Author | Lightnews

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４７悲観と判断｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Dec 26

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４７悲観と判断｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

上から見る甲板は思ったより静かだった。色とりどりのコンテナが山のように積んであるだけで、一見するとなんら異常は無いように見える。ただ、どこからともなく焦げ臭さい空気が漂ってきていた。　その時だ。足元からかくぐもった音が聞こえてきた。水中で大きな花火でも打ち上げたような音だ。チロにはそれが魔法の音だとすぐに分かった。かなり大きな出力の魔法だ。（船内だ！）　そう判断したチロは、どこから入るの...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４６単独と先行｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Dec 10

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４６単独と先行｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

ロー・シレンが出現したのは海だった。洋上の貨物船に乗り込み、占拠しているという。位置は港湾都市ヤカマより南東の海上だという。　という情報をチロは春野から受け取り、それをそのまま相棒であるマジカル・エイトセブンティへと伝えていく。これが全体通信を失ったユエス・アムドの新しい連絡手段だった。魔力を失ったと言っても、春野はマジカル・ラジオくらいはまだ使うことができた。隊長からの指示を受け取ると、それを...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」洗髪と愚痴｜蓮澤ナーム

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蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Dec 3

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」洗髪と愚痴｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

訓練後の汗を流すのは軍施設のシャワールームだ。いくつもの銀色のシャワーヘッドが並んでいるが仕切りはない。実に簡素な施設である。　ただ女性隊員はかなり少なく、今そこで頭から温水を被り、体に泡を貼り付けているのはチロだけだった。（あの場は、どう言えば良かったんだろう？）　顔を上に向け、心地よい水の刺激を感じながらチロは思い返していた。　訓練でのマジカル・テンフォーティーは、確かに良くは無か...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４４対立と和解｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Nov 26

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４４対立と和解｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

「聞いてくださいよ、パイセン。コイツ、全然言う事聞かねーんスよ！」「相手の数が分からないのだから慎重に行くべきと言っただけだ」「だからよぉ。そんなもん行ってみなきゃ分かんねぇだろうが！」　その施設はビルの１フロアを模したもので、中にはダミーの人形が敵として配置されている。いかに素早く、ダミーを掃討するかが訓練の肝であり、時間がかかりすぎた場合、あるいは人形を視界に入れられなかった場合は被弾...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４３後輩と指導｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Nov 19

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４３後輩と指導｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

不気味な静けさだった。ロー・シレンはあれから一ヶ月もの間、まったく姿を見せていない。前回の作戦で戦力を投下しすぎてしまい今は力を蓄えているのだと見るべき、それが隊長の考えだった。　チロもそれに同意する。今の状態は、より高く跳ぶために膝を深く折り曲げている、きっとそんなところだろう。　ならば、こちらも準備を整えておかねばならない。　その一つとして仮面が配備された。　呼吸の邪魔にならぬよう...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４１実力と相方｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Nov 7

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」４１実力と相方｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

自己紹介が済んだ後は実力を見せる、ということで九人はそのままマジカル・レンジへと移動した。　新人四人が所定位置に並ぶと、各々がマジカル・ステッキの調整を始める。「ではマジカル・ナインからやってもらおう」「は、はい～」　自信なさげにか細い返事をした彼女は、マジカル・ステッキを両手で包むように持って、腕を肩と水平の高さで前に伸ばした。体も小さいが腕も小枝のように細く、頼りない。　魔法を唱...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３９信頼と尊敬｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Oct 24

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３９信頼と尊敬｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

チロの平穏な日々はそれからしばらく続いた。　学校は、失踪中に転校する手続きがされていた。ユエス・アムドの力なら造作もないことだ。その学校はマジカル・フォーの通うところだ。クラスまで同じにしてもらったため、チロはかなり気が楽だった。　転校し、五日ほど立った土曜の帰り道。二人は一緒に下校していた。「ねぇ、レミ」　チロはマジカル・フォーを本名で呼ぶが、そう呼ばれた彼女は口をモゴモゴと動かして...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３８裏と陰謀｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Oct 23

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３８裏と陰謀｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

「今にして思えば、言葉の端々に奇妙なところがあったぞ。魔力を持たない人間を軽視するような、あるいは敵視するような」「最初からそうだったんですか？」賀欄堂は身を乗り出した。「どうかな。最初は純粋に魔力の探求に興味がある研究者、という印象だったぞ。ただロー・シレンが現れる少し前くらいから、さっきのような言動が出るようになった気がするぞ」「チロ、霜永はロー・シレンのリーダーだと言ったんだよな？」 ...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３６合流と駆除｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Oct 15

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３６合流と駆除｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

