ユキ
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読んだ本のことなど書いています。
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ワシントン・ポーシリーズの最新刊『デスチェアの殺人』、前二作を未読ながら、今作から読んでも大丈夫との宣伝を見て久しぶりに買ったのだけど、最初に間違えて下巻から読み始めてしまい、のっけから上巻の展開をネタバレしてちょっとショックだった。
なんか変だなあとは思ったものの、てっきり未読の前作『ボタニスト〜』の話をしているのかな?と思ってしばらく読み進めていた。
国内政治も国際情勢も日々あまりにしんどいことが起こり続けるのに参って、9月はひたすらダウナーのまま終わった。総裁選本当に無理すぎる。
9月に読んだ本。
毎年、ホロヴィッツやクレイヴンの新刊発売の時期がくるたびに、今年も残りわずかだということを実感して焦ってしまう。

グレゴリー・ケズナジャット『言葉のトランジット』、北村紗衣『学校では教えてくれないシェイクスピア』、水野太貴『会話の0.2秒を言語学する』がとっても面白かった。
ただ、友人はおそらくお母さんや自身の状況への不安感ゆえにこぼしただけだっただろうに、過剰反応してしまったことへの後悔で一日経った今もズーンとしている……。
それと同時に、介護保険制度の中身や手続きの詳細って、身近でない人には本当に全然分からないし知られていないのだろうなということもすごく感じる。
昨日久しぶりに会う友人とお茶をしたら、お母さんに介護保険の利用が必要な状況だけれども友人としては介護認定調査などへの不信感があるという話になり、しかしその不信感の内容はデマというか事実とは異なる誤認ばかりだったので、デマを否定したくて介護保険制度と認定調査を受ける段取りやその後の流れについて説明したが、めちゃくちゃ気まずい空気になってしまった……。

私は20代の頃から祖母のケアをしているので、国の社会福祉の制度や従事する人たちへ対する手薄さの問題や不満についての話なら共感したいけれど、藁人形論法で私がお世話になってきた各所の人たちの仕事を悪く言われるのは我慢できなかった。
お盆には、積んでいた『台湾人の歌舞伎町』もようやく読んだ。
戦後に一転「外国人」と扱われて日本人による復興の物語から透明にされ語られてこなかった人々の、新宿・歌舞伎町の台湾人に焦点を当てた時代証言、街と文化の記録。

『台湾人の歌舞伎町 ──新宿、もうひとつの戦後史』稲葉佳子/青池憲司(ちくま文庫)
しかし文庫版のエピローグでは、「他者の不幸」を面白がったり怖い話として消費するような人々の軽薄な態度をチクリと刺すエピソードに変わっていて、そこは私は単行本よりも好ましかった。
それと単行本から大幅改変された文庫版『近畿地方のある場所について』も買ったが、語り手の人物設定や関係性の変更と共に彼らが「考察」しながら進む展開へ変わり、怪異の起こりも経緯も現状も何もかも、謎の全てをキッチリと説明し尽くすお話になったことにかなり驚いた。

以前読んだ背筋・梨・雨穴の三氏の鼎談で、背筋氏が「『近畿〜』は謎を残さず作中で全て明かしたつもりだったが、謎が残ったとの読者の反応を見ると別の書きようがあったかも」というような話をしていたので、文庫版では全て明確に解き明かす形にしたのかなとも思った。
曖昧な部分が皆無となり単行本とは雰囲気もだいぶ異なっていて、個人的には戸惑ってしまったが。
8月に買った本。
今年のお盆の個人的な課題図書は、真尾悦子『いくさ世を生きて 沖縄戦の女たち』と、戦後50年時に朝日新聞が女性や子供の戦争体験を募った読者投稿欄をまとめた『女たちの太平洋戦争』でした。
戦争と歴史に思いを巡らす8月という月のパワーがあって何とか、なかなか読み通せない本を毎年お盆休みに読んでいる。

