青い飛行機の中で、ふと手に取った雑誌、その記事に載っていたビールの話。あの時の憧憬と羨望が、目の前のグラスに注がれた。
青い飛行機の中で、ふと手に取った雑誌、その記事に載っていたビールの話。あの時の憧憬と羨望が、目の前のグラスに注がれた。
板張りのホームが解体されて、小屋駅舎が撤去されてしまえば、かつてあった多くの駅がそうであったように、ここに駅があった痕跡さえ、残らないのかもしれない。
板張りのホームが解体されて、小屋駅舎が撤去されてしまえば、かつてあった多くの駅がそうであったように、ここに駅があった痕跡さえ、残らないのかもしれない。
壁には、空欄のほうが多い時刻表と簡易な路線図、色褪せた掲示物。「頑張れ宗谷本線」のポスターが、すっかり日に焼けたような風合いになっているのを見て、残り一か月半ほどになったこの駅のことを思う。それは、諦観だったのか、寂寥だったのか。
壁には、空欄のほうが多い時刻表と簡易な路線図、色褪せた掲示物。「頑張れ宗谷本線」のポスターが、すっかり日に焼けたような風合いになっているのを見て、残り一か月半ほどになったこの駅のことを思う。それは、諦観だったのか、寂寥だったのか。
2本の茶色い筋は道路の轍で、線路は画面の更に下側にある。白ばっかりな景色のせいか、錯覚を起こすような感じだ。
見返してて一瞬「?」ってなった写真。
2本の茶色い筋は道路の轍で、線路は画面の更に下側にある。白ばっかりな景色のせいか、錯覚を起こすような感じだ。
見返してて一瞬「?」ってなった写真。
見納めにきた鉄道オタクの2、3人でも居るかと思ったが、私のほかに人影は見当たらなかった。
雪原に、列車のエンジン音だけが響いた。
見納めにきた鉄道オタクの2、3人でも居るかと思ったが、私のほかに人影は見当たらなかった。
雪原に、列車のエンジン音だけが響いた。
これはでっかいつらら。遠くから眺めてるから写真だと大したことなさそうに見えるが、案外と私の身長くらいある。
これはでっかいつらら。遠くから眺めてるから写真だと大したことなさそうに見えるが、案外と私の身長くらいある。
喜ぶのは観光客くらいのもので、鹿も慣れっこなのだろう。ソロソロと列車が近づくと、漸く面倒臭そうに歩き始める。ノロノロと10分ほど先導して、気まぐれに雪の向こうへ消えていった。
遅延は、それでも少ないほうだ。
喜ぶのは観光客くらいのもので、鹿も慣れっこなのだろう。ソロソロと列車が近づくと、漸く面倒臭そうに歩き始める。ノロノロと10分ほど先導して、気まぐれに雪の向こうへ消えていった。
遅延は、それでも少ないほうだ。
いつかは、仕事に学校に急ぐ人々が見た景色だったのだろうか。その頃は、この道の左右にも家が建ち並んでいたのだろうか。
いつしか雪に埋もれ、消えていったであろう誰かの生活に、暫し、想いを馳せた。
いつかは、仕事に学校に急ぐ人々が見た景色だったのだろうか。その頃は、この道の左右にも家が建ち並んでいたのだろうか。
いつしか雪に埋もれ、消えていったであろう誰かの生活に、暫し、想いを馳せた。