空にはユエス・アムドもロー・シレンも見えない。ただの青い空と白い雲、そして山の緑という美しい風景が広がっているだけだ。　その時、近くの森の中から魔法弾の発射音が聞こえた。ちょうど三発。おそらくマジカル・スリーバーストを得意とするマジカル・フォーのものだろうとチロは予想した。「マジカル・フォー！　大丈夫！？」『マジカル・シックスティーン！　貴方、今までどこに……いや、それはともかく、こっちは...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３５発見者と創始者｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Oct 13

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３５発見者と創始者｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

その時だ。少し遠くから紙風船が割れるような乾いた炸裂音が三連続で聞こえた。　聞き慣れたその音を間違えるわけがない。マジカル・フォーの魔法弾の射出音だ。「戦闘！？　近い！？」『おっと。始まったようだな』「始まったって、何？　また何かしたわけ？」『いやなに、今の君には関係のないことだろう？　彼女らのことより自分の心配でもしたらどうかね』　確かに誰にも何も言わず逃げ出してしまった自分が、...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３４思い出とため息｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Oct 10

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３４思い出とため息｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

自分が普通ではないと知ったのは、魔力の検査を受けたときのことだ。　小学校に上がる前、どの児童もこの次期に受ける検査だ。そのくらいの歳では魔力は僅かにしか無い。しかし“有る”と“無い”では大違いなのだ。　魔力有りと判定されたチロは、国の特別なリストにその名を加えられた。　チロは、そこから両親の自分への扱いが変わったのを良く覚えている。　チロには二つ下の弟がいた。両親は弟のことをチロよりも気...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３３霜永とコンタクト｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Oct 9

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３３霜永とコンタクト｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

チロは深い森の中にいた。遠くからでもよく見える帆夏山を目指して飛んで、体力が尽きて森に降りたのだ。　大きな木の根本に膝を抱えて座った。こんなときでもお腹が減ってくる自分に腹がたった。（もうこのまま死んじゃおうかな）　まだ日は沈んでいないが、背の高い木々が日を遮り、辺りは薄暗くジメジメしている。そういった環境が、チロの気持ちをさらに落ち込ませたのかもしれない。『チロ。これからどうするの...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３２探索と連絡｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Oct 3

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３２探索と連絡｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

「あ、貴方。それは何なの？」「え？　ああ、これッスか？　魔法少女レインボーセブン、ッス。知らないッスか？」「そういうアニメだったけ？　聞いたことはあるけれど……」　あの仮面の下には、きっと火傷の痕があるのだろう。それを隠すためのお面なのだと察せられた。ならば外せとは言えない。　それにしても、もっと他に無かったのかとマジカル・フォーは呆れてしまう。黄色の髪でやたら大きな水色の瞳をした少女が...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３１枯渇と逃亡｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Oct 1

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３１枯渇と逃亡｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

全力で飛び続けるのも限界だった。緩やかに高度と速度が落ちている。このままでは捕まるのも時間の問題だった。　ふくらはぎに鋭い痛みが走り、マジカル・フォーは顔を歪めた。見ると飛翔体がかすめたらしい。傷は浅そうでひとまずは胸をなでおろすが、このままでは致命的なダメージを負うのも時間の問題だ。状況は深刻だった。『フォーパイセン。今どこッスか？』　マジカル・フォーは痛みを忘れるほど驚いた。そのマジ...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３０高度と援護｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Sep 25

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」３０高度と援護｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

ペチェネ級は飛行能力を持つロー・シレンで大きさはセスナ機ほどもある。コウモリのような大きな二枚の羽を持ち、それを羽ばたかせて飛ぶ。出現した例は少なく、これまで大きな被害をもたらしたことはなかった。　その光景にマジカル・フォーは我が目を疑った。　ペチェネ級は胴体部分に四本の足があり、それで一体のアバカーン級の肩と足を掴み、運搬していた。そのような方法で移動している姿を彼女は初めて見たのだ。「...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２４学校とかなた｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Sep 1

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２４学校とかなた｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

翌朝。　決して軽い足取りとは言えないものの、チロはいつも通りに家を出た。友だちと仲間の励まし、応援がなければ部屋から出られなかったかもしれない。　心の支えになったのは仲間だけではなかった。いつも通り何事もないように接してくれる家族の存在、それが大きかった。街の声はいずれ小さくなっていくだろう。それまで耐えきれるという自信がふつふつと湧いてきていた。　気のせいか昨日と比べすれ違う人々からの非難...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２３仲間と相談｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Aug 29

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２３仲間と相談｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