『ババヤガの夜』は単行本を持っているけれど、うちの最寄りの書店にもサイン本がたくさん入っていたので、王谷晶さんファンの母が買おうと。読者が激増していて嬉しい。
昨年読んだ別の作家さんの角川ホラー文庫新刊でも、作中に角川編集者が登場して「呪いの本でも何でも、売れれば良いんですよ〜」的な軽薄な態度を見せていたことも思い出した。
同社の姿勢を思うと、読者としては全然ネタとして受け取れないというか、作者の意図以上の意味を含んで読んでしまうのだが。
現実におけるKADOKAWAという出版社の昨今の企業姿勢に全く信頼をおけない状態だから(現社長や学校法人や作家の差別言説に対して何の見解も出さない等のせいで)、本作のメタネタをこのレーベルでやるにはもはや作者の狙い通りにならないのでは……?というか。
この出版社が舞台の設定ではこのメタフィクションの含意がもはや成立しないです、少なくとも私の中では……という気持ちというか。
もちろん同社の編集者が実際に皆そんな人なんだろう、などと思っているわけではないけれど。
今日読んだ角川ホラー文庫の新刊本が、作中に作家本人が登場して角川の編集者と打ち合わせをしながら本作の刊行を進めるというメタフィクショナルな体裁の短編集だったのだけど、どんな話を書こうがそれで読者が障りを受けようが「怖ければ何でも良いんですよ」と編集者が作家に言い放ち、これが角川ホラー文庫だ……!的な展開に全然ノれない自分がいた。(各短編自体は面白かったです)
『イラクサ姫と骨の犬』

マーラが、仲間となった大男フェンリスに対して「この人は暴力を受ける可能性について無頓着に生きてこられた」ことに思いを馳せて羨望を感じたり、彼の言う「別の者の仕事だった」というのは大抵は女の仕事だったのだろう、とはいえ彼は「仕事」と認めているのだからまだ全然マシね的なことを思うシーンなど、ちょっとしたエピソードも印象に残っている。

魔法や妖精や魔物がいる世界の物語だけど、現実と同じく超シビアなファンタジーで、めちゃくちゃ面白かったです。
『イラクサ姫と骨の犬』

マーラの決意と行動の理由が、姉を助けたいという献身だけではなくて「姉が王子に殺されれば次は自分の番がくる」という不安と恐怖からでもあるという、ものすごく実際的な感情を描いているのがとても良かった。
そしてそんなふうに考えてしまう自分に罪悪感を覚えてもいて。

ヴィランである多産DVの怪物王子だけではなく、身分や境遇にかかわらず市井の普通の男たちによる日常的な女性への蔑視やからかい、セクハラ、家族や夫婦間での虐待、男の面子を理由とする暴力などが作中であちこちに出てくる。
『イラクサ姫と骨の犬』T・キングフィッシャー/原島文世訳

小国の王女マーラが、大国に嫁いだ姉が王子から虐待され命の危機にあると知り、王子を暗殺するための旅に出る物語。
修道院で暮らす30歳の王女マーラの旅の仲間は、皮肉屋の高齢魔女、骨をつないで生まれた骸骨犬、ゴブリン市に囚われていた異国の戦士の大男、健康を授ける力しか持たない訳ありフェアリーゴッドマザーという最高な面々!

女性の痛みを見つめるヘビーなお話ながらも、視点人物であるマーラの語りにも会話にも悲愴な中にずっとユーモアが有るのでとても楽しい。
『伝説とカフェラテ』トラヴィス・バルドリー/原島文世訳

オーク女性のヴィヴが、傭兵稼業を辞めて珈琲店の開業という夢を実現するために奮闘する物語。
中盤で起こる困難には『イコライザー3』的展開が脳裏を過ぎるも、あくまでも荒事での解決は選択せず、苦悩しながらも一貫して昔の自分には戻らない!と第二の人生を築いてゆくヴィヴの姿がとても好きだった。
ファンタジーに登場する種族やお約束への固定観念をあえて外したキャラクター設定の数々も最高。

苦味もありつつ、好人物のもとに好人物たちが集まってくるという素敵なストーリーで、そして女性たちのクィアロマンスとしてもめちゃくちゃ良かった。
2冊続けて読んだ海外ファンタジー小説が、どちらもすごく良かった。
小国の王女が、妃を虐待する大国のクズ王子を暗殺せんと立ち上がる『イラクサ姫と骨の犬』と、オーク女性が傭兵稼業を辞めて珈琲店を開くために奮闘する『伝説とカフェラテ』(こちらは女性たちの素敵なクィアロマンスでもありました!)。

