする男だった。こちらまで心臓が締め付けられる程にそれは焦がれ燃えていた。 　 「あいつは食べるのが好きなんだ。でも俺はあまりそこに強くはないから二人ならと思って」 　 　食べるのが好きな頑固者。女性に対してネーデルがあいつなんて使うとは思えない――――。 　そうして最近またネーデルがそいつに話しかけている姿を見かけるようになったのはオレの中で一人しかいなかった。 　 「あー……ベル、ボクわかったかも」 「ルクセン。オレも」 　 　ネーデルの近くにいたからこそ分かる心境。蘇ってくるあの日の思い出。ネーデルが珍しく気を落として慰めたのを昨日のように思い出す。ルクセンも分かったようで何処と無く表情が柔らかくなる。正直言えば……漸く自覚したかって感じ。 　 「そういう訳だから」 「……因みにお値段は？」 「気にしない」 　 　笑いながら冗談じみた会話に見えてその実どケチなネーデルの本気が見えた瞬間だった。 　 　 　＊　＊　＊　＊　＊ 　 　お気に入りのイタリアンの店でヒノモトとランチをすることになった。ネーデルのおかげか大体ヒノモトの好みは把握しているので店選びは成功したらしい。目の前で美味そうにパスタを食べる姿は確かに豪快で気持ちがいい。 　 「あの……ベルギーさんに相談が」 「ん？オレに？」 「オランダさんのことでちょっと……」 　 　暫く食事と会話を楽しんでリラックスしてきた頃。ヒノモトが少し改まったように話を持ちかけてきた。 　オランダ……そう呼ぶのは今やヒノモトだけだろう。ネーデルが根負けした姿を想像して可笑しくなる。それと同時に誰一人呼ぶことの無いそれに満更では無い顔も……思い浮かぶ。 　 「ネーデルのことなら色々知ってるぜ」 　 　そう言うとヒノモトは安心したように、そして恥ずかしそうにはにかみながら笑った。 　 「オランダさんに日頃の感謝を込めてクリスマスプレゼントを渡したいんスけど……ぶっちゃけ、手作りって重いっスかね」 「ぅえ？」 　 　思わず素っ頓狂な声が出る。ヒノモトはそれを 悪い意味で捉えてしまったようで途端に眉を下げて「やっぱり何も無い」などと撤回し始めた。オレはそれを阻止する。 　 「ちょい待。オレが悪かったけど悪い意味で捉えるのは違う！びっくりしたんだよ……だって、正直な話買えば早くない？」 　 　そいつの事を思って贈るのならそれは立派なプレゼントだ。そこに優劣など無い。しかしそれでも手作りしたいと思うその気持ちが知りたかった。野暮な話なのかもしれない。でも、それでも…… 　 「勿論既製品を渡した方がいいと思って選んではいたんスけどなかなかこれって言うのがなくて……それに色々商品を見てたら素敵な色の毛糸を見つけてしまって。こっちのがより気持ち伝わるかなって思ったら自分で作るかーってなったんスけど……ただの友人なのに手作りなんて重すぎるよなって……」 「でも渡したい？」 　 　俺の言葉に悩みに悩んで唸る男は赤に染まった頬をそのままに首を縦に振る。これはもう……もう……っ！！ハレルヤ！！ 　オレは満面の笑みで親指を立てた。 　 「全然ＯＫ！むしろネーデル喜ぶ！」 「ほ、ほんとスか？」 「ほんとほんと！オレを信じて！」 　 　そうして後日、アンバーと白が交互に編み込ま れた手編みのマフラーを首元に巻いて出社して来たネーデルを見てオレはその大きな背中を叩いたのだった。
December 10, 2024 at 1:19 PM
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少し早いクリスマス 4/8 🌷→←☀️
両片思いの二人をアシストするベルさんのお話。