マジカル・ヘッドクオーターの休憩所のガラス製のドアが振動した。　それほどにマジカル・テンフォーティーの怒声は大きかったのだ。彼女たちが集まったのはチロの話を聞くためだった。そしてその内容は想像を超える惨状だった。「バッカじゃないッスかねぇ！　ソイツら！　やっちゃいましょうよ！」　上下とも黒のスウェットというラフな私服姿の彼女がテーブルを叩いた。その衝撃で倒れそうになったグラスをとっさに押...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２２親友と電話｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Aug 27

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２２親友と電話｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

気分が悪くなってしまったチロは、生まれて初めて学校を早退してしまった。　家に帰る時も可能な限り顔を地面に向け、人通りの少ない道を歩き、自分がマジカル・シックスティーンだと悟られないよう務めた。　あれほど誇り高い魔法少女舞隊ユエス・アムドの一員だというのに、それを隠す日が来るとは、チロは夢にも思わなかった。「チロ？　もう帰ってきたの？」　居間を通り過ぎる時、テレビを見ていた母が声をかけて...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２１犠牲と自省｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Aug 25

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２１犠牲と自省｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

いつもと変わりない朝のはずだった。　そのテレビ放送を目にするまでは。『謎の小型ロー・シレンの襲撃を受け、多数の人々が犠牲になってしまいました。小林さん、どう思われますか？』　司会者が話を振った男は、この番組におけるご意見番の役割を担う弁護士だ。『ユエス・アムドと警察、軍がもっと連携すべきでしょうね。そうすればこのような悲劇は無かったはずです』　勝手なことを、とチロは思う。連携なん...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２０魔力吸収剤とマジカル・グレポン｜蓮澤ナーム

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蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Aug 22

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」２０魔力吸収剤とマジカル・グレポン｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

春野は魔力吸収剤を使ってこの新型アタッチメントを製作した。これはマジカル・テンフォーティーのマジカル・シェルと同じ原理で出来ている。　魔力を貯め、弾にすることができるのだ。魔力が多すぎるなら、どこかに逃してやれば良いという発想から生まれたアタッチメントで、マジカル・チャージャーという名前が付けられた。　これは同時に、マジカル・テンフォーティーの抱えている問題の解決にも繋がった。彼女の場合、事...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」１９新型とアタッチメント｜蓮澤ナーム

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蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Aug 20

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」１９新型とアタッチメント｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

ガウル市街地に出たロー・シレンは新型だった。人と同じく二足歩行で手が二本、頭らしき突起もある。人間との違いは、顔には丸い穴が一つあるだけということ。それと右手が射弾管になっていること。肌は黄銅のような色をしていて、硬さも金属並みにあるということだ。　体長は１メートル半ほどで普通の成人男性程度の身体能力しか無い。一体であれば武器を持った人間でも対応できてしまうほどだ。　その弱点を補うのは個体数だ...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」１８悩みとお楽しみ｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Aug 18

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」１８悩みとお楽しみ｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

ブランク・ステッキに魔力を送り込んでも魔法弾が射出されるわけではない。ただ熱を持つだけだ。つまり熱くなれば上手く魔力を送り込めているということになる。魔法少女の誰もが最初にやる訓練の一つである。この基本が出来てから、いよいよ自分のマジカル・ステッキが用意されるというわけだ。「あの、ここでやるのは危ないと思います」　困り顔で富井に訴えた。彼女にはこれについても失敗談があるからだ。　魔力量が...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」１７ＰＴとブランク・ステッキ｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Aug 15

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」１７ＰＴとブランク・ステッキ｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

息を切らし、激しく胸を打つ自らの心臓の動きを感じながら、果たしてこれは必要なのだろうかとチロは思わずにはいられなかった。　自然豊かで空気は澄んでいるとはいえ、このあたりは高地で気圧が低い。走るには過酷な環境だ。それでもこのＰＴは、この訓練所では毎朝の恒例らしい。軍人ならともかく、魔法少女たる自分がやる必要があるのだろうかとチロは疑問を感じずにいられなかった。これで魔力量がコントロールできるように...

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」１６山と訓練｜蓮澤ナーム

蓮沢ナーム @hasuzawa.bsky.social · Aug 13

小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」１６山と訓練｜蓮澤ナーム @hasuzawanamu #note note.com/hasuzawa/n/n...

夏休みに入ると同時にチロは学生から一変、マジカル・シックスティーンとして特別訓練の生活を送ることとなった。　せっかくの休みが、と気落ちしたが、そもそも彼女たち魔法少女舞隊員に休みなどあってないようなもの。ロー・シレンが出現したとなればどこにいようと、何をしていようと最優先で現場に向かわなければならない義務がある。のんびり旅行などもとよりできない身分だ。　それと、賀欄堂のはからいにより、学校から...