こうした物語を探している人にお薦めできる本があるということが嬉しい。
7月に買った本。久しぶりにミステリをすいすい読めるモードが続いていて嬉しい。
尹雄大さんとイリナ・グリゴレさんの往復書簡である『ガラスと雪のように言葉が溶ける』、忘れがたい「対話」だった。お二人の言葉がふとした時によみがえってくる。
選挙結果にメンタルが落ち込んでずっとヤバかったので、今日はもう午後休みを取ってダラっとしていた。
自民党が盤石のスーパー保守王国の北陸生まれなので選挙結果が辛くなかったことなんて人生で無いのだが、ここまでの極右が選ばれてしまう現実はしんどすぎる。

コーヒーマシンを処分してカフェインを控えていたのに、最近ストレスから我慢できずにまた豆を買うようになりハンドドリップで淹れている。元の木阿弥。
でもお気に入りのカップとソーサーを順番に使って淹れたコーヒーで休憩時間を取るのが、今のちょっとした楽しみ。
期日前投票を済ませてきましたが、選挙のたびにひどい言説が飛び交って、それによって浮き彫りになるものを目の当たりにする日々がキツすぎて比喩ではなくずっと具合が悪い。

近年の選挙の様相の変化というかこの空気感がしんどすぎるし、候補者による暴挙や無法行為に対して政治も行政機関も報道も企業も真剣に対応しないことに本当に落ち込む。
同性愛者へのすさまじい暴力が克明に描かれており、読む際は注意が必要だと思います。
『水棲生物 水の底のアフリカ』
オズヴァルド・ルワット/大林薫訳

サハラ以南のアフリカ諸国を想起させる架空の国ザンブエナを舞台に、女性やセクシュアル・マイノリティがコミュニティ内の規範に押し込められ権利を奪われている姿が詳らかに描かれる。
主人公カトメの、娘として・妻として・母として様々な形で受け続けてきた抑圧を最後に拒絶する選択には、カトメが奪われたものの苦さと物語のその後への恐ろしさだけが迫ってきて、「抑圧からの解放」などとは微塵も感じることのできない容赦の無さに、ものすごくくらった。
個人的には今年読んだ中で最も不穏なラストで、ザワザワした気持ちを引きずりました。
上半期ベスト本、10冊選んだつもりがうっかり9冊しか入ってなかったので、オズヴァルド・ルワット『水棲生物 水の底のアフリカ』を追加します。
カメルーン出身のドキュメンタリー監督の作家デビュー作。
6月までに読んだ本のうち、特に好きだった10冊。読んだ順です。
#2025年上半期の本ベスト約10冊

◆『美は傷』エカ・クルニアワン
◆『チャーチ・レディの秘密の生活』ディーシャ・フィルヨー
◆『この村にとどまる』マルコ・バルツァーノ
◆『わたしたちが光の速さで進めないなら』キム・チョヨプ
◆『チェーンギャング・オールスターズ』ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー
◆『密やかな炎』セレステ・イング
◆『ブリス・モンタージュ』リン・マー
◆『歌う丘の聖職者』ニー・ヴォ
◆『極北の海獣』イーダ・トゥルペイネン
日本のメディア、特にテレビはもうずーーっと万事こんな感じだから本当に許せない
さっき夕方のニュースで「日本人の外食回数が減っている」というプチ特集をやっていたのだが、全然シリアスなトーンじゃなかったので、「外食や飲み会における昔ながらの“常識”的なあれこれが変化してきてるんですよ〜」みたいな話なのかなと思って見ていたら、普通に「みんなお金が無いから外食に行けなくなっている」という内容でビッックリした。

「お金が無いから予算を低めに設定している、飲み会の前に家でご飯を食べていく、そもそも外食する余裕がない……」という声がひたすら続き、そんな日本の現状がやばい話を問題提起するどころかバラエティみたいなトーンでカラッと紹介して終わり、な報道番組って意味不明すぎる。