最新話で滾った気持ちをそのままに書いたのでとても拙いです。ルクセンくんの一人称やお互いの呼び方は全て妄想ですので悪しからず💦 #新書ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/shinsho/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「少し早いクリスマスプレゼント」、「ゆーしゃ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　 　とある昼下がり。 　外回りを終えて帰社の途中、見覚えのある背中が見えた。 　ブルーの上着（ハンテンって言うらしい）に髪を丸く一つにまとめたちょっと猫背の男。オレは軽く駆け足で近寄る。 　 「お疲れヒノモト～」 　 　声をかけると少し肩が揺れた後、いつもの草臥れた顔が御目見になった。 　 「あ、ベルギーさん。お疲れ様です」 「そっちも今帰り？なーんか疲れてるな」 「中々相手側が折れてくれなくて……ハハハ」 　 　色々あるのだろう。忙しいのはお互い様だ。 　そんな苦労を労うにはやっぱり美味いもんを食べる事だとオレは思っている。身につけている腕時計で時間を確認すればランチにはちょうど良かった。 　 「ヒノモト腹減ってない？ランチ行こうよ」 　 　そう言うとあからさまに顔色が良くなった気がして思わず笑いが出る。よっぽどお腹が空いていたのか。 　オレは素早くスマホでＳＮＳを開く。食に関してはオレも結構うるさい方で、メモ代わりに気に入った店は自分のアカウントで投稿をしているのだ。お互いに好きそうなものをチョイスしていく。 　 「今の気分は何系？あっ、こことかどう？チャイニーズ系で最近行ったんだけどヒノモト凝ったのとか好きだよな。創作料理の店なんだけど、あー……でもここちょっと変に辛いのとかあるからな……あとは……和食ならここ。フレンチ……よりはイタリアン派だったっけ？うーん……こことかど？」 　 　何店舗か店の写真を見せるも返事が返って来ない。不思議に思ってヒノモトを見るとポカンと口を開けていた。 　 「どうした？」 「あ、いや……」 「あーごめん……圧強すぎた？」 　 　こだわるあまりちょっと熱弁がすぎると部下から怒られたばかりだったのだけれど。だがヒノモトはそうでは無いと首を横に振った。 　 「す、すいません……なんかびっくりしちゃって」 「びっくり？」 「俺の好みよく知ってんなぁって」 　 　ぎくり。その言葉に今度はオレがしどろもどろになる。なんと表現していいのやら分からずなんだかいたたまれなくて適当にその場は誤魔化して事なきを得たが、深く、大きく息を吐いた。 　――そりゃあまぁ……なぁ……？ 　思い浮かぶのは見たことがない親友の姿だった。 　 　 　～数ヶ月前～ 　 「何か良い感じの店知らないか」 　 　ルクセンとネーデルはオフィス内でも外でも一番信頼出来る親友だ。そんな奴らといつもの様に共同の仕事をしている時だった。 　社内情勢や取引先等の話を詰め終えて少し雑談でも。そんな雰囲気の流れで喋っていると寡黙なネーデルが突然そんな事を言い出したのだ。 　聞き間違いかと思った言葉はそうでは無いらしい。その証拠に隣にいたルクセンも俺の顔を見て固まっていた。普段言わない言葉を言い放った張本人はオレ達の反応に渋い顔をした。……余計に顔が怖い。 　 「二人して失礼なこと考えてるだろ」 「いやそりゃあさ……驚くだろうよ」 「うん。ネーデいつも一番興味ないからボク達に任せっきりだし」 「それは認める」 　 　食べられればそれでいい。そんな食に関して全く無頓着な男が店を紹介して欲しい。なんなら〝何かいい感じの店〟ときた。勘繰るのも無理はないだろう。オレは少し前のめりになった。 　 「彼女！」 「いやまだ」 「ふぅ～～～ん？」 　 　――まだ、か。しかしあのネーデルが……！ 　恋愛のれの字も聞いた事のない男だ。興味が無いわけない。女性も恋バナが好きなように、男だって好きなのだ。しかも親友の話となっちゃ楽しくなってしまうのも応援したくなるのも無理はないだろう。それは隣にいるルクセンも同じだった。 　 「どんな子？」 「……言わんとダメか」 「そりゃあ好みがありますから」 　 　ルクセンのちょっと悪い顔が垣間見える。ネーデルも分かっているのだろうが、この件に関してはどうしたって勝てないため腹を決めたらしい。綺麗なウルフアイズがオレ達を見据えた。 　 「二人も知ってる」 「え、うそ」 「同僚ってこと？」 「ああ」 　 　誰だとネーデルの周りにいる人間を思い浮かべる。寡黙で真面目な男にはそれなりに寄ってくる子は大勢いるわけで。うーん……と唸っているとさらなるヒントが投下された。 　 「よく分からない奴なんだが変なとこに頑固で。でもそこが面白くもあって。色々知っていく内に居心地が良くなったんだ。……まぁ、一度失ってから気づいたことではあるが」 　
December 10, 2024 at 1:19 PM
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☔️☀️。何でもない日。 #新書ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/shinsho/shinsho_bg.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「恥ずかしがり屋。せいいっぱいの口実」、「ゆーしゃ」と記載されています。 画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Belle Collective on Unsplash / フォント：しっぽり明朝Medium 以下は本文の内容です。 　 「もうすぐ冬だなぁ」 　 　色鮮やかだった葉の色素は抜け、落ちる様を見て冬の訪れを悟る人間を俺はこの男しか知らない。 　夕飯の買い物の帰り道。近場だからと歩きを選択した俺達だがその寒さに身を縮こませていた。 　早く帰りたい。そう切に願っていた俺の横で同じく寒い寒いと言いながらもヒノモトはその季節の訪れを楽しみにもしていた。理由は明白。 「色々あるけどやっぱり冬は鍋だよな～」 　その言葉に思わず吹き出す。つい最近イタリアのやつが「冬は彼女がよりくっついてくれるから嬉しい」等と語っていたのを思い出したからだ。人が変われば思考も変わるが、ヒノモトは圧倒的に色より食い気だった。 　吹き出した俺を不思議そうな顔して首を傾げるヒノモト。その手には鍋の材料がしっかりと入っていた。 「やっぱお前はお前だよな」 「どゆこと？」 「なんでもねぇ」 　何でもない。本当に。そんな何でもない事がどうにも可愛らしくて、愛おしくて仕方ない。 「鍋ってさ、一人でやろうと思ったら大変なんだよな」 　買い物袋には色々な食材が入っている。結構な量もあってそれは俺の手にもあった。 「準備もだけど、ついいっぱい食べたい！って思っちゃって分量も難しくて毎回余っちゃうし。まぁ……それはそれでアレンジを楽しむけど。冬に限った話じゃないけどさ、この時期あんたがい るとそこの安心感が違うんだよなぁ」 「安心感？」 「そ。安心感。だっていっぱい作っても絶対全部食べてくれるだろ？嬉しいし有難いことなんだよ」 「ふぅん。そうなのか」 「そうなんだよ！アメリックがいたら作るのも食べるのも楽しいしさ。一石二鳥ってやつ？片付けも手伝ってくれるから三鳥なのかな？ほんと大助かり！一家に一人アメリックって感じ！」 　ニコニコと語る姿は推しを語る姿とどこか重なる。しかしながらこいつは気づいているのだろうか。つまりは一緒にいて楽しい。嬉しいという事だ。普段そんな事など言葉にしない男が随分とまあ大胆なことを言っている。鍋効果か？ 「……一緒にいてぇって、こと……？」 　思わぬ大胆発言に困り、絞り出して出た言葉がこれだった。 　ただ、それが伝わり先の自分の言葉を心の中で復唱したのか少ししてヒノモトの顔がみるみる内に赤くなっていく。言葉にできないものが音となって、単語となってヒノモトの口から零れ落ちてきた。 「あ……ぇ、あ、いや、あの……えと……一緒にってのは……うん、いや……違、っ……その、あの……」 「……違ぇの？」 「ぁ……いゃ、……っ……ち、違わ……ない…………です…………ハイ…………」 　――いや、うん……ハズっ 　普段聞けない分、破壊力は相当だ。勿論嬉しい。嬉しくて嬉しくて……でも同じくらいすげぇ恥ずかしい。 　買い物袋を持った赤い顔二つを撫でるように木枯らしが吹き抜けた。
November 29, 2024 at 3:46 PM